脚気への対処と鍼灸治療の効果
ビタミンB1欠乏により、以下のような症状が出る「脚気」
- 食欲不振
- 全身倦怠感
- 手足の浮腫み
また、ひどい場合には、末梢神経障害が生じることもあります。
脚気の改善には、食生活の改善を整える(ビタミンB1の摂取)ことが最優先になりますが、鍼灸治療を併用することにより、
- ビタミンB1を速やかに吸収出来る身体作り
- 脚気に伴う諸症状の改善
などの効果が期待出来ます。
現代では食生活の変化により少なくなってきている「脚気」
今回はそんな「脚気」について綴らせていただきました。
脚気とは
脚気とはビタミンB1が欠乏して起きる病気のことです。
主に以下のような症状が出ます。
- 食欲不振
- 全身倦怠感
- 手足の浮腫み
また、症状が悪化する事で手足の痺れや手足に力が入らないなどの末梢神経障害の発生や心不全が悪化して死に至る場合もあり侮れない病気です。
脚気は「江戸患い」とも呼ばれておりました。
江戸時代、これまで玄米食が中心であった状況から新たに白米食が広がり始めました。
玄米を精米することで胚芽部に多く含まれるビタミンB1が取り除かれて欠乏状態になってしまった結果、白米食を中心に食べている人に体調が悪くなってしまう事が多く見られました。
現在は食事で自然に補えるようになり発症者の数もめっきり減りましたが、ジャンクフードや偏食により現代も見受けられるケースがあります。
脚気が悪化してしまった際の症状
末梢神経障害
末梢神経障害とは、大きく3つの働きがある神経が障害されてしまうことで下記のような症状を生じてしまいます。
運動神経
筋肉を動かす担当の神経です。
障害されると、手足の筋力低下につながります。
感覚神経
痺れや痛みを感じ取る担当の神経です。
障害されると、痺れや痛みに対して過敏になったり、逆に感覚が鈍くなったりします。
自律神経
体温調節などを行う担当の神経です。
障害されると、異常な発汗や異常知覚が生じます。
心不全
心臓に異常が生じる事で、血液を全身に送るポンプの役割を果たさなくなってしまいます。
脚気の原因
脚気の原因はビタミンB1の不足です。
ビタミンB1はエネルギー代謝の補酵素として使用されるため、不足すると代謝障害や神経障害などを引き起こします。
ビタミンB1は自力で体内合成することが難しいため食べ物から摂取して補う必要があります。
現在は下記2つの原因により欠乏してしまうケースが殆どです。
食事の偏り(ビタミン摂取不足)
ジャンクフードや加工食品などの偏食によって食事から必要量が摂れない事で不足してしまいます。
アルコールなどの過剰摂取(ビタミン使用過多)
アルコール分解には多量のビタミンB1が使用されます。
そのため、大量の飲酒によりビタミンB1が不足してしまいます。
脚気の治療・予防
まずは脚気の検査を行い、脚気かの判断をする必要があります。
脚気の検査
膝下の凹みを軽く叩いて足が自然に跳ね上がるかどううかを見る検査方法(膝蓋腱反射)を行います。
正常な場合には足が前方に跳ね上がります。
- 足が跳ね上がらない
- 身体の疲れが抜けにくい
- 手足に痺れや感覚異常がみえられる
といった場合には主治医または内科や整形外科の受診を検討して下さい。
治療
点滴や注射により、ビタミンB1の補給を行います。
ビタミンB1を身体に補給する事で概ねの症状に改善がみられる事が殆どですが、末梢神経障害を生じている場合には時間がかかる場合もあります。
また、アルコール依存症の方に対しては、アルコール依存症の治療と並行します。
予防
アルコールの飲み過ぎに注意を払い、バランスの取れた食生活を送る事が重要になります。
ビタミンB1を多く含む食材で代表的なものに、
- 玄米
- 豚肉
- うなぎ
- 大豆
などがあります。
食事でコントロールする事が難しい場合にはサプリメントも効果的です。
また、ビタミンの吸収効率を上げるためにも鍼灸治療の併用をお勧め致します。
鍼灸治療の効果
鍼灸治療では主に、
- ビタミンB1を速やかに吸収出来る身体作り
- 脚気に伴う諸症状の改善
を目標に取り組んでいきます。
しっかりと栄養を吸収できるお身体に整えていく他に、脚気が悪化して末梢神経障害が生じている場合には、末梢循環を改善することで神経や筋肉内の血流を改善し、手足の痺れなどの自覚症状改善にも効果的です。
日頃からバランスのとれた食事を
偏食やアルコールの飲み過ぎはビタミン不足を招く他に、アルコール依存症の原因にもなりかねません。
日頃からバランスのとれた食事やアルコールの飲み過ぎに注意して健康な日々をお過ごしいただけますと幸いです。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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