糖尿病への対処と鍼灸治療の効果
遺伝や生活習慣などによって起こる「糖尿病」
糖尿病は原因に合わせてインスリン注射による補充や生活習慣を見直すことがとても大切になります。
また、通常の治療に鍼灸治療を併用することで末梢循環の改善やHbA1c(血液検査数値)の改善が期待できるため鍼灸もおすすめです。
今回はそんな糖尿病に関して綴らせていただきました。
糖尿病とは
膵臓で作られるインスリン(血糖調節ホルモン)の作り方や使い方に問題が起こり血糖値が高くなってしまう病気です。
インスリンは食後に血糖値が上昇することで膵臓から分泌されて細胞内への糖の取り込みを手助けしてエネルギーに変える働き、余った糖をグリコーゲンや中性脂肪に合成して蓄える働きをしています。
そのため、インスリンの作用に問題が起こるとエネルギーを上手く作り出せない、血糖値が高い状態で維持してしまうといった状態になります。
症状
高血糖に伴う倦怠感や口渇、神経障害が主な症状になります。
徐々に進行していくケースが多く自覚症状に乏しいため、健康診断など定期的な検診が大切になります。
易疲労感
インスリンの分泌低下により細胞への糖(エネルギー)供給が低下してエネルギー不足になるため倦怠感や無気力感に繋がります。
口渇(多飲)や頻尿
血糖値が高くなり浸透圧が上昇するため尿量が増えてしまい頻尿や口渇といった脱水状態に近づきます。
神経障害
血糖値の上昇により神経細胞内に「ソルビトール」という物質が蓄積することで神経障害を起こして足の痺れや浮腫みが生じます。
糖尿病の原因
糖尿病は1型と2型、その他の3つに大きく分かれます。
1型糖尿病
インスリン依存型とも呼ばれインスリンを作る過程に問題があるタイプです。
自己免疫疾患やウイルス感染により膵臓内のインスリンを作るB細胞が壊されてしまうケースや特発性(原因不明)のものがあり、完全な予防方法がまだ確立されていません。
そのため、1型糖尿病の場合には不足したインスリンを自己注射で補う必要があります。
2型糖尿病
インスリン非依存型は生活習慣病の1つにも挙げられ、日本の糖尿病患者9割以上の方が2型糖尿病ともいわれております。
「遺伝的な要因」で2型糖尿病になるケースもあれば、暴飲暴食や運動不足といった生活習慣によりインスリンの分泌不全や阻害物質が体内に溜まることが原因となるケースもあります。
2型糖尿病の場合にはインスリンの自己注射が十分に作用しない傾向があり、生活習慣を意識して日常生活を送ることで悪化を防ぐことが重要になります。
その他
糖尿病以外の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇してしまう場合や妊娠糖尿病が挙げられます。
妊娠糖尿病
胎盤からのホルモンの影響によりインスリンの効きが低下することで食後の血糖値が上昇しやすい状態になります。
出産後には正常な血糖値に戻るケースが多いとされていますが、妊娠糖尿病を経験された方は将来的に糖尿病になりやすいともいわれているため注意が必要です。
検査と治療方法
- 血糖値(随時)200mg/dL以上
- HbA1cの値が6.5%以上
- 早朝空腹時の血糖値126mg/dL以上
- 経口ブドウ糖負荷試験(75グラムのブドウ糖水を飲んだ2時間後に血糖値を測定)の血糖値が200mg/dL以上
上記検査を2回実施して、いずれかの所見が2回とも確認されると糖尿病となります。
治療方法
インスリン注射による補充が中心ですが、症状や状態によってはグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の分泌を抑制する「血糖降下剤」などの併用(切り替え)をおこない、血糖値をコントロールしていきます。
また、2型糖尿病の場合には生活習慣の改善に取り組みます。
生活習慣の改善には適度な運動と高脂質や高コレステロールを避けたバランスの良い食事が大切です。
シナモンは糖尿病に効果的?
血管は血管内皮細胞と壁細胞(中膜と外膜の二重構造)2つの結びつきが悪くなると剥がれやすく、脆くなる性質があります。
毛細血管が健康であれば「Tie2」という受容体が活性化することで血管内皮細胞と壁細胞の結びつきが強くなるのですが、この受容体の働きを強めるのがシナモンです。
血管が修復されると先へ伸びようとする血管新生が働くため、血管修復の好循環に繋がります。
また、栄養素の吸収率向上や全身の血流改善を期待できる鍼灸の併用もおすすです。
鍼灸治療にはなにが期待できるか
鍼灸で最も期待できる効果の1つが循環改善です。
循環不良は神経細胞内に「ソルビトール」という物質が蓄積を進めて更なる循環不良へと陥ってしまうため、適度な運動をはじめとした循環改善が大切になります。
循環改善の他にも、内臓の機能を高めることで栄養物の吸収率が向上するため、食生活の改善にもお役に立てます。
実際に糖尿病患者へ鍼灸を施した結果、HbA1c(血糖査数値)の改善がみられたとの報告もあげられており、鍼灸は糖尿病に伴う諸症状改善の一助になります。
鍼灸を受ける際の注意点
糖尿病は進行状態により神経や血管が損傷し易い状態になっていたり、自然免疫や獲得免疫に変化が起こることで易感染性となる特徴があります。
そのため、病状によって鍼灸が適さない場合や主治医の意向に適さない場合があります。
患部を消毒して、滅菌した使い捨ての鍼を使用することは当然なのですが、免疫抑制状態の時には鍼を控えて欲しい旨を主治医の先生にいただくこともあります。
そのため、鍼灸治療の併用をお考えの際には主治医とご相談されたうえでご検討ください。
糖尿病の発見には定期的な検診を
糖尿病は症状が徐々に進行していく気付きづらい病気です。
しかし、2型糖尿病(生活習慣が原因のケース)の場合には生活習慣の見直しを徹底することで進行を防ぐことができます。
生活習慣の改善に鍼灸を併用されることで血糖値や循環不良を改善してお身体を良い状態にする効果を期待できるため、主治医にご相談のうえ是非ご検討ください。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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鍼灸師のコメント
糖尿病の放置は網膜症、腎症、神経障害(三大合併症)へ進行する恐れがあり注意が必要です。