慢性疲労症候群(CFS/ME)への対処と鍼灸治療の考え方
強い疲労感や倦怠感が長期間続く「慢性疲労症候群」。
慢性疲労症候群は、体の状態を一定に保つ働きがうまく機能していない可能性が指摘されています。
鍼灸は恒常性を整える働きがあり、体の機能を回復する期待ができます。
今回は、慢性疲労症候群の特徴や考え方、鍼灸治療についてご紹介します。
慢性疲労症候群とは
6ヶ月以上継続ないし繰り返す疲労、他の慢性的な疾患・病態は除外する状態をいいます。
1980年代に米国で報告された集団発症がきっかけとなり、現在では「慢性疲労症候群(CFS)」、または「筋痛性脳脊髄炎(ME)」として知られています。
日本では慢性疲労症候群という名称が一般的ですが、海外では疾患理解をより正確に表す目的で「筋痛性脳脊髄炎」という名称が用いられることもあります。
症状
代表的な症状は、労作後に強く現れる倦怠感です。
作業や精神的ストレスの後、24〜48時間経ってから強い疲労感が出現することが特徴とされています。
そのほかにも、筋肉痛や関節痛・頭痛・睡眠障害など、さまざまな症状がみられることがあります。
一般的な疲労と異なり、十分な休息を取っても回復しにくい点が大きな特徴です。
症状が長引くことで抑うつ状態を併発するケースがあり、うつ症状が疑われる場合には専門医の診察が優先されます。
そもそも疲労感とは
疲労感とは、気力や活力が低下し、健康感が損なわれたと感じる状態を指します。
体内で炎症や組織の負担が生じると、「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が脳に作用し、活動量を低下させることで体を守ろうとする仕組みが働きます。
この反応は本来、回復のために必要な生体防御機構ですが、長期間続くことで慢性的な疲労感となってしまいます。
原因
慢性疲労症候群の原因は、現在のところ明確には解明されていません。
ウイルス感染(HHV-6、EBウイルスなど)、脳内の免疫を担当する細胞(ミクログリア)の活性化、自律神経や内分泌系などの機能変化が指摘されていますが、特定の検査所見や確立された治療法はまだ確立されていないのが現状です。
そのため、症状はあるものの検査で異常が見つからず、「不定愁訴」として扱われるケースも少なくありません。
治療方法
慢性疲労症候群の治療において、最も重要とされるのは十分な休息です。
症状に応じて、薬物療法・運動療法・認知行動療法などが行われることもありますが、現在のところ確立された治療法はありません。
そのため、医師の判断のもとで補完的なケアとして、鍼灸やマッサージが用いられるケースもあります。
鍼灸の効果
鍼灸は、体の「恒常性(こうじょうせい)」と呼ばれる調整機能に働きかけます。
恒常性とは、体温・血圧・ホルモンバランスなどを一定範囲に保ち、外部環境の変化に適応するための重要な仕組みです。
90度のサウナに入っても体温が90度にならないのは、恒常性がきちんと機能しているおかげです。
鍼灸刺激は、自律神経や内分泌系の働きに関与すると考えられており、長期的なストレスや疲労によって乱れた体の調整機能をサポートする役割が期待されています。
当室の考え方
慢性疲労症候群は、原因や経過に個人差が大きく、すべての方に同じ対応が当てはまるものではありません。
当室では、症状の経過や現在の体調を丁寧に確認したうえで、鍼灸治療が適しているかを判断しています。
また、状態によっては医療機関での検査や治療を優先していただく場合もあります。
休息や治療を続けても疲労感が改善しきらない場合には、体の状態を確認する一つの選択肢としてご相談いただければと思います。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。
鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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鍼灸師のコメント
不定愁訴(ふていしゅうそ)とは
十分な検査や診察を行なっても、明確な原因を特定できない状態を指します。
症状はあるが検査に異常がない「病気の手前状態」を指す際に使われることもあります。
自律神経やホルモンバランスの乱れで起こるケースが多く、疲肩こり腰痛、動悸や腹痛など、多岐にわたる症状が現れることがあります。