不安神経症への対処と鍼灸治療の効果
日常生活に支障をきたす程、強い不安感や恐怖心を生じる「不安神経症」
不安神経症は強いストレスを上手に解消できない場合に起こりやすい特徴があります。
そのため、鍼灸でストレスを解消し、自律神経を整えることがとても効果的です。
今回はそんな不安神経症について綴らせていただきました。
不安神経症とは
生活の中に潜む不安や恐怖心を強く継続して感じることで、日常生活に支障をきたしてしまう状態です。
例として「事故を起こしたらどうしよう」といった不安感から運転ができないなどが挙げられます。
不安神経症は「強いショック」や「大きな環境の変化」で起こることが多く、神経質な方ほど発症しやすい傾向があり、気を配ることが上手な女性が特に多い傾向がみられます。
「日常生活に1ヶ月以上影響を及ぼしているか」が心配性との違いです。
症状
代表的な症状は強い不安感や心配事ですが、注意力の低下といった精神的な症状、動悸や眩暈といった身体的な症状もあります。
症状は「決まった場所」や「特定の状況」で現れる傾向があります。
一度そのような状況に陥ってしまうと「また症状が現れるのでは・・・」と不安や恐怖心が強くなり、悪循環になってしまいます。
強い恐怖心や不安感のため鬱病にも似ていますが、不安神経症は「やる気の低下はあまりない」といった特徴があります。
しかし、不安神経症の方が鬱病を併発するケースも多いため注意が必要です。
『うつ病の詳細はこちら』
精神的な症状
強い不安感の他に、思考力や記憶力、注意力や判断力の低下が挙げられます。
身体的な症状
動悸や震えの他に、頭痛や首肩コリ、下痢や便秘、全身倦怠感などが挙げられます。
原因
強いストレスが原因といわれますが、脳内の神経伝達物質の問題、遺伝的な要因など、複雑に絡み合っているとされております。
また、加齢や季節の変化による身体への負担、過労や睡眠不足、などが原因で発症する場合もあります。
治療と予防方法
薬物療法と認知行動療法が中心になります。
また、ストレスの解消や身体的症状の緩和に鍼灸の併用も効果的です。
薬物療法
ベンゾジアゼピン系の抗不安薬が中心に処方されます。
脳内で「GABA」の働きを強めることで、恐怖や心配事で興奮状態になっている脳をスローダウンさせて不安や緊張を和らげます。
認知行動療法
不安や恐怖心は「自分の考え方の癖である」と捉え、認知や思考を修正していく方法です。
不安や恐怖感を克服するために、心理療法士と一緒に恐怖の原因に直面して少しずつ慣れることで自信を付けていく方法です。
鍼灸の効果
鍼灸は血行を整えることで自律神経やホルモンバランスを正常な状態に安定させる効果、頭痛や首肩こり、腹部の不快感、などの身体症状の改善が期待できます。
不安感が強い場合には脳内は興奮状態にあり、身体は自律神経(交感神経優位)が乱れた状態にあります。
「疲れている時は些細なことで腹を立ててしまう」ように自律神経を整えて身体を整えておくことは、気持ちに余裕を作ることに役立ちます。
そのため、薬物療法や認知行動療法に併用して鍼灸を取り入れ、お身体の状態を常に良い状態へ整えることをおすすめします。
日常生活に支障が現れるほどの不安感を感じたら
不安神経症の診断項目は多岐にわたり、他の疾患の可能性も考慮する必要があるので、まずは心療内科の受診をご検討ください。
過労やストレスにより心のバランスが乱れてしまう「不安神経症」は、適切な診断と治療(薬物療法・認知行動療法)が大切になります。
また、鍼灸の併用は過剰なストレスや心のバランスを整え、ストレスに負けない身体づくりや諸症状の緩和を期待する事ができるためおすすめです。
この記事の著者
-
「白金のかかりつけ鍼灸院」を目指し、日々鍼灸施術に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
この著者の最新記事一覧
- 2025年1月10日鍼とお灸の施術効果の違いについて
- 2024年12月27日胸郭出口症候群への対処と鍼灸治療の効果
- 2024年10月4日急性低音障害型感音難聴への対処と鍼灸治療の効果
- 2024年9月22日前脛骨筋腱炎への対処と鍼灸治療の効果
当室で施術対象の症状・疾患に関する記事
神経系 | 肋間神経痛・手足の痺れ・坐骨神経痛・頭痛・自律神経失調症・顔面神経麻痺 |
---|---|
運動器系 | 肩凝り・肩関節周囲炎(五十肩)・腰痛・股関節痛・膝痛・腓骨筋腱炎・足底腱膜炎・ドケルバン症候群・ゴルフ肘・上腕二頭筋長頭腱炎・骨折、打撲、捻挫・脳卒中後遺症・寝違え・テニス肘・後脛骨筋腱炎・シンスプリント・鵞足炎・膝蓋腱炎(ジャンパー膝)・腸脛靭帯炎(ランナー膝)・顎関節症・前脛骨筋腱炎・胸郭出口症候群(TOS) |
消化器系 | 下痢・便秘・機能性ディスペプシア(FD)・胃十二指腸潰瘍・痔疾・過敏性腸症候群(IBS) |
循環器系 | 冷え性・高血圧・低血圧・心臓神経症・閉塞性動脈硬化症(ASO) |
感覚器系 | 眼精疲労・突発性難聴・耳鳴り・メニエール病・ものもらい・結膜炎・花粉症・めまい・眼瞼痙攣・急性低音障害型感音難聴 |
呼吸器系 | 風邪症候群・気管支喘息 |
婦人科系 | 不妊症・逆子・月経痛・女性更年期障害・乳腺炎 |
代謝内分泌系 | 糖尿病・痛風・脚気 |
泌尿生殖器系 | 前立腺肥大症(BPH)・膀胱炎・過活動膀胱・男性更年期障害 |
その他 | 慢性疲労症候群(CFS)・脱毛症・不眠症・むずむず脚症候群(RLS)・不安神経症・関節リウマチ(RA)・アトピー性皮膚炎(AD)・鬱病(大うつ病)・不定愁訴 |
指定難病 | パーキンソン病(PD)・全身性強皮症(SSc) |
アクセス
東京都港区白金3-9-16 マロン白金3A
東京メトロ
白金高輪駅(4番出口)より 徒歩6分
白金台駅(2番出口)より 徒歩9分
都営バス
渋谷-新橋(赤羽橋)「四の橋」より徒歩3分
渋谷-田町「三光坂下」より徒歩3分