鍼灸の安全性と副作用(リスク)について
肩こり腰痛、不眠症状など、さまざまな疾患に対して効果的な鍼灸。
鍼灸は副作用が少ないとはいえ、鍼を施すうえで多少のリスクや変化が生じます。
そのため、安心・安全な施術を提供している鍼灸院を選ぶことが大切です。
今回は鍼灸の安全性と副作用(リスク)について綴らせていただきました。
鍼灸の安全性
鍼灸は東洋医学の1つで、数千年の歴史を持つ伝統的な療法です。
世界保健機関(WHO)やアメリカ国立衛生研究所(NIH)でもその安全性と有効性を認めています。
日本で鍼灸を行うには、3年以上の専門教育を受け、国家試験に合格することが必要です。
そのため、整体などの民間療法と比較すると、からだへの知識と技術に最低限の保証がされています。
鍼灸に副作用はあるのか?
鍼を施した際の痛みや違和感、倦怠感、貧血症状が現れることがあります。
どれも命に関わるような心配はありませんが、刺激に過敏な人、からだの疲れが強い方ほど現れやすい傾向がみられます。
痛みや違和感
皮膚にある痛みを感知するセンサーに鍼先が触れたり、筋肉の深部に鍼が作用することで、一時的に軽い痛みや違和感を感じることがあります。
持続するような不快感は生じませんが、鍼が初めての方に多くみられます。
身構えることで痛みのセンサーや神経が過敏になってしまうため、多少緊張感のある場合には軽くマッサージ受けて、神経の高揚を抑えてから鍼を受けることをおすすめします。
倦怠感(眠気)
施術後にリラックス効果が強く出ることで、一時的に眠気や倦怠感を感じることがあります。
「好転反応」と呼ばれたりもしますが、鍼を施すことで血管が広がり、患部に滞っていた老廃物が流れ出ることで起こります。
鍼直後は筋肉が緩むため、可動域の改善などの直後効果を実感できますが、実際には老廃物が流れ出て、新鮮な酸素と栄養素が患部に行き渡ることで、翌日や翌々日に症状が改善するため、施術後はゆっくりする時間を設けられることをおすすめします。
低血圧や眩暈
注射が苦手、血圧が低い方のなかに稀にいらっしゃいます。
鍼施術時には血管が広がるため、血圧が低い方の場合、一時的に貧血様の症状が現れます。
症状が続くことはありませんが、細い鍼を使用したり、浅く刺すなど、刺激をコントロールすることで対処することができますので、施術前に担当者へ伝えておくことをおすすめします。
悪影響(リスク)
鍼灸は内出血、神経損傷、気胸など、適切な方法で行われなかった場合にリスクが生じます。
内出血(皮下出血)
毛細血管などの微細な血管が破れることで、内出血が起こり得ます。
血行の悪い箇所ほど、血管の壁が脆く・破れやすくなっていますので、凝りが強固な箇所や辛い箇所ほど内出血のリスクは上がります。
内出血が起きては困る箇所がありましたら、事前に担当者へ伝えておくことをおすすめします。
『鍼で内出血する理由の詳細はこちら』
神経損傷
非常に稀なケースです。
神経の走行を意識して、無理な鍼をしなければまず起こりませんので、ご安心ください。
神経の損傷はⅤ段階に分類されるのですが、普通に鍼をしていたらⅢ段階以上の損傷は起こりません。
そのため、痛みや痺れを感じたら我慢せずに直ぐ担当者に伝えてください。
気胸(肺に穴が開く)
鍼灸で最も懸念される医療事故です。
背中や胸部に対して、誤った深さまで鍼を刺すことで「気胸」が起こる可能性があります。
気胸は鍼が刺さった瞬間に起こるわけではなく、「鍼の抜き忘れ」や「危険な箇所に刺したまま長時間放置」することで、呼吸運動に伴って肺を損傷してしまうケースが多くの原因です。
そのため、清潔感がない、口コミ上で鍼の抜き忘れが報告されている院は避けることをおすすめします。
鍼灸院の選び方
鍼灸院によって「東洋医学を中心に考える院」もあれば「神経や筋肉など現代医学的な視点で考える院」もあり、施術の目的や方法は異なります。
どちらが良い悪いには好みもあり、一概にはいえません。
『鍼灸院の施術方法や考え方の違いについてはこちら』
口コミも信用できるもの・できないものあると思いますが、床に鍼が落ちていた、鍼の抜き忘れがあった等の情報が出ている鍼灸院は、医療事故を起こす可能性が高いのでご注意ください。
安心・安全な鍼灸院をご検討ください
鍼灸は国家資格を取得した者のみが行えるため、最低限の知識と技術を備えております。
しかし、鍼灸院や施術者によって知識や技術が異なり、施術内容の合う合わないにも好みがあります。
そのため第一条件として衛生管理のしっかりしている鍼灸院を是非ご検討ください。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。
鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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