眼精疲労への対処と鍼灸治療の効果
休息をとっても十分に回復しない「眼精疲労」
眼精疲労は目の使い過ぎの他、首肩こりや自律神経の乱れでも起こります。
眼を休めても改善がみられない場合には、鍼灸で全身を整えることが効果的です。
今回はそんな眼精疲労について綴らせていただきました。
眼精疲労とは
休息をとっても眼の疲れが回復しない状態です。
休息すれば眼の疲れが回復する場合を「疲れ目」、十分に回復しない状態を「眼精疲労」と呼びます。
眼精疲労は「疲れ目」より悪化している状態なので、慢性的に眼が疲れたり、頭痛や倦怠感などの全身症状が現れることで、日常生活に支障をきたすケースもあります。
昨今はPCやスマホの使用により、眼精疲労を訴える人が増加しているため特に注意が必要です。
症状
眼の疲れが主な症状です。
眼の痛み・乾きといった「眼の症状」の他に、頭痛や肩凝りなどの全身症状が現れる場合もあります。
しかし眼精疲労は、「急激な視力の低下」や「視野の一部が欠ける(歪む)」といった症状が現れることは考えづらいため、もしどちらかの症状が現れた際には、眼科の受診をご検討ください。
原因
眼(毛様体筋)の疲労が主な原因です。
長時間のPC作業だけでなく、加齢による老眼、姿勢不良や首肩凝りでも起こります。
緑内障や白内障など「眼の病気」の他、高血圧や更年期障害が原因となるケースもあり、他の病気が原因で眼精疲労が生じている場合には、原因疾患の治療が優先になります。
対処方法
毛様体筋の負担を軽減するために、眼の血流を改善することが大切です。
長時間のPC作業時には、ビタミン剤を配合した点眼薬を合間に指す、ご自身の眼に合ったメガネを使用する、といったことも毛様体筋の負担を軽減につながります。
眼の血管は、からだの中で最も細い血管のため、血流悪化の影響も強く受けてしまいます。
そのため、ホットアイマスクや蒸しタオルを使用して、眼の周囲の血流を改善することも効果的です。
また、首肩凝りや自律神経の乱れも眼精疲労を悪化させますので、休息をとっても一向に改善しない方には鍼灸をオススメします。
鍼灸の効果
鍼灸には血流を改善して自律神経を整える作用があります。
休息しても眼精疲労が回復しない方には、首肩や後頭部といった「眼の周囲」への道筋が凝り固まっている場合や、自律神経が乱れているケースが見受けられます。
鍼灸は、そのような筋肉の深い凝りを緩めて、自律神経にアプローチすることで、回復する土台を整える効果が期待できます。
実際に眼視疲労の方に鍼灸を施した結果、
- 鍼刺激により心拍数が減少して視力向上と眼疲労軽減が認められた
- 神経性、血管性、自律神経性の働きが眼精疲労および視力の改善に寄与した
といった報告も挙げられています。
そのため、セルフケアで改善が見られない方は鍼灸がオススメです。
眼の疲れを感じたら
眼精疲労は眼の酷使だけでなく、緑内障などの「眼の病気」でも起こります。
視力の急激な低下、視野の歪みといった症状がある場合は、眼科の受診をご検討ください。
休息をとっても改善しない、直ぐに疲労してしまう方には鍼灸がオススメです。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。
鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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鍼灸師のコメント
そもそも、なぜ眼が疲れるのか?
眼の中にあるピントを合わせる筋肉「毛様体筋」に疲労が蓄積することで起こります。
長時間のPC作業はピントを合わせ続けることで、毛様体筋に疲労が蓄積しやすい状況です。
また、毛様体筋は自律神経にコントロールされているため、睡眠や食事といった生活習慣の乱れが、回復を遅らせてしまうことにも注意が必要になります。