胃・十二指腸潰瘍への対処と鍼灸治療の効果
胃や十二指腸が傷ついている状態「胃・十二指腸潰瘍」
胃十二指腸潰瘍はピロリ菌感染や自律神経の乱れることで起こります。
そのためピロリ菌の除去や鍼灸で自律神経を整えることが効果的です。
今回はそんな胃十二指腸潰瘍について綴らせていただきました。
胃・十二指腸潰瘍とは
胃や十二指腸に潰瘍が形成された状態です。
潰瘍とは皮膚や粘膜組織が深く傷ついて穴が開いてしまうことをいいます。
食べ物は食道から胃に運ばれ、胃酸により殺菌や粥状に消化されて十二指腸に送られます。
十二指腸では消化物にアルカリ性の膵液を混ぜたて中和したり、胆汁でタンパク質を分解して小腸で吸収し易い状態にします。
これら胃腸の働きがピロリ菌感染や自律神経の乱れによって、胃や十二指腸を保護をしている粘膜バランスが崩れたり、胃酸の分泌が過剰になることで臓器がダメージを負ってしまいます。
症状
「胸焼け」や「みぞおちの痛み」が主な症状です。
胃潰瘍の場合には食事中から食後に、十二指腸潰瘍の場合には空腹時や夜間睡眠中に痛む傾向があり、進行して粘膜から出血すると吐血や下血(黒い便)が現れます。
また、みぞおち周囲の不快感は「逆流性食道炎」など他の疾患でも起こるため注意が必要です。
『逆流性食道炎に関する詳細はこちら』
症状が長引く場合や、炭のような真っ黒な便が確認された際には、自己判断ではなく消化器内科の受診をご検討ください。
原因
ピロリ菌感染、自律神経の乱れが主な原因です。
胃十二指腸潰瘍の約9割はピロリ菌感染により起こるため、ピロリ菌感染の有無を確認して対応することが重要になります。
ピロリ菌感染
アンモニアを生成して自身の周囲をアルカリ性にすることで、胃酸の中でも生存できる細菌です。
ピロリ菌の出す毒素「VacA」や「ウレアーゼ」は胃粘膜を傷つける作用を持ち、ピロリ菌の除去に集まった白血球が胃の外側から攻撃することで、胃の内側と外側の両面が悪化してしまいます。
ピロリ菌の毒素は癌化への関連性も強いため、早期の除菌治療が大切になります。
自律神経の乱れ
過度なストレスや不規則な生活習慣も、自律神経を乱して胃十二指腸潰瘍の原因になります。
自律神経の乱れは胃酸分泌の亢進や粘液の減少につながり、粘膜の保護機能を低下させます。
粘膜に対する攻撃因子と防御因子の均衡が崩れた際に潰瘍になるため、バランスを整えることが大切です。
治療方法
薬物療法が中心で、ピロリ菌の感染が確認された場合には除菌を行ないます。
細菌感染がみられない場合には胃酸分泌を抑える薬や粘膜保護の薬を服用し、危険な合併症や再発を繰り返す際には手術療法が検討されます。
ドラックストアなど市販の胃腸薬には「胃酸の分泌を促して消化を助けるタイプ」と「胃液の分泌を抑えるタイプ」が販売されているので購入時には注意が必要です。
また、鍼灸で自律神経を整えることも効果的です。
鍼灸の効果
鍼灸は自律神経を整えることで胃粘膜に対する攻撃因子と防御因子のバランスを整えます。
胃の活動と自律神経は関わりが深く、身体の活動時(ストレス時)には食べ物の消化活動をストップし、安静時(リラックス時)に消化・吸収することでエネルギー効率を良くしています。
しかし過度なストレス状態が続くとバランスが乱れてしまい、安静時にも内臓が動かない、胃酸が過剰に分泌されてしまうといった状態になります。
そのため、過度なストレスや生活習慣の悪化から「胸焼けを感じる方」には鍼灸がオススメです。
鳩尾(みぞおち)に不快感を感じたら
胃十二指腸潰瘍はピロリ菌感染や自律神経の乱れで起こります。
ピロリ菌感染の場合には除菌する必要があるので、まずは消化器内科の受診をご検討ください。
ピロリ菌の疑いがなく、生活習慣やストレスにより自律神経が乱れやすい方は鍼灸をオススメします。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。
鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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