パーキンソン病(PD)への対処と鍼灸治療の効果

運動の機能が低下して日常生活に影響を与える難病「パーキンソン病」

パーキンソン病は指定難病の1つで、適切なサポートにより生活の質を向上することが大切です。

薬物療法に併せて鍼灸を行うことで局所血流改善や筋緊張を緩和することができます

今回はそんなパーキンソン病について綴らせていただきました。

パーキンソン病とは

パーキンソン病(PD:Parkinson disease)は神経変性により運動機能障害が起こる難病です。

50〜65歳で発症しやすく、高齢化や診断技術の向上に伴い患者数は増加傾向にあります。

進行性の病気ですが、治療方法の進歩により安定した生活を送ることができる方も増えてきました。

パーキンソン病は症状の程度によって、I〜Ⅴ度の「Hoehn&Yahr 重症度分類」があり、Ⅲ度以上が指定難病の医療費助成対象になります。

  • Ⅰ度:身体の片側に震えや筋固縮がみられるが日常生活に影響はない
  • Ⅱ度:身体の両側に震えや筋固縮がみられるが日常生活に介助は必要ない
  • Ⅲ度:歩幅が小さくなる、転倒が増えるため日常生活に支障はあるが介助なしで過ごせる
  • Ⅳ度:歩くことが難しくなり介助が必要になる
  • ⅴ度:車椅子が必要になり全面的な介助が必要になる

症状

4大兆候として安静時振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害といった運動機能の症状が代表的です。

便秘や睡眠障害(うつ症状)など運動機能以外の症状もあり、組み合わさって徐々に進行していきます。

1.安静時振戦

パーキンソン病の初期症状として多くみられ、手や指先が小刻みに震える症状です。

震えは安静時に強く、動かしている時には弱まる傾向がみられます。

字を書いたり、細かい作業をすることが難しくなります。

2.筋固縮

筋肉が持続的に緊張することで硬くなり、関節の動きがスムーズにいかなくなる症状です。

腕を曲げ伸ばしする際の抵抗感や、筋肉の凝り感が強く現れます。

服を着替えたり、ベットから起き上がり難くなります。

3.無動

動き緩慢になり、動作開始に時間を要する症状です。

表情も乏しくなることから「仮面様顔貌」とも言われます。

食事や会話といった日常生活動作のスピードが落ちてしまいます。

4.姿勢反射障害

転倒しそうな時に身体を支える「姿勢反射」が円滑に働かず転倒リスクが上がる症状です。

前傾姿勢で歩幅が小さくなる「突進様歩行」になりやすく、止まろうとしても前に進んでしまいます。

転倒による外傷(骨折)に注意を払う必要があります。

原因

脳(黒質)のドパミンの減少が原因で起こります。

ドパミンは脳の指令を筋肉に伝え、身体をスムーズに動かす大切な役割を担っています。

そのためドパミンが減少すると、震えや動作が遅くなるといった症状が現れます。

ドパミンがなぜ減少してしまうのかに関しては未だ解明されていませんが、「αシヌクレイン」というタンパク質が過剰に蓄積することで神経細胞がダメージを受けてしまう説が有力です。

治療方法

薬物療法が中心になります。

パーキンソン病を完全に治す治療薬はありませんが、ドパミンの不足を補う薬(Lドパ)、効果を持続させる薬(MAO-B阻害薬)などにより、ドパミンの働きを円滑にして進行をゆっくりにします。

薬の服用後、次に薬を服用するまでの間に症状が強く現れる(ウェアリングオフ現象)場合には、服用中の薬を主治医と相談したり、薬の効いている時間帯を考慮して1日のスケジュールも組むことも大切になります。

また、薬物療法と同じくらいリハビリ運動が重要です。

身体を動かしたり、発声練習することが、筋肉の柔軟性を保ち症状の悪化を遅らせます。

筋肉の緊張が強い場合や便秘など運動以外の症状が現れている際には、鍼灸も効果的です。

鍼灸の効果

鍼灸は血流改善や筋緊張を緩和して進行を抑制する期待ができます。

パーキンソン病は筋肉が常に緊張していて、関節の動きも制限されています。

鍼で筋肉の緊張を緩めて関節の可動域を広げることは転倒予防に、血流改善は疼痛緩和につながります。

実際にパーキンソン病の方に鍼治療を行なったところ、「局所血流・筋緊張緩和・下行性抑制効果により改善に有効である」との報告や「薬物療法のみ群と鍼灸併用群を比較した結果、鍼灸併用群ではパーキンソン病の進行抑制に効果を与えた」との報告もされています。

筋肉の緊張が強い方、便秘や睡眠障害にお悩みの方に、薬物療法と鍼灸の併用がオススメです。

パーキンソン病と診断されたら

パーキンソン病の進行を抑制するには薬物療法と同じくらいリハビリ運動が大切です。

筋肉が硬くなりやすく転倒しやすいため、外傷(骨折)に注意しながら取り組む必要があります。

可動域制限が強い場合には、筋緊張の緩和に鍼灸もオススメです。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。

鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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