逆子に鍼灸治療
「逆子のお灸」は逆子体操に並び、聞き馴染みのある方もいらっしゃるかと思います。
鍼灸治療は逆子の矯正率が80%以上との報告もあり、早い段階で鍼灸を受けられるほど矯正率も上がるとされております。
今回はそんな逆子について綴らせていただきました。
そもそも逆子とは
通常、お腹の中で赤ちゃんは頭を下にして丸くなっております。
対して、逆子は「骨盤位」と呼ばれ子宮の中で赤ちゃんの頭が上に、おしりや足が下になっている状態のことをいいます。
逆子の種類
胎児の姿勢により逆子はいくつか呼び名(種類)に分かれます。
- 単臀位:
お尻を下に向け、両足が上に伸びている状態で逆子のなかでも多い姿勢です。
産院の方針によっては経膣分娩が可能な場合があるようです。 - 足位:
足を下に伸ばした状態です。 - 膝位:
曲げた膝が下を向いている状態です。 - 横位:
身体が横を向いている状態です。
逆子がわかる時期
妊娠中期頃(約27週未満)まで赤ちゃんにとって子宮内は広く、羊水の量も多いため活発に動き回ることができます。
そのため、赤ちゃんは様々な方向に向きを変えながら過ごしています。
妊娠週が浅い段階では赤ちゃんが骨盤位になっていることを予測することが難しく、妊娠中期(27週未満)での逆子の割合は全妊娠の20%~30%と言われております。
このほとんどが妊娠後期に入り、赤ちゃんの身体が大きく成長する事で、最も重い頭を下に向けた「頭位」と言う状態に落ち着きます。
そのため、医師から逆子とお伝えされるのも33~34週以降が多いようです。
妊娠中のいつの時点においても自然に頭位に治る可能性があり、36週時点で逆子の場合にも分娩時までに自然と治る確率は6~7%程度あるようです。
妊娠37週での逆子の割合は、全分娩の約3%です。
「骨盤位」は自然に治ることも多いですが、出産まで逆子が治らなければ帝王切開になるケースがございます。
逆子になる原因
- 子宮筋腫や子宮の形態異常
- 前置胎盤や低置胎盤
- 羊水過多や羊水過小
- 多胎妊娠(双子や三つ子など)
- 子宮内胎児発育遅延
- 赤ちゃんの形態異常(水頭症など)
など様々な原因が挙げられますが、原因が明確なケースが珍しく、多くが原因不明と言われております。
逆子と分かった際には
下記のような方法が代表的です。
しかし逆子体操や鍼灸治療はエビデンス(科学的根拠)が薄いとの理由から推奨していない産院あります。
そのため、主治医の先生とお話のうえで試されることをお勧めいたします。
逆子体操
逆子の赤ちゃんが「頭位」になるようにお手伝いする体操です。
「ブリッジ体操」
仰向けにな、腰の下にクッションを入れ、膝を曲げてブリッジするように骨盤を持ち上げた姿勢を10分程キープする運動です。
「胸膝体操」
四つ這いになり、お尻を高く持ち上げた姿勢を10分程キープする運動です。
外回転術
お腹の張り止め薬や麻酔薬を使用し、妊婦さんの下半身を持ち上げ頭部を下げる姿勢で寝た状態(赤ちゃんがお腹の上部に移動しやすい状態)で子宮の筋肉の緊張を緩め、赤ちゃんが回転しやすくなるように準備します。
その後、超音波で胎児の向きを確認し妊婦さんのお腹の外から赤ちゃんの頭とお尻をしっかりと捉え、前回りになるように回転させる手技です。
鍼灸
逆子に有効とされるツボ(主に至陰・三陰交)を中心にお身体全身の調子を整えることを目的に鍼灸を施します。
ツボとは長年積み重ねた経験により、刺激を与える事で何らかの効果が現れるポイントの事を言います。
そのため現在不快に感じている部位から離れた場所に刺激をしても特定の部位に血流が増えるなどの変化が起こります。
逆子のツボにお灸をすることで子宮内圧が下がり、赤ちゃんの動きやすい環境を作れるのではないか?といった研究や報告が現在挙げられており、今後更なる詳細に期待が持てます。
鍼灸はどれくらい効果的か
「逆子」の鍼灸治療は参考文献(全日本鍼灸学会誌)によりますと逆子の矯正率は89.9%
日本助産学会誌では66.7%と対称群(年齢や初産などの違い)によって開きがありますが、どちらも母体や胎児に対する危険性も少ないと研究報告もあり、WHO(世界保険機構)が効果を認める鍼灸症例に逆子も含まれておりますので試す価値はあるかと思います。
終わりに
鍼灸は34週目までの改善率が高く、経過とともに戻る確率も低下していく傾向がございます。
そのため、お早めに試される事をお勧めいたします。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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