頭痛への対処と鍼灸治療の効果
多くの人が経験する「頭痛」
頭痛はさまざまな原因で起こり、適切な対応が求められます。
頭痛には頭痛薬の服用や生活習慣の見直しを行うことが一般的ですが、鍼灸を併用することで神経や筋肉の緊張を緩めて頭痛を軽減できるためおすすめです。
今回はそんな頭痛について綴らせていただきました。
頭痛とは
頭痛は多くの人が経験する「一次性頭痛」と重篤な疾患で起こる「二次性頭痛」に分かれます。
命に関わるような二次性頭痛は脳卒中や椎骨動脈解離など重篤な疾患が原因で起こるため、突然頭が割れるほどの痛みが現れる特徴があります。
しかし原因の疾患によっては徐々に痛みが増していくケースもあるので、何か普段の頭痛とは違うと感じた際には頭痛外来の受診をご検討ください。
二次性頭痛の可能性を排除した後、命に関わらない「一次性頭痛」であることを確認して対処をすることが大切になります。
慢性頭痛(一次性頭痛)
一般的に頭痛というと一次性頭痛のことを指します。
慢性的な頭痛は偏頭痛、緊張型頭痛、三叉神経-自律神経障害頭痛、その他の頭痛に分かれます。
また、偏頭痛と緊張型が混在して現れるケースもあります。
偏頭痛
ズキズキと血管の拍動に伴う頭痛です。
締め付けられるような痛みや悪心嘔吐、光や音に過敏になる場合もあります。
血管はリラックス(副交感神経優位)時に拡張するため、週末やストレスから解放された時に現れやすく、閃輝暗点と呼ばれるギザギザの光が前兆として現れるケースもあります。
緊張型頭痛
左右両側の締め付けられるような頭痛です。
スマホやパソコンの長時間使用が悪化原因になり、夕方から週末に起こり易い特徴があります。
ふわふわした浮遊性の目眩や首肩凝りなどが現れる場合もあり、首肩凝りに起因する「反復性緊張型頭痛」と脳の中枢性の関与が知られる「慢性緊張型頭痛」に細かく分けられます。
三叉神経-自律神経障害頭痛
目の奥や目の周りが痛む、涙や鼻水がでるといった「群発性頭痛」が代表的です。
高身長の男性に起こり易い特徴があり、一次頭痛のなかで最も痛い言われています。
症状
頭痛と悪心嘔吐が主な症状です。
肩凝り、集中力の低下、疲労感を強く感じる方もおり、日常生活に影響が現れる場合や頭痛が来る恐怖心から鬱病傾向になる場合もあります。
頭痛発作の回数や持続時間には個人差があり、悪化するほど頭痛発作の頻繁が増える傾向がみられます。
原因
頭部の血管拡張、周囲の筋肉の緊張、脳の病気、さまざまな原因があります。
そのため、まずは頭痛外来で脳や脊椎に関連した病気が原因ではないかの確認が重要になります。
病気以外の原因としては、ストレスやストレートネックなどが血流低下につながることで起こります。
治療
頭痛薬の服用や生活習慣の見直しを行います。
しかし、頭痛薬を飲み過ぎは「薬剤性頭痛」になるので注意が必要です。
薬剤性頭痛は脳が痛みに敏感(閾値低下)になることで頭痛が起こりやすくなります。
月に15回以上の頭痛発作、10日以上頭痛薬を服用している人は薬剤性頭痛が疑われます。
「頻繁に頭痛薬を服用されている方」には鍼灸がおすすめです。
鍼灸の効果
鍼灸は筋肉の緊張や神経の興奮を和らげることで頭痛を改善します。
噛み締めが原因による側頭筋の緊張、スマホやPC作業による後頭神経痛など、さまざまな原因から起こる頭痛へ対処できることが鍼灸の強みです。
筋肉の凝りは神経伝達物質を発生させて痛み物質(プロスタグランジンE2)を誘発します。
この頭痛状態が維持されると「下行性疼痛抑制系」という痛みを抑制する経路が働きづらくなり、より痛みを感じやすくなる悪循環に陥ってしまいます。
鍼灸刺激は下行性疼痛抑制系を活性化させる作用があるため、頭痛を感じやすくなってしまった状態を改善することにも効果を期待できます。
実際にクリニックからのご紹介の方に鍼灸施術を行なったところ、施術前は頭痛薬を2週間に10錠以上服用されるほど頭痛発作が頻発しておりましたが、施術後には2週間で1錠ペースに落ち着きました。
そのため、「頻繁に頭痛薬を服用されている方」は鍼灸をご検討ください。
頭痛が頻繁に起こる場合には
頭痛はさまざまな原因で起こります。
「これまでに経験したことのない痛み」や「普段とは違った痛み方」をする場合には重篤な疾患が原因の可能性も考えられるので、まずは頭痛外来の受診をご検討ください。
また、頻繁に頭痛薬を服用されている方は鍼灸がおすすめです。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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