メニエール病への対処と鍼灸治療の効果
繰り返される眩暈(めまい)や耳鳴りを引き起こす「メニエール病」
メニエール病はストレスによる自律神経の乱れや内耳(耳の最奥)の循環不良によって起こる病気です。
薬物療法での症状緩和や生活習慣の見直しに鍼灸を併用することで内耳循環が整い、症状の緩和や予防効果が期待できます。
今回はそんなメニエール病について綴らせていただきました。
メニエール病とは
内耳のリンパ液が過剰に溜まり、平衡感覚や聴力に問題が生じる病気です。
そのため、眩暈(めまい)や耳鳴り、難聴といった耳の症状が繰り返される特徴があります。
突発性難聴に似ていますが、1番の違いは症状に波があり「繰り返す」という点です。
『突発性難聴の詳細はこちら』
眩暈発作の頻度は週1回の方もいれば、年1回の方もいます。
症状
代表的な症状は回転性の眩暈です。
ふわふわしている、気が遠くなりそう、など眩暈にはいくつか種類がありますが、メニエール病の眩暈は「自分や周囲が回っているかのように感じる回転性眩暈」です。
眩暈の他には、吐き気や耳鳴り、耳の奥が詰まった様な感覚(耳閉感)といった症状もあり、同時にいくつかの症状が現れることもあります。
症状の強さや持続時間には個人差があり、多くの場合は数分〜数時間で治りますが、稀に1日中続いてしまうケースもあるため注意が必要です。
耳鳴りや難聴は何度も繰り返すことで慢性化することもあり、難治症の場合には内リンパ圧を減圧するために内耳構造を破壊するための投薬や外科的処置(手術)をおこなう場合もあるので、眩暈が繰り返し起こる場合は耳鼻咽喉科の受診をご検討ください。
原因
耳の奥を充している内リンパ液が過剰に溜まる内耳リンパ腫(水脹れ状態)が原因です。
内耳には内リンパ嚢という袋の中にリンパ液が一定量入っており、このリンパ液は分泌と再吸収により一定に保たれています。
しかし、ストレスや睡眠不足、気圧の変化によって分泌と再吸収のバランスが崩れると、リンパ液の量が過剰になり水脹れ状態になって眩暈が起こります。
水脹れ状態が破れて内リンパ液が流出すると、内圧が下がり眩暈発作が治まります。
治療方法
薬物療法や生活習慣の見直しが中心になります。
薬物療法では内耳の浮腫みを軽減するために、利尿薬や内耳循環改善薬が主に処方されます。
生活習慣の改善では禁酒・禁煙が大切になります。
過度な飲酒は血中アルコール濃度の上昇に伴い血管透過性が高まり浮腫みやすい状態になり、ニコチンは血管を収縮させて全身の循環を悪化させてしまいます。
そのため、どちらもストレス解消になる適量に留めることが効果的です。
また、投薬治療や生活習慣の改善に併せて鍼灸を取り入れることで、浮腫みやストレスの緩和につながるためおすすめです。
鍼灸の効果
鍼灸では血流や自律神経を整えることで内耳の浮腫みを改善します。
首や肩の筋肉が凝り固まるとで血管を圧迫するため、頭(内耳)が浮腫む原因になります。
また、ストレスにより自律神経が乱れた状態(交感神経が優位)は、血管自体を収縮させるため全身の循環が低下して、内耳の浮腫みに拍車をかけます。
『自律神経に関する詳細はこちら』
鍼灸は凝り固まった筋肉を緩め、自律神経を整えることで全身の循環が改善するため、内耳循環の改善につながります。
実際にメニエール病や耳鳴りの方に鍼灸をおこなった結果、
- 著効:35%
- 有効:35.6%
- 効果あり:14.7%
- 変化なし:14.7%
実に有効率85%との報告や「耳鳴りの大きさが小さくなった」、「耳鳴りがほとんど気にならなくなった」といった報告がされています。
鍼灸には大きな副作用の心配もないので、投薬や生活習慣の改善に併用されることをおすすめします。
回転性の眩暈を感じたら
メニエール病は生活習慣の見直しでコントロール可能な病気です。
しかし難治症の場合には外科的療法を必要となり、「外リンパ瘻」や「聴神経腫」など他の疾患が眩暈を起こしているかもしれませんので、まずは耳鼻咽喉科の受診をご検討ください。
投薬治療や生活習慣の見直しで改善がみられない場合には、鍼灸で血流や自律神経を整えることで早期回復や予防に効果を期待出来るためおすすめです。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸院」を目指し、日々鍼灸施術に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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鍼灸師のコメント
そもそも耳は、
と大きく3つに分けられ、内耳が水脹れとなることでメニエール病は起こります。