肋間神経痛への対処と鍼灸治療の効果
胸や背中に痛みを感じる「肋間神経痛」は、帯状疱疹をはじめ、様々な原因により痛みが現れます。
肋間神経痛は、原因の特定と対処が大切なことはもちろんですが、鍼灸治療を併用することで肋間神経の興奮を鎮静化させ、症状の改善がスムーズになります。
今回はそんな肋間神経痛について綴らせていただきました。
肋間神経痛とは
肋間神経は背骨(椎骨)から肋骨にかけて走行し、神経が異常興奮することで痛みを生じます。
痛みは、
- 電気が走るような痛み
- チクチクした痛み
といった痛み方をします。
肋間神経痛の原因
原因は疾患の有無により、
- 病気に起因して起こる「症候性肋間神経痛」
- 原因不明な「特発性肋間神経痛」
の大きく2つに分けられます。
症候性肋間神経痛
外傷や病気が原因の肋間神経痛で、代表的な病気や怪我に下記4つが挙げられます。
帯状疱疹
症候性肋間神経痛の最も代表的なものが帯状疱疹です。
帯状疱疹は、帯状疱疹ウイルスが神経を通り、皮膚に達して皮疹を起こす疾患です。
皮膚に赤い小さな出来物や水膨れが起こる病気ですが、神経痛を引き起こすケースもあります。
病院の採血で、ウイルス抗体価を測定することでウイルスの活動性を確認することができます。
帯状疱疹は免疫力の低下している際に発症することが多いため、疲労やストレスを溜めすぎないことが重要になります。
骨折
胸部の骨折や脱臼により、神経を圧迫や損傷することで痛みが現れます。
胸部の骨折やヒビがしてしまった場合には、呼吸に伴う痛みが現れるのが特徴的です。
外傷時にはレントゲンやCT検査など、画像診断により骨折の有無を調べることが先決です。
胸椎椎間板ヘルニア
椎間板は背骨(椎骨)間のクッションの役割を担っています。
椎間板が加齢に伴い変形や潰れることで周囲に飛び出し、飛び出した椎間板により神経が圧迫されることで痛みや痺れが現れます。
身体を前後左右に曲げる、捻るといった動作時に痛みが強くなる傾向があります。
腫瘍
腫瘍により、神経を圧迫損傷して痛むケース、肋骨とは離れた部位の腫瘍があたかも肋骨や胸部が痛むような感覚(関連痛)を出す場合もあります。
特発性肋間神経痛
怪我や病気といった、原因が見当たらない場合の肋間神経痛です。
- 検査結果に異常がない
- 3ヶ月以上続く慢性的な痛み
- 片側の肋骨に沿って痛む
このような場合には特発性肋間神経痛が考えられます。
主な原因として、長時間の悪い姿勢やストレスが挙げられます。
偏った姿勢や筋肉の凝りにより肋間神経が刺激されて発症するため、凝り固まった筋肉の緊張緩和や、腹横筋や多裂筋といったインナーマッスルの強化、ウォーキングなどの適度な全身運動がとても有効です。
また、鍼灸治療も高い効果を期待できます。
鍼灸治療の効果
鍼灸治療をおこなうことで、筋緊張の緩和、過剰反応している神経の鎮静、自律神経やホルモンバランスが整うことによる免疫力向上といった効果が期待できます。
神経の鎮静化や免疫力向上は、症候性肋間神経痛の改善にも効果が期待できるため、症候性と突発性の双方に取り入れることが可能です。
しかし、症候性肋間神経痛の場合には、痛みをコントロールして徐々に寛解していくことを目標に治療を進めるケースもあり、1度で全快といった経過を期待できない場合もあります。
そのため、症候性肋間神経痛の場合には病院での治療に併用した鍼灸治療をおすすめいたします。
胸の痛みを感じたら
肋間神経痛は骨折や肺炎、ウイルスによるもの、様々な原因で起こります。
帯状疱疹が原因の場合には早い段階での抗ウイルス薬投与が重要にもなるため、胸部や背部に神経痛を感じた場合には、まず病院で診察を受けてください。
そのうえで、原因が不明な場合や3ヶ月以上痛みが続く、片側の肋骨だけ痛むといった場合には是非鍼灸をお試しください。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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