冷え性への対処と鍼灸治療の効果

身体は寒くないのに手先や足先が冷たく感じる…

女性の半数以上、男性の2割以上の方が感じている冷え性は、食生活や自律神経の乱れにより冷えが悪化します。

鍼灸では自律神経を整え、食事の吸収消化を改善し、冷え性の悪化を防ぐお手伝いができるため、生活習慣改善との併用にお勧めです。

今回はそんな冷え性について綴らせていただきました。

冷え性とは

手先や足先など四肢末端などが通常寒さを感じない温度でも、冷えている感覚がする状態をいいます。

末端の冷えを指すため、体温36度以下の方を指す低体温症とは異なります。

主な自覚症状

  • 他の人に比べ寒がり、手足が冷たい方だと思う
  • 身体の一部が冷えてつらい
  • 夏でも靴下を履く

これらが代表的な自覚症状です。

また冷えによる、肩凝り腰痛・便秘や月経不順などの症状も多く見受けられます。

原因と対策

冷えには自律神経の乱れが大きく関係します。

自律神経の乱れが冷え性に繋がる理由

血液は身体の隅々(細胞)まで酸素や栄養を運び、二酸化炭素や老廃物を回収する働きの他に、体内でつくられた熱を全身に伝える役割も担っています。

末端の細くなった血管を毛細血管と呼び、ここで栄養素や老廃物の受け渡しがおこなわれるのですが、

  • 掌や足裏
  • 指先
  • 耳や鼻

これらの部位には、毛細血管を通さずに動脈と静脈をショートカットして結ぶ「動静脈吻合(AVA機構)」というバイパス通路が多く存在します。

この動静脈吻合は自律神経(交感神経)により制御されているため、自律神経が乱れることで血液が毛細血管(末端)まで届かなくなってしまいます。

冷え性の対策

  • 適度な運動(ウォーキングなど)
  • 睡眠サイクルの正常化(早寝早起き)
  • 鍼灸やマッサージを受ける

など自律神経を整えることが主な対策法になります。

また、血流計による測定結果では食事の摂取量との相関もみられたとの報告もあげられており、

塩や熱を加えた暖かい食事を優先的に取り、生野菜などの身体を冷やすものを控える、といった食生活の改善も重要になります。

鍼灸の効果

動静脈吻合(AVA機構)周囲に鍼を直接用いることで指先まで血液が届くようになるですが、実際におこなってみると鍼をしている時のみ改善がみられ、時間の経過と共に戻ってしまうケースが多いように感じます。

そのため、動静脈吻合部(AVA機構)のみならず、全身的に整えて食事からの栄養素吸収率を向上させ、血液の多い(巡り易い)お身体へと向かうお手伝いの方が効果的であると考えられます。

肩凝りや腰痛、便秘や月経不順などの不定愁訴にも効果も期待でき、冷え性の方に鍼灸治療をおこなった調査結果においても、週1回合計15回の治療を行った結果「有効」であるとの報告もあげられており、生活習慣の改善に併せて鍼灸治療を取り入れられることをお勧めいたします。

鍼灸師のコメント

不定愁訴(ふていしゅうそ)とは、検査をしても原因が見当たらないが、頭が重い、疲労感が抜けない、などの自覚症状があることをいいます。

冷え性を悪化させないためにも

冷え性は生活習慣や自律神経の乱れが大きく関係してきます。

そのため、起床時間の調整や適度な運動、食生活の見直しといった生活習慣の改善が大切になります。

生活習慣の改善に併せて鍼灸をおこなうことで、自律神経を整える効果や生活習慣改善の更なる向上に期待持てますので、生活習慣改善以外の方法をお探しの場合には是非お試しください。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。