腰痛への対処と鍼灸治療の効果
立ち上がる時や長時間座っている時など、さまざまな時に痛みが現れる「腰痛」
腰痛は安静にすることで改善がみられますが、疲労の蓄積や身体の使い方で直ぐに悪化してしまいます。
腰への負担軽減には、鍼灸で筋肉のバランスを整えて血流を良くすることがおすすめです。
今回はそんな腰痛について綴らせていただきました。
腰痛とは
病名ではなく腰が痛む症状を示す言葉です。
腰は「肋骨の1番下〜お尻の下」と広範囲なため負担が増えやすい箇所になり、筋肉の緊張、外傷や椎間板の病気など、さまざまな原因で起こります。
1ヶ月未満の症状を「急性腰痛」、3か月以上を「慢性腰痛」と呼び、3000万人以上を悩ます国民病です。
症状
痛みが中心、神経の圧迫や炎症があると痺れが現れます。
脊柱管狭窄症のような神経圧迫が酷い場合には、休み休み歩く「間欠性跛行」という歩き方になってしまい日常生活に大きく影響が現れます。
痛みは片側だけの時もあれば両側同時に痛む時もあり、原因の特定と対処が大切になります。
原因
外傷や筋肉の使いすぎ、脳や内臓の痛みなどさまざまな原因があります。
運動時に痛む場合には筋肉、安静時にも痛む場合には炎症や病気の可能性が考えられます。
医療機器(MRI)の進歩により椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症による坐骨神経痛の診断が容易になりましたが、腰痛の85%は疾患や感染症などの病気ではない原因不明の非特異的腰痛です。
そのため細かい検査に加えて、腰痛が前屈みの時に痛みが現れるか、背中を反らした時に痛みが出るか、などの確認も重要になります。
前屈みで痛む「前屈痛」
前屈痛は背骨と背骨の間でクッションの役割をしている椎間板での問題が考えられます。
なかでも椎間板の繊維にヒビが入ってしまう「椎間板性腰痛」の方は多くみられ、咳やくしゃみで痛みが現れる特徴があります。
椎間板の圧迫や捻れによりヒビが入ることもあるためスポーツ障害や若者にも起こります。
また、椎間板が飛び出してしまった場合を「椎間板ヘルニア」と呼び、飛び出た椎間板が神経を圧迫すると脚に痺れが現れます。
背中を反らすと痛む「後屈痛」
背骨同士をつなぐ椎間関節が干渉することで炎症が起こる「椎間関節性腰痛」が代表的です。
関節同士の干渉を防ぐことが大切になりますが、加齢や姿勢悪化が続くことで背骨の靱帯(黄色靱帯)の変形や骨に棘(トゲ)ができる「骨棘」が生じるケースもあり、靭帯の肥厚や椎間関節の狭窄は「脊柱管狭窄症」という神経の走行する場所が狭くなることで痺れや痛みの原因になります。
痛み痺れが酷い場合、休みながら歩く「間欠性跛行」でないと持続歩行できない状態になります。
そのため、普段から長時間同じ姿勢の方は注意が必要です。
治療方法
保存療法が中心、痛みや痺れが強い場合にはブロック注射を行います。
ブロック注射は炎症部位に直接抗炎症薬を打てるため、即効性はありますが同じ身体の使い方をしていると再び炎症が起こるため注意が必要です。
100mも持続して歩けない「間欠性跛行」や「排尿・排便障害」がみられる場合には外科的療法が検討されます。
筋肉や関節が問題の「筋・筋膜性腰痛」や「椎間関節性腰痛」の場合には4〜6週間の安静(保存療法)で改善がみられますが、身体への負担を分散させるなどのケアを怠ると直ぐに再発してしまいます。
そのため、腰痛の改善や予防には腰だけでなく臀部や太ももの筋肉とのバランスも重要になるので鍼灸がおすすめです。
鍼灸の効果
筋肉の緊張を緩めて血流を良くして椎間板や椎間関節への負担を分散することができます。
筋肉の緊張や血流の悪化は、新たな炎症や神経圧迫につながります。
また、腰の筋肉以外にも臀部や脚の筋肉を緩めることも改善や予防にはとても効果的です。
反り腰で痛みが出る場合には太もも前(大腿四頭筋)、前屈みで痛む場合には太もも後ろ(ハムストリングス)の筋肉が緊張しやすい傾向があり、これらの腰以外に負担がかかりやすい筋肉を緩めておくことで腰への負担も軽減につながります。
動作時に腰痛が現れる場合には、関節や筋肉が原因として考えられますので鍼灸をおすすめします。
腰の痛みを感じたら
腰痛は脊椎とその周囲の筋肉・神経だけでなく、脳や内臓の問題でも痛みが現れます。
骨粗鬆症や椎体骨折など、他の可能性を排除するためにもまずは整形外科の受診をご検討ください。
「安静にしていても改善しない方」や「腰痛を繰り返してしまう方」はお身体のバランスを整えることで改善や予防効果を期待できる鍼灸がおすすめです。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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