腓骨筋腱炎への対処と鍼灸治療の効果

ウォーキングやマラソン後、足の外踝(くるぶし)や足裏の小指側に腫れや痛みを感じる。

そのような場合に「腓骨筋腱炎」の可能性が考えられます。

腓骨筋腱炎は、下肢(腓骨筋)への負荷により炎症が生じた状態のため、安静にすることが大切です。

また、安静時に鍼灸治療をおこなうことで早期回復と再発予防にもつながります。

今回はそんな足の外踝(くるぶし)周辺に痛みが現れる「腓骨筋腱炎」について綴らせていただきました。

腓骨筋腱炎とは

腓骨筋腱炎は足の腱鞘炎です。

足の筋肉である「腓骨筋」は外踝(くるぶし)の後ろを通り、踵(かかと)から小指にかけて足裏の外側アーチを作ります。

ジャンプやマラソンなど、この外側縦アーチを沈ませる動作を繰り返すことで、骨に付着する部分の筋肉(腱)で炎症が生じます。

症状

腓骨筋腱炎は外踝(くるぶし)周囲の腫れや痛みが代表的な症状です。

  • 足の甲にも腫れや痛みを感じる
  • 足の外側に重心をかけると痛みが増す
  • 痛みがひどい場合には膝や腰も痛む

といった痛み方もみられます。

足全体が痛む際の注意点

腓骨筋の他にも、下肢には多くの筋肉(腱)が走行しており、

  • 内踝(くるぶし)付近:長母指筋腱炎や後脛骨筋腱炎
  • 足の甲(親指付近):長趾伸筋腱炎や前脛骨筋腱炎

といったように炎症が起きている筋肉(腱)によって治療部位が異なるため、痛む場所を正確に捉えることが重要になります。

腓骨筋腱炎の原因

遠心性収縮過剰(腓骨筋の使い過ぎ)が主な原因です。

  • 下半身の筋肉が疲れることで、体重を骨で支えようとする「骨性支持」
  • 足関節の内反方向への過剰(足先をピンと伸ばす姿勢)

が腓骨筋に過剰な負荷を与えてしまいます。

そのため、足の外側に重心を取る癖をお持ちの方(靴底が外側だけ減り易い方)は注意が必要です。

治療・対処方法

痛みや腫れが強い場合には薬物療法が検討されますが、一般的には保存療法になります。

薬物療法

ヒアルロン酸やステロイド、抗炎症薬を使用して痛みを和らげるケースもありますが、ロキソニンやモーラステープのような鎮痛系の湿布薬が処方されるケースの方が多いようです。

保存療法

最も重要且つ一般的な治療法です。

まずは患部をしっかり休ませ炎症を落ち着かせることが大切になります。

  • インソールやサポーターの使用
  • 後脛骨筋のストレッチや中臀筋の強化

といった腓骨筋への負担軽減策も効果的です。

また、鍼灸の併用も足の負担を軽減し、スムーズな回復へ繋がるためおすすめです。

保存療法に鍼灸の併用がおすすめ

鍼灸治療では腓骨筋腱炎の回復時間の短縮を治療目標として取り組みます。

そのため、「局所麻酔のような1回で痛みが無くなった」というようなことはあまり期待出来ませんが、中長期な視点で捉えると回復時間の短縮に期待出来ます。

鍼灸をおこなうことで、

  • 血行を改善して回復をスムーズにする
  • 痛みを庇うことで生じる腰や膝の負担軽減
  • 興奮している神経の鎮静化

このような効果により不均一な筋肉の緊張を整えて足への負担軽減が期待できるため、早期回復や再発防止につながります。

私の実体験

私自身も腓骨筋腱炎を経験しました。

原因は足に合わない履物での長距離ウォーキングでした。

足の外踝付近と足裏外側(小指の付け根付近)の痛みを感じたため、近所の整形外科して腓骨筋腱炎と診断を受け湿布薬をいただいて帰宅しました。

炎症があまり酷くなかったためか、「安静時に緊張の強い筋肉に鍼を用いる」といった過ごし方をして、5日程経過した時点で歩行の痛みを感じなくなりました。

痛みを感じないし・・・とウォーキングを再開した際に、当初痛めた時の半分程の距離で痛みが再発してしまい、安静にしてしっかりと完治させる重要性を経験することができました。

その後、2週間程の安静で完治しました。

腓骨筋腱炎が疑われる際には

腓骨筋腱炎は足への負担が続くことで外踝周囲に痛みが現れます。

痛みむ際には安静が第一で、サポーターやインソールを使用して腓骨筋の負担を軽減されることも効果的です。

また、お身体全体を整えることが早期回復や再発予防につながるため、保存療法に鍼灸治療の併用をおすすめいたします。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

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