顎関節症への対処と鍼灸治療の効果
顎が痛み、口を大きく開けられない「顎関節症」
顎関節症は、関節包や靱帯、筋肉の緊張など、さまざまな要因が関与して起こります。
噛む筋肉が緊張することで症状が現れている場合には、鍼灸も回復の一助となります。
今回は顎関節症への対処方法と鍼灸の効果についてご紹介いたします。
顎関節症とは
顎関節やその周囲組織に異常が生じ、痛みや開口障害、関節音などが現れる状態の総称です。
関節構造・筋肉の緊張・生活習慣などが複合的に関与しているケースが多いのが特徴です。
顎関節症の分類
顎関節症は、症状や原因の違いにより、以下のように分類されます。
- Ⅰ型:咀嚼筋障害(筋肉の緊張が主因)
- Ⅱ型:関節包・靱帯障害(外傷などによる炎症)
- Ⅲ型:関節円板障害(クリック音や開口障害)
なかでも、咀嚼筋の緊張が関与するⅠ型や、筋緊張を伴うⅢ型が多くみられます。
症状
顎関節痛、開口障害、関節雑音が主な症状です。
顎関節痛
口を開ける、噛むといった動作時に痛みが現れます。
開口障害
口が途中までしか開かない、大きく開けられない状態です。
指1本分ほどしか開かないこともありますが、完全に閉じたままになることはほとんどありません。
関節雑音
パキッというクリック音や、ギシギシとした摩擦音が生じます。
音のみで痛みを伴わないケースもありますが、痛みが強い場合には注意が必要です。
原因
咀嚼筋の使い過ぎが多く関与します。
歯を無意識に接触させる癖(TCH)、片方で噛む、ストレスといった要因で、噛む筋肉が持続的に緊張すると、筋肉の柔軟性が低下して痛みを生じます。
通常、上下の歯は2mm程離れており、口を完全に閉じている時間は1日15分程度のため、なぜ噛む筋肉を使い過ぎているのか、噛み合わせや外傷の関与など、歯科・口腔外科で評価することが大切になります。
治療方法
保存療法が中心です。
鎮痛薬の使用、マウスピース(スプリント)による負担軽減、顎を安静に保つことなどが行われます。
また、咀嚼筋の緊張が強い方には鍼灸もおすすめです。
鍼灸の効果
鍼灸には筋肉の緊張を緩和して、血流を整える作用があります。
顎関節症では、噛む筋(咬筋・側頭筋など)が十分に緩まず、筋肉が引き伸ばされることで痛みが生じるケースが少なくありません。
特に、運動時に痛みが出るタイプや、下顎・こめかみ周囲の違和感が強い場合には鍼灸が有用です。
施術を検討する目安
歯科や口腔外科を受診したうえで、
- 検査で大きな関節異常がみられない
- 口の開閉時に筋肉の張りや疲労感が強い
- 安静やマウスピースを使用しても違和感が残る
このような場合には、鍼灸を検討する目安となります。
鍼灸を受ける際の注意点
鍼灸は比較的安全性の高い施術とされていますが、お身体に鍼を用いる以上、内出血やだるさなどの反応がみられることがあります。
副反応については『鍼灸の副反応(内出血やだるさ)について』もあわせてご確認ください。
こうした特徴を踏まえたうえで、症状や体調に応じて施術を検討していくことが大切になります。
当室の考え方
顎の痛みには、外傷や顎関節の構造的な問題など、医療機関での診断・治療を優先するものがあります。
そのため当室では、必要に応じて医療機関の受診をお願いしています。
一方で、検査では異常がない、治療後も不快感が続いている、といった方も少なくありません。
私はそのような不調を「仕方ない」と諦めてほしくありません。
鍼灸は万能ではありませんが、検査で捉えきれない身体の不調に対してアプローチすることが可能です。
だからこそ当室では、お身体全体を丁寧にみつめ、検査結果だけではわからない、一人ひとりの「つらさ」に向き合うことを何より大切にしています。
この記事の著者

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鍼灸師/港区白金で開業8年
安心してご相談いただける鍼灸院を目指し、日々施術に取り組んでおります。
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