肩凝りへの対処と鍼灸治療の効果
多くの方が経験する健康問題の1つ「肩凝り」
肩凝りは重い頭を支えることで筋肉の血流が悪化して、痛みや張り感が肩に現れます。
凝りをそのままにしていると眩暈や頭痛にもつながるので、入浴やストレッチで血流を改善することが大切です。
今回はそんな「肩凝り」について綴らせていただきました。
肩凝りとは
首や肩の筋肉が過度に緊張した状態です。
首から肩にかけての筋肉が緊張し、血流が悪くなることで引き起こされます。
首肩凝りはデスクワークや長時間のスマホ使用で起こる、現代病の1つとも言えます。
そもそも筋肉とは
筋肉は身体を動かすために必要不可欠な組織で、心筋、平滑筋、骨格筋の3種類があります。
心筋は心臓を、平滑筋は血管や内臓をそれぞれ自律して動かしているため、自分の意思でコントロールできませんが、骨格筋は自分の意思で動かすことができ、身体のさまざまな動作を担っています。
筋肉は筋繊維という細い繊維が束になって筋肉を構成し、この1本1本の筋繊維が収縮と弛緩(ゆるむ)を繰り返すことで力が発生して関節運動を可能にしています。
症状
肩の痛みや重怠さが主な症状ですが、肩凝りが悪化することで頭痛や痺れ、眩暈などが現れることもあります。
痛みや重怠さ
筋肉内に痛みや重怠さの原因となる老廃物が溜まってしまうことで引き起こされます。
また、老廃物が溜まることで筋繊維の収縮と弛緩が円滑に行えなくなるので、張り感や硬さを感じるようになります。
頭痛や痺れ
筋肉が凝り固まり、筋肉の近くを走行する神経を圧迫することで、圧迫された神経が分布するエリアに痺れや痛みが現れます。
後頭部が凝ることで起こる「頭痛」や肩甲骨周囲が硬くなることで現れる手の痺れなど、さまざまです。
眩暈
首肩が凝り固まり、頭へ繋がる首の血管を圧迫することで頭の中が浮腫んだ状態になります。
頭の浮腫みは、平衡感覚をコントロールしているリンパ液の量(圧)が変化させるため眩暈が現れます。
『眩暈に関する詳細はこちら』
原因
筋肉の血行不良です。
筋肉には酸素や栄養素が行き届かないと硬く(緊張)する性質があり、筋肉が緊張状態になると、血液を素早く供給できるように血管を収縮させます。
(勢い良く水を出したい時にホースの先を摘むような原理です)
一時的であれば全く問題ありませんが、首や肩はボーリング玉程の重さがある「頭」を常に支えているので、筋肉の緊張が続き疲労物質が溜まり続けてしまいます。
疲労物質などの老廃物が増えることで更に血行は悪化して、痛みや凝りを強くする悪循環が生じてしまいます。
長時間の同じ姿勢も侮れません
姿勢の保持には等尺性収縮という筋緊張を伴います。
筋肉の収縮には、
- 等張性収縮(アイソトニックコントラクション)
- 等尺性収縮(アイソメトリックコントラクション)
大きく2種類があり、等張性収縮はダンベル運動や力こぶのような一般的な筋収縮です。
対して、等尺性収縮は買い物袋を持ったまま歩いている時のような関節運動を伴わない筋収縮のため、気づいたら筋疲労が溜まっている状況になるので注意が必要です。
肩凝りを防ぐには
肩を温める、ストレッチを行うなど、筋肉の血行不良を改善することが大切になります。
また、セルフケアで改善しない肩凝りや痛みには鍼灸がおすすめです。
肩を温める
ホットパックや入浴により血行を促進することで、筋肉に酸素や栄養素が行き届き、老廃物を除去することで痛みや凝りを防いでくれます。
浴槽に浸かる習慣のない方は、毎日10分浴槽に浸かることをおすすめします。
ストレッチ
ストレッチで筋肉を収縮・弛緩させることで血液循環が高まり、凝りの解消につながります。
ストレッチは1回で長時間行うよりも、何度かに分けてストレッチする頻度を上げて循環する機会を増やした方が効果的です。
『ストレッチに関する詳細はこちら』
鍼灸の効果
鍼灸は血行を促進することに優れています。
鍼を身体に刺して細胞にわざと小さな傷を作る事で、身体は異物である鍼を排除し、壊れた組織を修復するために、免疫細胞が患部に集まりやすいよう血管を拡張します。
血管が拡張することで、疲労物質が排泄されて必要な栄養素や酸素が患部に行き届き、痛みや凝りが改善します。
そのため、湿布薬やセルフケアで改善がみられない方に鍼灸はおすすめです。
肩凝りが続く場合には
入浴やストレッチを習慣化することで、肩凝りのリスクを軽減することが可能です。
しかし、放って置くと凝りが悪化してセルフケアでは回復できない状態になってしまいます。
セルフケアや湿布などで肩凝りが解消されない場合や早急に肩凝りを解消したい場合には鍼灸をご検討ください。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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