膝関節痛への対処と鍼灸治療の効果
膝の曲げ伸ばしや正座ができなくなる「膝関節痛」
膝関節痛は、外傷や加齢による変性、筋肉が硬くなることで痛む場合など、さまざまです。
外傷や加齢による膝の痛みには安静や薬物療法が大切になりますが、筋肉の硬さが原因の場合には鍼灸で筋緊張を緩和することで改善が期待できます。
今回はそんな膝関節の痛みについて綴らせていただきました。
膝関節とは
膝関節は何十kgという体重を支えている下半身の大きな関節です。
膝関節は太ももの骨「大腿骨」、脛(すね)の骨「脛骨」、膝のお皿の骨「膝蓋骨」で構成されています。
これらの骨を軟骨が覆い、骨同士の緩衝材である半月板を挟んで関節包という袋で包み、そのうえに筋肉が付着することで関節運動を可能にしています。
そのため膝の痛みは骨、軟骨、筋肉によって痛む場所や痛み方が異なります。
症状
膝関節痛の主症状は痛みと腫れです。
痛みは寝ている時に痛いむ「安静時痛」や動作をした際に痛む「運動時痛」があり、安静時に痛む場合には膝関節内で炎症が生じている可能性が高いため、関節内に水が溜まることもあります。
痛みや腫れにより膝の曲げ伸ばしができない、正座ができない、立膝になって床を拭いたり手を伸ばす動きができない、といった日常生活の動きに影響が現れます。
原因
外傷、加齢、病気、筋肉の問題、4つに分けられます。
外傷
交通事故による骨折やスポーツ時の靭帯損傷が代表的です。
膝関節は曲げる・伸ばすという機能に特化しているため、膝の安定性を確保するために付着している靭帯は横方向の力やねじれには弱く、過度な力が加わることで損傷してしまいます。
加齢
骨密度の低下や皮膚・軟骨の水分が抜けることで次第に骨同士が干渉しやすくなります。
軟骨や半月板は体重を支えているため摩耗しやすく、擦り減った関節は元に戻りません。
病気
痛風や骨腫瘍、関節リウマチも膝痛の原因になります。
病気が原因で膝が痛む場合には、膝の治療よりも病気の治療が優先されます。
『関節リウマチに関する詳細はこちら』
筋肉の問題
膝関節には太ももの筋肉(大腿四頭筋)や膝裏の筋肉(膝窩筋)など、多くの筋肉が付着します。
筋肉が異常な緊張や神経過敏になってしまうと、運動制限や痛みとして現れます。
実際に、大腿四頭筋の柔軟性低下によって起こる「ジャンパー膝」、ハムストリングスが硬くなることで生じる「鵞足炎」など、トレーニングやスポーツにより筋肉の柔軟性が低下することで生じる運動障害は数多くあります。
※各疾患の詳細は病名をクリック
治療・予防方法
骨折の状態を確認するにはレントゲン、軟骨や半月板損傷が疑われる場合にはMRI、など症状の現れ方や痛む場所により検査方法は異なります。
原因の特定と適切な対処が重要になるので、まずは整形外科の受診をご検討ください。
検査後は安静や薬物療法が中心に行われ、損傷状態によっては外科的療法が行われます。
明確な損傷や病気が見当たらない場合には、生活習慣を見直して「体重減少」や「筋力強化」により膝関節への負担軽減に取り組みます。
体重減少
膝関節への負担は歩行時に体重の3倍、階段昇降時は体重の5倍も負荷がかかります。
そのため、体重減少は膝関節の負荷軽減に直結します。
筋力強化
筋力低下は運動時の不安定感や軟骨の負荷増加に関わり、関節がすり減る原因になります。
そのため、太ももの筋肉(大腿四頭筋)やお尻の筋肉(大臀筋)など、膝の動きに関与する筋肉をトレーニングすることは膝の負担軽減につながります。
また、トレーニングだけでなくストレッチや鍼灸で筋肉の柔軟性を保つことも重要です。
鍼灸の効果
鍼灸は硬くなった筋肉の緊張や過敏になった神経を整えることに優れています。
筋力強化を行なっても、筋肉のバランスが崩れて余計に痛みが増しては元も子もありません。
関節運動は実際に力を加える筋肉(主動筋)とゆっくり緩む筋肉(拮抗筋)が円滑に働くことが重要になります。
拮抗筋が力の強弱を調整することで円滑な関節運動が可能になり、仮に拮抗筋が機能しないと「扉をバタンと強く締めるような動き」になってしまうため、どちらか一方だけのトレーニングやストレッチで筋肉がアンバランスになってしまう状況は好ましくありません。
予防のために「筋力強化をされている方」や原因がイマイチ分からずに「安静や湿布を続けているが変化がない方」は鍼灸をご検討ください。
膝に痛みを感じたら
膝の痛みは骨、軟骨、筋肉によって痛む場所や痛み方が異なります。
外傷や加齢の他、病気でも膝の痛みは生じるため、まずは整形外科の受診をご検討ください。
予防のために「筋力強化をされている方」や「安静や湿布を続けているが変化がない方」には鍼灸もおすすめです。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸院」を目指し、日々鍼灸施術に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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