四十肩への対処と鍼灸治療の効果
夜中に眠っている時にも肩が痛む…、肩の動きが悪くなってきた…、その痛みは四十肩かもしれません。
四十肩は肩関節周囲の痛みを主な症状とし、完治するまでに半年〜1年程かかる場合もあります。
主な治療方法は安静(保存療法)になるため、もどかしい期間が続いてしまいますが、鍼灸治療を取り入れることで回復をスムーズにする期待が持てます。
今回はそんな四十肩について綴らせていただきました。
四十肩とは
正式名称は「肩関節周囲炎」と呼び、40代以降に発症することが多いため四十肩・五十肩と呼ばれております。
四十肩には、
- 肩に鋭い痛みが走る「疼痛期」
- 肩の可動範囲が狭まる「拘縮期」
という大きく2つの期間を経て回復していきます。
回復の早い方で3〜6ヶ月、ゆっくりの方ですと1年以上も回復に時間が掛かってしまう場合もあります。
四十肩の原因
詳細な原因は不明とされていますが、
- 打撲やムチ打ちなどの外傷
- 筋肉や靭帯の衰え
- 微細な靭帯損傷
などが考えられ、加齢に伴う肩関節周囲の退行性変性(筋力低下等)との見解が一般的です。
四十肩への対処方法
「疼痛期」と「拘縮期」により症状や対処方法が異なります。
疼痛期
- 肩を下にして眠れない、
- 夜から明け方にかけて激しい痛みが現れる
この2つが代表的な特徴です。
痛む時間帯は個人差があるようですが、気温が低下しやすい、涼しい時間帯に悪化する方が多いようで、痛みは二の腕や指先まで走ること場合もあります。
疼痛期の対処法
主な治療方法は保存療法(安静)です。
症状の強い場合には肩関節内へステロイド注射をおこないます。
患部に出血や腫脹がある場合には、
- 安静(Rest)
- 氷などで冷却(Icing)
- テーピングなどで圧迫(Compression)
- 患肢を挙上する(Elevation)
といったRICE対処をおこないます。
拘縮期
疼痛期のような電撃が走るような鋭い痛みが減りますが、肩を動かせる範囲(可動域)が狭くなる特徴があります。
肩を上げたり、腕を後ろに回す動作をおこない辛くなり、動かし辛い状態を放置することで更に拘縮が進み回復の時間が伸びる悪循環にも陥り易いため注意が必要です。
拘縮期の対処法
肩関節の可動域を広げたり、拘縮を防止するためにリハビリ運動を始める時期でもあります。
動かすことが辛い場合には、お風呂やプールなど水中での運動がお勧めです。
水中では重力が加わらないため肩への負担が少なく、ゆっくりと可動域を広げる運動に最適です。
他には、
- 肩を温めて血行を改善する
- 消炎鎮痛成分が配合された湿布薬を使用する
- 鍼灸を受ける
などが効果的です。
四十肩への鍼灸治療
鍼灸治療も、疼痛期と拘縮期で治療内容が異なります。
疼痛期への鍼灸
痛みや炎症の軽減が主な治療目標になり、炎症や患部に滞っている発痛物質を循環するよう鍼灸をおこないます。
拘縮期への鍼灸
筋肉の緊張緩和や柔軟性の向上が主な治療目標になり、肩関節の可動域が広がるよう鍼灸をおこないます。
このような場合は病院へ
四十肩と同様な症状がある「腱板断裂」という疾患があります。
肩関節は棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つの筋肉から構成される腱板(ロテーターカフ)によって、腕を体幹に固定しているのですが、
- 重いものを持ったり
- ぶつけたり
などにより腱板(筋肉)が断裂してしまうことがあります。
そのため、痛めた原因が明確な場合には1度病院を受診されることをお勧めいたします。
「四十肩」と「腱板断裂」の違い
四十肩は別名「凍結肩」と呼ばれ、動かすことが困難になります。
対して腱板断裂は、自力では腕を挙げられないものの、逆の手で支えたり第三者に手伝ってもらうと挙げることが出来るのが特徴です。
他には、
- 肩を挙上した際にジョリジョリとした音(軋轢音)がする
- 肩甲骨の下側の筋肉(棘下筋)に萎縮がみられる
といった場合には腱板断裂が疑われます。
最後に
四十肩は痛みの程度や関節可動域制限の度合いが各個人で異なり、少しずつ回復していくのが特徴です。
そのため、1度の治療で完治というようなことはあまり望めませんが、鍼灸を取り入れることで通常よりも早い回復を期待することができます。
鍼灸のみならず、運動や湿布など無理のないスタイルで改善を目指していただけますと幸いです。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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