脱毛症(円形脱毛症・AGA)への対処と鍼灸治療の効果

部分的に毛が抜ける(円形脱毛症)、ヘアサイクルが早まる(AGA)などの「脱毛症」

脱毛症に対して鍼灸はストレスや頭皮環境が原因の脱毛症には効果を期待できますが、男性ホルモンが原因の脱毛を抑制する効果は期待できません。

今回はそんな代表的な脱毛症である、円形脱毛症とAGAについて綴らせていただきました。

脱毛症とは

毛周期(ヘアサイクル)が早まったり、脱毛本数が増加したものを脱毛症と呼びます。

髪の毛は紫外線や外部からの衝撃を和らげる、保温する、不要なものを排泄するなどの働きがあります。

これらの働きが円滑に機能するために「成長期(2〜6年)→退行期(2.3週間)→休止期(3ヶ月程)」といった一連の毛周期が存在します。

平均10〜15万本あるとされる毛髪の9割が成長期、1割が退行期・休止期に該当するため、1日の脱毛量が50〜100本は一般的な範疇で、この毛周期や脱毛量を逸脱した状態が脱毛症です。

代表的な脱毛症には「円形脱毛症」と「AGA」があり、原因や対処方法が異なります。

円形脱毛症

自覚症状がなく、頭部に10円玉サイズの円形脱毛があることで気づく脱毛症です。

25歳以下の若者に多くみられ、約半数が1年以内に再発するという特徴があります。

円形脱毛症は抜け方により、

  • 頭部に1つだけ円状の脱毛がある「単発型」
  • 複数箇所抜ける「多発型」
  • 頭部全体が抜けてしまう「全頭型」
  • 全身に脱毛が及ぶ「汎発型」

に大きく分けられ、全頭型と汎発型は治りにくい傾向がみられます。

円形脱毛症の原因

遺伝的素因やアレルギー説など多くの原因が考えられていますが、自己免疫疾患説が最も有力です。

自己免疫疾患はウイルスや細菌から身体を守る「免疫(リンパ球)」が毛の根本(毛根)を異物と誤認識して攻撃することで毛が抜けてしまいます。

しかし、何故その様な誤認識を生じてしまうのかは未だ明らかになっておらず、免疫の異常を発生させる要因としてストレスなどが挙げられています。

円形脱毛症の一般的な治療法

ステロイドの「局所注射」や患部に塗る「外用療法」で免疫機能を抑える方法が中心です。

ステロイド療法以外では、脱毛部位にアレルギー反応(かぶれ)をわざと起こして、免疫バランスを変化させることで円形脱毛症の改善を目指す「局所免疫療法(SADBE療法)」もありますが、皮膚炎やアトピーを悪化させてしまうこともあり注意が必要な療法になります。

AGA

AGAとは、Androgenetic(男性ホルモン)Alopecia(脱毛症)です。

20代以降の男性特有な脱毛症で、通常は5年近くある毛周期が1年未満になるなど、毛周期が極端に短くなることで、抜け毛や薄毛が徐々に目立っていく特徴がみられます。

毛周期は生涯40回程度と上限があり、上限回数に達すると毛が生えてこなくなることから「生涯進行型の脱毛」とも呼ばれ、早めの治療が大切になります。

AGAの原因

遺伝や男性ホルモン分泌が主な原因です。

ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる男性ホルモンが過剰に分泌されることで、毛周期を早めてしまい、毛髪が十分に育つ前に抜けてしまいます。

AGAの一般的な治療法

「男性ホルモンを抑える薬」や「毛周期を伸ばす薬」での薬物療法が中心になります。

  • フィナステリド:男性ホルモン(DHT)の産生を抑制してAGAの進行を抑える
  • メソセラピー:毛髪の成長因子を頭皮に直接注入して発毛を促す
  • ミノキシジル:頭皮の血流を改善、毛根(毛乳頭)での成長を助ける

鍼灸の効果

鍼灸は自律神経を整えて血流を促進する作用があり、ストレスの緩和や頭皮環境を整えることで円形脱毛症の改善や治療薬の効果を高める働きが期待できます。

実際にストレスにより生じた円形脱毛症の改善例(特に単発型)は多く報告されており「成長期毛性脱毛症候群(円形脱毛症)は自律神経の変調を想起させる症状が頭皮と身体の双方で高確率に認められた」と有効性の報告も挙げられています。

しかし、AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の抑制効果は無いため、直接AGAを治療するといったことは期待できません

AGA治療薬がしっかりと効く土台作りを目的とされる際にはオススメできますが、完全自費になるので費用対効果が高いとは言えない現状です。

脱毛症にお悩みの際には

脱毛症はストレスや男性ホルモンによるものだけでなく、持病や甲状腺疾患でも起こり得ます。

疾患の場合には倦怠感や発熱を伴うことあるため、まずは皮膚科の受診をご検討ください。

単発型円形脱毛症の改善や治療薬の効果を高めたい方には鍼灸をオススメします。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。

鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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