複合性局所疼痛症候群(CRPS)への対処と鍼灸治療の効果
傷跡が長い期間痛む「複合性局所疼痛症候群(CRPS)」
複合性局所疼痛症候群は、傷は治っているのに痛みや腫れなどの症状が持続する状態です。
症状は長期化することもあり、自律神経症状や筋肉の緊張などに対しては鍼灸も有用です。
今回は複合性局所疼痛症候群への対処と鍼灸治療の効果についてご紹介いたします。
複合性局所疼痛症候群とは
ケガや手術などをきっかけに、痛みや腫れなどが続く状態です。
末梢神経の損傷を伴わないⅠ型と、末梢神経の損傷を伴うⅡ型に分けられます。
症状や経過には個人差があり、早期から適切な治療やリハビリテーションを行うことが大切です。
厚生労働省研究班によるCRPS判定基準(2008年)
CRPSを疑う際には、以下の症状が参考になります。
- 皮膚、爪、毛のうちいずれかは萎縮性変化
- 関節可動域制限
- 持続性ないし不釣り合いな痛み、しびれたような針で刺すような痛み、知覚過敏
- 発汗の亢進ないしは低下
- 浮腫
これらの症状が複数みられる場合には、CRPSの可能性が疑われます。
症状
持続する痛みや感覚の異常が主な症状です。
浮腫(むくみ)や発汗などの自律神経に関連する症状をはじめ、CRPSの判定基準に挙げられているような症状が現れることもあります。
痛みを避けることで患部を動かさなくなると、筋肉が硬くなったり、関節可動域が低下したりすることもあるため注意が必要です。
原因
骨折や捻挫、手術などの外傷や処置をきっかけに起こることが多いとされています。
ストレスによる交感神経系の活動が過剰になることも要因の1つとして挙げられ、痛みを伝える神経系や自律神経系など、複数の要因が関係すると考えられています。
しかし、同じようなケガをしても、すべての人にCRPSが起こるわけではありません。
治療方法
薬物療法や運動療法が中心になります。
痛みが強い場合には鎮痛薬や神経ブロックが検討されます。
痛みを和らげながら、患部を少しずつ使ったり動かすことが重要です。
筋肉の緊張や関節の動かし辛さが強い場合には、鍼灸をおすすめします。
鍼灸の効果
鍼灸には筋肉の緊張を緩和して、血流を整える作用があります。
CRPS判定指標の中には、「関節可動域制限」や「浮腫」などの項目が含まれています。
鍼灸では筋肉の緊張を緩めて、血流を整えることで、痛みや浮腫、関節の動かしにくさの緩和を目的にアプローチしていきます。
施術を検討する目安
検査で重大な疾患が否定されており、
- 痛みや痺れが続いている
- 筋肉が緊張して患部が動かしにくい
- 浮腫みや自律神経症状がある
このような場合には、鍼灸を検討する目安となります。
鍼灸を受ける際の注意点
鍼灸は比較的安全性の高い施術とされていますが、お身体に鍼を用いる以上、内出血やだるさなどの反応がみられることがあります。
副反応については『鍼灸の副反応(内出血やだるさ)について』もあわせてご確認ください。
こうした特徴を踏まえたうえで、症状や体調に応じて施術を検討していくことが大切になります。
当室の考え方
痛みには、血管や神経の異常など、医療機関での診断・治療を優先するものがあります。
そのため当室では、必要に応じて医療機関の受診をお願いしています。
一方で、検査では異常がない、治療後も不快感が続いている、といった方も少なくありません。
私はそのような不調を「仕方ない」と諦めてほしくありません。
鍼灸は万能ではありませんが、検査で捉えきれない身体の不調に対してアプローチすることが可能です。
だからこそ当室では、お身体全体を丁寧にみつめ、検査結果だけではわからない、一人ひとりの「つらさ」に向き合うことを何より大切にしています。
この記事の著者

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鍼灸師/港区白金で開業8年
安心してご相談いただける鍼灸院を目指し、日々施術に取り組んでおります。
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