膝関節痛への対処と鍼灸治療の効果
正座をしていると痛む、膝がしっかりと伸びきらない・・・といった膝関節の痛み。
膝の痛みは、加齢が原因の場合もあれば、筋肉の凝りが原因の場合もあります。
筋肉が凝り固まることで痛みを出している場合には、しっかりと筋肉を緩めることで痛みが軽減されるため、鍼灸がとても効果的です。
今回はそんな膝関節について綴らせていただきました。
膝関節とは
膝関節は「大腿骨」と呼ばれる太ももの骨、「脛骨」と呼ばれるスネの骨、「膝蓋骨」と呼ばれる膝のお皿の骨、これら骨同士がぶつからないように骨を軟骨が覆い、関節包という袋で包んで膝関節を構成しています。
そのうえに筋肉が付着することで関節運動を可能にしているため、膝の痛みは骨、軟骨、筋肉、など痛む場所や痛み方が異なります。
痛みの原因
膝関節が痛くなる原因として、
- 膝関節自体の問題
- 筋肉の問題
大きく2つに分けられます。
また、双方が複合的に痛みを出している場合も多くあります。
そのため、まずは病院で骨や軟骨の状態確認と、隠れた疾患の可能性排除をおすすめいたします。
膝関節自体の問題
軟骨の擦り減りや悪性腫瘍などの疾患が原因で膝は痛みます。
悪性腫瘍やリウマチは進行状況により、歩行困難や寝たきりに繋がるため注意が必要です。
代表的な原因として、下記3つが挙げられます。
変形性膝関節症
膝の痛みの原因で最も多いともいわれています。
加齢や怪我により軟骨が擦り減ることで、膝の関節が変形する疾患です。
症状の初期から痛みを訴える方もいれば、自覚症状が無い方もいます。
症状の進行に伴い、痛みが強くなるケースが多いため、膝の痛みを感じた場合には早めの診察をおすすめいたします。
関節リウマチ
リウマチは免疫の病気(自己免疫疾患)です。
免疫は正常な細胞と不要なものを識別する働きをしているのですが、自己免疫疾患は正常な細胞をも免疫が攻撃してしまいます。
そのため、関節内で炎症が起こり、軟骨や骨が破壊されることで関節の機能が損なわれ、放っておくと関節が変形する恐れのある疾患です。
朝が最も膝の調子悪い、貧血や全身倦怠感も感じる、といった場合にはリウマチの可能性が考えられます。
半月板損傷
激しい運動などにより膝関節に強い負荷が加わり、関節内でクッションの役割をしている「半月板」が傷ついたり、割れる疾患です。
半月板が損傷すると膝の曲げ伸ばし時に痛みを感じる、膝を完全に曲げ伸ばし出来ない、膝を曲げた際にゴリっとした異音があるなどの症状が現れます。
膝の関節内は血管が密に分布していないため、半月板の損傷箇所によっては回復が難しくなります。
そのため、半月板の損傷位置や回復の見込みがあるか主治医に確認されることをおすすめいたします。
筋肉の問題
大腿四頭筋や膝窩筋など、膝関節周囲の筋肉が凝り固まることで神経を刺激して痛みや痺れが現れます。
ある一定の動作をした際に痛みが出るといった場合には筋肉の可能性が考えられ、
筋肉が原因の場合には、動きの低下している筋肉を緩めることで改善がみられます。
そのため、原因の筋肉に直接アプローチすることのできる鍼灸がとても効果的です。
膝に痛みを感じたら
強くぶつけた、安静時にも痛む、このような場合には病院で検査をおこない、骨や軟骨の状態確認や隠れた疾患の可能性を排除することをおすすめいたします。
変形性膝関節症やリウマチが原因の場合には「痛みのコントロール」、筋肉が原因の場合には「筋緊張の緩和」、の他にHoffa病に伴う「膝蓋下の脂肪組織硬化の改善」にも鍼灸は効果的です。
そのため、検査をしたが原因不明だった、筋肉が原因ではないかといわれた、といった場合には是非一度鍼灸治療を試してください。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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鍼灸師のコメント
膝関節症やリウマチは鍼灸適応です。
しかし、これらの疾患は原因を取り除くといった考えではなく、痛みをコントロールすることで日常生活をより快適に送るこを目標とした治療となります。