胃・十二指腸潰瘍への対処と鍼灸治療の効果

胃炎から進行(悪化)する事でも生じる胃・十二指腸潰瘍。

胃・十二指腸潰瘍はピロリ菌にも深く関わりを持つため、原因の特定と適切な対応が重要になります。

今回はそんな胃・十二指腸潰瘍について綴らせていただきます。

胃・十二指腸潰瘍とは

胃液の強い酸(胃酸)により、胃や十二指腸の内側(粘膜)が剥がてしまったり、孔が開いてしまう状態をいいます。

胃酸は食べ物の消化や、食事と共に体内に入った細菌の除菌などを行っております。

本来、胃酸により胃や十二指腸が傷つけられないように粘膜が胃酸から守ってくれたり、早期に粘膜の修復を行うことで胃の中では攻撃と防御の均衡が保たれております。

しかし何らかの原因により、胃酸の増加や粘液分泌の減少が起こることで胃や十二指腸が傷ついてしまいます。

そもそも十二指腸とは

胃で消化された食物(栄養素)を更に消化(分解)する場所です。

胃液で酸性に傾いた食物(栄養素)をアルカリ性の液で中和したり、膵臓からの膵液や胆嚢からの胆汁など様々な消化液が加わることで消化を助けてくれる臓器になります。

胃と同じような疾患を伴うことが多く、症状を感じる部分も近いため一括りで扱われることもよくあります。

胃・十二指腸潰瘍の症状

最も代表的な症状が「みぞおちの痛み」です。

他に以下のような症状がありますが、無症状のケースもあるため注意が必要です。

  • 胸焼け
    胃液が食道に逆流することで生じます。
  • 吐血や下血
    潰瘍からの出血量が多い場合に血を吐く(吐血)や黒い便(下血)が生じます。
  • 悪心嘔吐(食欲不振)
    食べ物が胃に溜まり続ける事で気持ち悪さ(悪心)や吐き気(嘔吐)を生じます。

胃と十二指腸での症状の現れ方の違い

胃と十二指腸のどちらに潰瘍が出来ているかにより症状の現れ方が異なります。

胃場合

食事中から食後2.3時間で起こることが多く、みぞおち周囲が痛むケースが最も多いとされております。

十二指腸の場合

空腹時や食後数時間経過してから痛むことが多く、みぞおちの他に、右の上腹部や背中が痛むケースがあります。

胃・十二指腸潰瘍の原因

最も代表的な原因に「ピロリ菌」が挙げられます。

ピロリ菌は胃酸の中でも生存することができ、ピロリ菌の出す毒素により胃液の分泌が亢進してしまうと考えらえております。

また、症状を悪化させる要因にストレスや生活習慣が深く関与しています。

心身が様々なストレスに晒される事で自律神経が乱れ胃液分泌の亢進や臓器を守る粘液の減少に繋がり、臓器内での均衡が崩れることで症状が悪化してしまいます。

そのため、

  • 喫煙
  • 過労や睡眠不足
  • 大量の飲酒や刺激の強い食事
  • 薬の副作用

など心身の負担になる原因を軽減することも重要になります。

胃・十二指腸潰瘍の治療・対処法

ヘリコバクター・ピロリ菌が見受けられた際には除菌を行うケースが多く、ピロリ菌の除菌により再発頻度は低下しております。
しかし、除菌出来ない方や除菌出来ても再発する方もおり、再発し易い病気でもあります。

ピロリ菌の除菌の他に、

  • 胃酸の分泌を抑える薬
  • 胃酸を中和する薬
  • 粘膜を保護する薬

などの薬を服用して安静にするといった治療法がメインになります。

そのため、まずは病院やクリニックでの検査をお勧め致します。

病院での治療に併せて

症状を悪化させる要因でもあるストレスや生活習慣の改善がとても効果的です。

アルコールやカフェイン、脂肪分の多い食事や香辛料は胃液分泌を促進させてしまいます。
また、ストレスを受け続けることで自律神経が乱れることで胃粘膜の血流悪化やホルモンバランスの悪化に伴い、臓器が傷つきやすくなります。

そのため、

  • 食事、睡眠、運動など生活習慣の改善
  • リラックス時間の確保
  • 鍼灸やマッサージを受ける

といった生活週間の改善やストレスの緩和は潰瘍の治りを助ける事へ繋がります。

鍼灸が効果的な理由

鍼灸は痛みを脳に伝える神経経路をブロックしたり、血行を促進することで痛みや疲労の原因物質を排出する一助になります。

また、自律神経に作用して胃腸などの臓器や血管の働きを調節したり、免疫力を高める作用がある他、皮膚刺激を通じて脳(視床下部)に影響を与えホルモン分泌のバランスを整える作用や「気持ちいい」という刺激により脳内のβエンドルフィンと言った神経ペプチド「脳内麻薬物質」の分泌を活性化させ筋緊張の解消やリラクゼーション効果も期待できます。

そのため、生活習慣の改善やストレスの解消に鍼灸治療の併用はとても相性が良いと考えられます。

最後に

胃・十二指腸潰瘍は再発し易い病気です。

ヘリコバクター・ピロリ菌が見受けられた際には除菌、胃液分泌や粘液分泌が原因の場合には薬で調整しながら再発しないよう進めて行くため、しっかりと原因を特定して原因に適した治療を行うことが重要になります。

また、生活習慣やストレスとも深く関わりがありますため、ご自身にあったストレス緩和方法や生活習慣の改善を取り入れることで健康な日々をお過ごし頂けますと幸いです。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当治療室では、鍼灸適応の判別やご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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