痛風への対処と鍼灸治療の効果
痛風の治療は食生活や日常生活の改善が重要になります。
食生活や日常生活の改善に加え、鍼灸治療を行うことで過剰なストレスにより乱れてしまった自律神経のバランスや血流を整えることが期待できます。
ストレスの緩和や血流・自律神経を整えることは、原因物質である尿酸の産生や排出の改善にも繋がります。
そのため、普段の治療や予防に鍼灸治療を併用される事をお勧め致します。
今回はそんな痛風について綴らせていただきます。
痛風とは
風のように「急に痛み・急に去る」ことから痛風と呼ばれ、
痛風の9割以上が男性で、お肉やアルコールなどのプリン体の過剰摂取で起こることから贅沢病とも呼ばれてきました。
痛風は体内の尿酸値が過剰(7.0mg/dl超え)になり関節などに溜まって結晶化した結果、白血球が結晶を排除する過程で炎症を引き起こすことで痛みや腫れを生じる疾患です。
生活習慣の改善をはじめ、適切な治療を継続することで寛解する一方、放置してしまうと関節炎の繰り返しによる結節や腎臓の機能低下にも繋がってしまう病気です。
そのため、適切な治療の継続が大切になります。
また、痛風は高血圧や糖尿病などの合併も多いため注意を払いながら治療を継続する事も重要です。
痛風の原因
尿酸のもとになる「プリン体」
このプリン体は通常量であれば分解されて尿酸となり、尿として体外に排出されます。
しかし、プリン体の過剰摂取により尿酸の過剰な生成や排出が滞ってしまうことで体内の尿酸値が上昇し、過剰になってしまった尿酸は関節などに溜まることで結晶化します。
結晶化してしまった物質(異物)を排除する過程で白血球が炎症や腫れを生じてしまいます。
また、ストレスも尿酸値の上昇に深く関わっていると考えられております。
過度なストレスが加わることで、
- 血管を収縮して腎臓の働きを低下させてしまう
- 自律神経が乱れてエネルギー消費が増えることで尿酸が過剰に生成される
- ホルモンバランスが乱れて腎臓から排出されづらくなる
- ストレスにより暴飲暴食をしてしまう
といった関係性が考えられております。
痛風の症状
最も代表的な症状として「足の親指(付け根)に激しい痛み」が生じることが挙げられます。
また、足の親指以外にも
- 足の甲
- 膝や肘の関節
- 耳たぶ
などにも痛みや腫れが生じるケースがあります。
尿酸イオンの結晶化は尿酸値(濃度)の上昇の他にも、温度の低下で析出しやすくなる傾向があるため、足の親指や耳たぶなど体幹との温度差が激しい場所に好発する特徴を持っています。
また、痛みは「痛風発作」とも呼ばれ突然痛みはじめ、しばらくすると治る特徴があります。
この尿酸値が高い(痛風発作)状態を繰り返すことで関節結節や腎機能の障害へと繋がってしまうことが痛風の怖いところです。
診断と治療
まずは病院での診断になります。
足の親指の付け根などの症状に加え、尿酸値や関節内の結晶の有無を調べます。
関節内の結晶を調べることで、偽痛風や外反母趾といった似た症状を持つ疾患の鑑別が行えます。
治療(予防)
痛風は体内に尿素が過剰になっていることが原因のため、正常範囲にコントロールすることで痛風発作や他の症状の予防にも繋がります。
痛風発作の痛み(炎症)が強い場合には、消炎鎮痛薬で痛み(炎症)を抑えます。
その後、痛みや炎症が治まってきた後に尿酸値を下げる治療へと移っていきます。
治療法は主に薬物療法と適度な運動(生活習慣の改善)がメインになります。
薬物療法
尿酸の生成を抑える・尿酸の排泄を促すといった薬を症状に合わせて用います。
内服薬で血中尿酸値をコントロールしていきます。
食生活の見直し
- プリン体を多く含む食品(お肉やアルコールなど)を控える
- 水分をしっかり取る
といった食生活に切り替えて、尿酸が体内で過剰にならないように抑えることが重要になります。
適度な運動
ウォーキングなどの適度な運動
過度な運動はかえって尿酸値を上昇させてしまうため注意が必要です。
最後に
鍼灸は、自律神経やホルモンバランスの乱れ・血流などを正常に整えることを得意としています。
痛風の原因にもなるストレスの緩和や自律神経・ホルモンバランスを整えることで、尿酸の過剰な生成や排泄機能の低下を防ぐ助けになるだけでなく、手足など身体の末端まで血流を整えることで、関節で尿酸が結晶化する際の特徴でもある「温度が下がるほど析出しやすくなる」といったことを防ぐ期待が持てます。
痛風は劇的に回復できる治療法は無いものの、しっかりと治療に取り組むことで悪化を防ぐことが出来る病気です。
そのため、お身体を良い状態に保つためにも鍼灸治療の併用をお勧め致します。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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