メニエール病への対処と鍼灸治療の効果
繰り返される眩暈(めまい)や耳鳴りといった症状はメニエール病のサインかもしれません。
メニエール病はストレスが原因の場合が多く、誰にでも起こり得る病気です。
今回はそんなメニエール病に関して綴らせていただきます。
メニエール病とは
眩暈(めまい)や耳鳴りや難聴といった症状が繰り返される疾患です。
突発性難聴などに近い症状を呈す事がありますが、1番の違いは症状に波があり「繰り返す」という特徴です。
症状
最も代表的な症状として「グルグルと回るような眩暈(回転性の眩暈)」が突如現れます。
眩暈の他には、
- 吐き気
- 耳鳴り
- 難聴
- 耳閉感(耳の奥が詰まった様な感覚)
といった症状が挙げられます。
症状の強さや持続時間などには個人差があり、眩暈の持続時間は数分〜数時間で治るケースが多いものの、1日中続いてしまうこともあります。
また、突如現れる眩暈の頻度(発作)も週1回現れる方もいれば、年に1度の方もいらっしゃいます。
何度も繰り返すことで耳鳴りや難聴が慢性化することもあるり、難治症の場合には内リンパ圧を減圧するために内耳構造を破壊するための投薬や外科的処置(手術)を行うケースもあるため、繰り返される眩暈などの症状を感じた場合には1度、耳鼻咽喉科の受診をお勧め致します。
原因
耳の奥(内耳)を充している内リンパ液が過剰に溜まってしまうことで起ってしまう「内耳リンパ腫(水脹れ状態)」が原因となります。
そもそも耳は、
- 外耳:耳の穴から鼓膜まで
- 中耳:鼓膜の奥で鼻(鼻腔)とも繋がる
- 内耳:聴覚を主に担当する蝸牛(かぎゅう)、平衡感覚を担当する三半規管(前庭)
と大きく3つに分けられます。
耳の中で1番奥の内耳が水脹れとなることで症状が現れる病気がメニエール病になります。
内耳には内リンパ嚢という袋構造の中にリンパ液が一定量入っており、通常このリンパ液の量は分泌と再吸収により一定量に保たれています。
しかし分泌と再吸収のバランスが崩れることでリンパ液の量が過剰になり水脹れ状態になってしまいます。
破れたりすることで内リンパ液が流出して内圧が下がると眩暈などの発作が治まります。
リンパ液の分泌と再吸収のバランスが何故崩れてしまう原因として、
- ストレス(過労)
- 睡眠不足
- 気圧(気候)の変化
などが考えられております。
治療方法
投薬で症状を緩和しながら、目眩発作の原因とされるストレスの発散や生活習慣の改善を図る事が重要になります。
加えて、
- 塩分やカフェイン、アルコールといった食生活の見直し
- 目眩が酷い場合には吐き気や乗り物酔いを防ぐ薬の服用
- ビタミン剤や利尿薬、循環改善薬の服用
- 有酸素運動や趣味への没頭
といった方法を組み合わせて行うことで、目眩発作の予防や症状軽減を図っていきます。
また、メニエール病(目眩)やストレスの緩和に鍼灸はとても効果的です。
鍼灸が効果的な理由
メニエール病の背景には、ストレスによる自律神経の乱れが挙げられます。
自律神経は興奮(緊張)の交感神経とリラックスの副交感神経、2つの神経がバランスを保つことでお身体の機能を整えています。
興奮(緊張)状態が続いてしまうと交感神経が優位になり続けてしまい、リラックスできない状態のお身体になってしまいます。
鍼灸治療を行い、自律神経が整えることでリラックス出来るお身体へと繋がります。
また、メニエール病(ストレス過多)の方の特徴として、頭や首肩の筋肉が硬くなり血液の循環が悪化しているケースが多く見受けられます。
鍼灸で硬くなった筋肉を緩め、血液の循環を改善することはリンパ液の循環(吸収)にも役立ちます。
実際にメニエール病や耳鳴りの方に鍼灸を行った報告によりますと、
- 耳鳴りの大きさが小さくなった
- 仕事中に時々気になっていた耳鳴りが、ほとんど気にならなくなった
といったお声(結果)や、目眩症状の方に定期的に鍼灸治療を行った結果として、
- 著効:35%
- 有効:35.6%
- 効果あり:14.7%
- 変化なし:14.7%
と有効率85%もの結果も得られております。
そのため、投薬や生活習慣の改善に鍼灸を是非併用されることをお勧め致します。
最後に
メニエール病の特徴は反復(繰り返す)症状になります。
眩暈の原因はメニエール病の他にも、
- 外リンパ瘻
- 聴神経腫
- 小脳などの中枢性疾患
など様々あり、他の病気による眩暈の可能性が疑われる場合に鑑別が必要です。
繰り返す眩暈や耳鳴りなどを感じた際には1度、耳鼻咽喉科を受診されることをお勧め致します。
メニエール病の場合には、投薬療法や生活習慣の改善に加えて鍼灸治療を併用されることをお勧め致します。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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