頭痛への対処と鍼灸治療の効果
二日酔いのような頭痛から脳梗塞のような重篤なものまで様々な原因で頭痛は起こります。
脳梗塞のような重篤な頭痛は早急に病院の受診が必要になり、
片頭痛や緊張型頭痛などの慢性的な頭痛はそれぞれへの適切な対処や鍼灸治療が効果的です。
今回は、そんな頭痛について綴らせていただきました。
頭痛の種類
頭痛には、
- 慢性頭痛と呼ばれる一般的な頭痛(1次性頭痛)
- 命に関わる危険な頭痛(2次性頭痛)
の2種類があります。
慢性頭痛(1次性頭痛)
1次性頭痛は、
- 緊張型頭痛
- 片頭痛
- 群発性頭痛
- その他(薬物乱用頭痛 など)
の大きく4つに分けられます。
緊張型頭痛
頭痛の中で最も多いタイプです。
頭全体が重く、締め付けられるような痛みが主な症状です。
緊張性頭痛の原因は、ストレスや長時間のパソコン画面凝視による目の疲れや長時間の同一姿勢などの生活習慣から起こることが多いとされています。
対処法としては、体と心の緊張の解消が第一です。
そのため、
- ウォーキング
- 入浴
- マッサージ
など、心身のリラックスを図ることが症状の緩和や改善へと繋がります。
片頭痛
血管拡張や血管周囲の炎症により、頭の片側(ときに両側)にズキンズキンとした拍動性の痛みが生じる頭痛です。
頭痛の前兆として「閃輝性暗点」という、太陽を直接目にした後の残像のようなキラキラした点が現れるケースもあります。
片頭痛は病態が解明されてきつつあり、ガイドラインに沿って頓挫薬や予防薬を服用することで改善できる可能性が高い特徴があります。
原因とされる血管拡張や血管周囲の炎症がストレスや運動不足、チーズやワインといった飲食物が関連するケースも多く、
チョコレート、ワイン、チーズには「チラミン」という偏頭痛誘発因子が多く含まれておりますので、心当たりのある方は1度食生活の見直しをされることもお勧めです。
血行を落ち着かせるために、症状が強く現れている時には運動や入浴を避けて暗い部屋で安静にされることが効果的です。
群発頭痛
群発性頭痛の詳しい原因わかっていません。
目の奥がえぐられるように痛いと表現されるほどの激しい頭痛と表現され、
痛みは数分〜数時間続き、涙が出たり目が充血する事もあるといわれています。
対処法は深呼吸が有名で、病院では酸素吸入で痛みを抑える措置を取ることもあるようです。
その他の頭痛(薬物乱用頭痛)
鎮痛薬や市販薬を月に15日以上服用することで「薬物乱用頭痛」に繋がるケースもあり注意が必要です。
- 頭痛の頻度が多くなった
- 薬の効きが悪くなった
- 症状が酷くなった
このような場合には、1度病院の受診をお勧め致します。
命に関わる危険な頭痛(2次性頭痛)
一般的な頭痛に比べて、
- 突如これまで感じたことのない強烈な頭痛
- 眩暈や手足の麻痺を感じる、呂律が回らない
- 睡眠中や起床直後に最も強く頭痛を感じる
このような場合には「脳内の出血」や「血管の詰まり」が考えられます。
頭痛・眩暈・嘔吐が重なったら、まずは脳神経外科を受診してください。
2次性頭痛を誘発する重大な病気
代表的な病気が4つあげられます。
脳出血・くも膜下出血
脳の血管や脳動脈瘤(脳内の動脈にできるコブ)が破裂してしまい、脳内で出血してしまう病気です。
出血に伴う頭痛のため「突発ピーク型頭痛」とも呼ばれ、突如これまでに経験のない激しい頭痛を感じるといった特徴があります。
脳腫瘍
脳の腫瘍が大きくなるにつれ痛みも強くなります。
脳内の腫瘍をはじめ「脳圧が高まる」ことで頭痛が生じる病気の場合には、睡眠時に脳圧が最も高くなるので睡眠中や起床直後に最も激しく頭痛を感じるといった特徴があります。
髄膜炎・脳炎
細菌やウイルス感染が髄膜に及ぶことで激しい頭痛が起こります。
頭痛の他に発熱や嘔吐、首の硬直などが特徴的な症状です。
炎症が脳まで達すると意識障害やけいれんが起こります。
慢性硬膜下血腫
頭をぶつけたりしたことで脳を包む膜の間に血液が溜まってしまい、血腫(血の塊)が脳を圧迫して頭痛が起こります。
鍼灸が有効な頭痛と、向かない頭痛
鍼灸が有効な頭痛は主に上記の慢性頭痛(1次性頭痛)になります。
- 生活習慣からなる自律神経の乱れを整える
- 首肩をはじめとしたコリをほぐし頭への血流を改善する
このように全身を整えることで、過度な血管拡張や自律神経の乱れを改善し、頭痛の緩和や心身のリラックス効果へつながります。
鍼灸治療による頭痛発生の軽減により、鎮痛薬を減薬できたとのお声もいただきますため、「薬物乱用頭痛」への専門医との併用も有効であると考えらえます。
頭痛を悪化させないためにも
鍼灸は1次性頭痛の症状緩和や改善に効果を期待することができます。
しかし、病院との併用が改善に功を奏す薬物乱用頭痛や早急に専門医の診察が必要な2次性頭痛もあります。
そのため、2次性頭痛の可能性を除外したうえで、どのようなタイミングで頭痛が起こり易いのかを出来る限り突き止めてから治療に移ることが最も効果的であると考えられます。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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鍼灸師のコメント
緊張型頭痛と片頭痛は、
など同じ原因で誘発されることもあるため、緊張型頭痛・片頭痛の両方同時に起こることもあります。