むずむず脚症候群(RLS)への対処と鍼灸治療の効果
脚に不快な感覚を生じる「むずむず脚症候(RLS)」
むずむず脚症候群は鉄分不足が深く関与するため、生活習慣の見直しや鉄分補給が大切になります。
また、鍼灸を併用することで胃腸機能や全身の循環が回復して鉄分吸収を良くする効果が期待できるのでおすすめです。
今回はそんな「むずむず脚症候群」について綴らせていただきました。
むずむず脚症候群とは
RLSは夜間や安静時に脚に不快感が現れ、動かさずにはいられなくなる病気です。
「レストレスレッグス症候群」または「下肢静止不能症候群」とも呼ばれます。
中高年の女性に多くみられますが、誰にでも発症する可能性があり、300万人以上の方が経験されているといわれています。
鉄分不足で起こるケースが多いため、妊娠中だけ症状が現れる方もいます。
症状
主な症状は脚のムズムズ感です。
ミミズが脚を這うような、足の内部(中)がむず痒くなる症状が強く現れます。
チクチクした感覚や焼けるような痛みと表現される方もいます。
症状は夕方や夜間の安静時に、左右両側のふくらはぎに現れることが多い特徴があります。
足を動かすことで痒みが和らぐ場合もあれば、睡眠が妨げられて日中の疲労感や集中力の低下につながってしまう恐れもあります。
原因
正確な原因は不明です。
下肢の血流低下や鉄分不足による血管内皮細胞の鉄貯蔵不足が深く関連していると考えられております。
妊婦中に多い理由も、胎児への血液循環量を増やすために血液をサラサラにして血液量を増やしていることで生じています。
血液の水分(血漿成分)を増やすことで、相対的に鉄分(血球成分)が薄まることで血液をサラサラな状態にするため、普段よりも鉄不足になり易い状態です。
そのため、鉄分のサプリで改善する方や出産後に自然と解消する方も多くいます。
鉄分不足の他には、「遺伝子の原因(MEIS1の欠損)」や「ドパミン神経細胞の機能低下」、腎不全や吐き気止めなど「薬の影響」が考えられています。
治療方法
軽症の場合には生活習慣の見直し、中等度〜重症な場合には投薬治療が必要とになります。
投薬治療では「神経細胞ドパミンの働きを補う薬」や「血流改善薬」の投与など、症状や原因により異なりますので、まずは睡眠障害の精神科や神経内科といった専門医の受診をご検討ください。
原因を特定した後に、生活習慣の改善に取り組まれることをおすすめします。
また、生活習慣の改善に併せた鍼灸もおすすめです。
生活習慣での改善
カフェインやアルコールを避ける、鉄分を補給する、適度な運動など、体内の鉄分量を増やし血液循環を改善することが大切になります。
カフェインやアルコールを避ける
カフェインやアルコールの過剰摂取は眠りを浅くし、カフェインは鉄分の吸収を阻害してしまいます。
そのため、過度な摂取には注意が必要です。
鉄分を補給する
鉄分欠乏が症状を引き起こす原因の1つと考えられております。
妊婦さんの20%は鉄不足とも言われており、妊娠に伴う脚のムズムズ感が現れた際には特に意識した鉄分の摂取が重要になります。
ほうれん草やレバーを食事に取り入れる、サプリメントで鉄分を補給するといったことが効果的です。
※妊娠中にサプリメントを使用される際には、必ず主治医とご相談ください。
適度な運動
ウォーキング、入浴中のふくらはぎマッサージ、就寝前のストレッチなど、筋肉を柔らかくして血流を良くすることも重要になります。
鍼灸の効果
鍼灸は自律神経が整うことにより胃腸の機能回復や全身の循環改善に効果を期待できます。
胃腸機能が整うことで鉄分を効率よく吸収でき、血流が良くなること症状の現れている下肢にも鉄分が行き渡るため、早期回復や予防に繋がります。
『自律神経に関する詳細はこちら』
当室では、妊娠中にむずむず脚の症状を感じてお越しいただくケースが多く、妊娠中に使用可能なサプリメントや鉄分補助剤と鍼灸を併用されることでスムーズに回復されます。
そのため、「投薬治療をしても変化が現れない方」や「よくなっても直ぐに症状が再発してしまう方」は鍼灸をご検討ください。
脚にむずむず感が現れた場合には
むずむず脚症候群は、多くの人が経験する可能性のある疾患です。
軽症の場合には運動や食生活(サプリメント)の見直しで改善がみられますが、重症の場合には投薬治療が必要になるため、まずは神経内科の受診をご検討ください。
「投薬治療をしても変化が現れない方」や「よくなっても直ぐに症状が再発してしまう方」は血流や栄養を吸収する土台を整えることができる鍼灸がおすすめです。
この記事の著者
-
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
この著者の最新記事一覧
- 2024年10月4日急性低音障害型感音難聴への対処と鍼灸治療の効果
- 2024年9月22日前脛骨筋腱炎への対処と鍼灸治療の効果
- 2024年7月28日顎関節症への対処と鍼灸治療の効果
- 2024年7月23日腸脛靭帯炎(ランナー膝)への対処と鍼灸治療の効果
当室で施術対象の症状・疾患に関する記事
神経系 | 肋間神経痛・手足の痺れ・坐骨神経痛・頭痛・自律神経失調症・顔面神経麻痺 |
---|---|
運動器系 | 肩凝り・肩関節周囲炎(五十肩)・腰痛・股関節痛・膝痛・腓骨筋腱炎・足底腱膜炎・ドケルバン症候群・ゴルフ肘・上腕二頭筋長頭腱炎・骨折、打撲、捻挫・脳卒中後遺症・寝違え・テニス肘・後脛骨筋腱炎・シンスプリント・鵞足炎・膝蓋腱炎(ジャンパー膝)・腸脛靭帯炎(ランナー膝)・顎関節症・前脛骨筋腱炎 |
消化器系 | 下痢・便秘・機能性ディスペプシア(FD)・胃十二指腸潰瘍・痔疾・過敏性腸症候群(IBS) |
循環器系 | 冷え性・高血圧・低血圧・心臓神経症・閉塞性動脈硬化症(ASO) |
感覚器系 | 眼精疲労・突発性難聴・耳鳴り・メニエール病・ものもらい・結膜炎・花粉症・めまい・眼瞼痙攣・急性低音障害型感音難聴 |
呼吸器系 | 風邪症候群・気管支喘息 |
婦人科系 | 不妊症・逆子・月経痛・女性更年期障害・乳腺炎 |
代謝内分泌系 | 糖尿病・痛風・脚気 |
泌尿生殖器系 | 前立腺肥大症(BPH)・膀胱炎・過活動膀胱・男性更年期障害 |
その他 | 慢性疲労症候群(CFS)・脱毛症・不眠症・むずむず脚症候群(RLS)・不安神経症・関節リウマチ(RA)・アトピー性皮膚炎(AD)・鬱病(大うつ病)・不定愁訴 |
指定難病 | パーキンソン病(PD)・全身性強皮症(SSc) |
アクセス
東京都港区白金3-9-16 マロン白金3A
東京メトロ
白金高輪駅(4番出口)より 徒歩6分
白金台駅(2番出口)より 徒歩9分
都営バス
渋谷-新橋(赤羽橋)「四の橋」より徒歩3分
渋谷-田町「三光坂下」より徒歩3分