突発性難聴への対処と鍼灸治療の効果
突然耳が聞こえづらくなる「突発性難聴」は、早期の発見がとても大切になります。
そのため、急な耳の不調を感じた際には早急に耳鼻咽喉科を受診してください。
また、病院での早期治療に鍼灸治療を併用することで、聞こえづらさ改善の一助になるためおすすめです。
今回は急な耳の不調を呈する「突発性難聴」に関して綴らせていただきました。
突発性難聴とは
ある日突然、片耳(稀に両耳)の聞こえが悪くなる病気です。
幅広い年代に起こり得ますが特に40~60歳代の方に多く見受けられる傾向があります。
難聴や耳閉感など症状は様々で、症状が軽い場合に発見が遅れてしまうケースや耳鳴りで耳鼻科を受診した際に判明したといったケースもあります。
突発性難聴は自然に症状が回復するケースが少ないため、適切な治療を受けることが大切です。
完治する方もいれば、難聴が残る方や回復が見込まれない方もいる難治性の疾患で、早い段階での治療が改善確率向上に繋がるため、遅くとも2週間以内に受診することが重要になります。
原因
原因は未だ明らかになっておりません。
- 有毛細胞(耳の奥で音を感じ取る細胞)の損傷
- 内耳の環境不良(耳奥の血流循環障害)
- ウイルス感染や糖尿病の関与
といった要因が有力視されていますが、はっきりと断定はされておらず、ストレス(過労)や睡眠不足が続くと起こり易い傾向があります。
症状
代表的な耳の症状として、
- 難聴(耳が聞こえ辛い)
- 耳閉感(耳奥の詰まる感じがある)
- 耳鳴り(音が二重に聞こえる、エコーが掛かる)
が挙げられる他、目眩や吐き気を感じるケースもあり、症状の寛解増悪といった繰り返しが無いのも特徴です。
そのため、少しずつ聞こえ辛くなったという場合は突発性難聴では無く、「急性低音障害型感音難聴」や「メニエール病」が考えられます。
メニエール病の詳細はこちら
治療方法
治療方法は薬物療法と保存療法が中心になります。
薬物療法
薬物療法の中では内服や点滴によるステロイド薬の投与が代表的で、症状の重い場合には耳の中へ注入する「ステロイド鼓室内注入療法」をおこなわれます。
また、内耳(耳の奥)環境の血行改善を図るため、
- 血管拡張薬
- ビタミンB12
- 代謝促進剤
が使用されるケースも多くあります。
保存療法
突発性難聴はストレスや睡眠不足が引き金になるともいわれるため、安静に過ごすことが大切になります。
大きな音や気圧変化を避けることで耳へのストレスを軽減することや、体調改善に鍼灸を受けることも効果的です。
鍼灸は突発性難聴に効果的か?
病院での治療同様、早めの鍼灸治療併用がおすすめです。
突発性難聴は原因不明のため、原因に対してどのように鍼灸が効果を示しているのか定かではありません。
また、他の鍼灸適応疾患に比べて症例数や治療実績が乏しく、標準治療(病院での治療)と同様で、経過日数の長い場合や慢性的な場合に効果があまり期待できないといった報告もあげられています。
しかし、鍼灸にはストレス緩和作用や血液循環を改善する作用があり、内耳環境の改善にも効果的であると考えられ、急性期の治療にはとても適しています。
実際に突発性難聴の方に鍼灸治療をおこなった結果、オージオグラム(聞こえ方の検査)の数値で変化を確認するといったデータでは50%〜78%の方に有効であったと報告されており、病院での標準治療に併せた鍼灸治療はおすすめできます。
急に耳が聞こえづらくなった場合には
突発性難聴は、発症直後に適切な治療を受けられることで、予後(回復の仕方)が変わります。
そのため、突然聞こえづらくなった、耳が詰まる、といった症状を感じた際には直ぐに耳鼻咽喉科の受診をご検討ください。
また、ストレスの緩和や聞こえづらさ改善の一助になるため、病院での治療に併せて早い段階で鍼灸治療を併用されることをおすすめいたします。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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