股関節痛(グロインペイン症候群)への対処と鍼灸治療の効果
立ち上がり時や車の乗降時に痛みを感じる「股関節痛」
股関節の痛みは、加齢やリウマチ、筋肉の凝りなど、さまざまな原因で起こります。
筋肉が痛みの原因である場合には、鍼灸で筋肉を緩めることで痛みが軽減されるため、湿布やセルフストレッチで改善がみられない方におすすめです。
今回はそんな股関節について綴らせていただきました。
股関節とは
腰より下の、骨盤と脚の骨(大腿骨)を繋いでいる関節です。
骨盤と脚の関節部位は球状になっており、前後左右の複雑な動きができる特殊な関節です。
体重を支える、歩行動作を行うといった多方面からの負荷に耐えられるように「関節軟骨」と呼ばれる弾性組織で覆われ、衝撃吸収や動きの摩擦軽減をしています。
そのため、「関節軟骨」の減少や股関節周囲の筋肉が硬くなると、股関節の痛みや可動範囲が狭くなり、日常生活の影響が現れます。
症状
股関節の痛みと可動域制限が主な症状です。
股関節の神経は膝にも分布しているため、股関節ではなく膝に症状が現れるケースもあります。
一般的な股関節痛は、運動後の痛みや関節可動域の減少が徐々に悪化していきます。
しかし、股関節自体の問題(股関節唇の損傷など)や病気(リンパ節炎など)が原因の場合には、安静時や初期から激しく痛む場合もあります。
原因
「股関節自体の問題」や「股関節周囲の筋肉が原因」が主な原因です。
実際には、関節軟骨が擦り減る(股関節自体の問題)ことで筋肉への負担を増して痛みが増幅させることも多いので、股関節痛を感じた際には整形外科の受診からご検討ください。
その他、リンパ節炎やリウマチなどの病気が原因となるケースも稀にあります。
『リウマチに関する詳細はこちら』
股関節自体の問題
股関節自体が痛みを出す疾患として「変形性股関節症」が代表的です。
変形性股関節症は加齢や使い過ぎ、股関節の形成不全によって起こります。
変形の程度が軽度であれば安静(保存療法)で様子をみますが、重度の場合には人工骨への置換が検討されます。
安静(保存療法)に併せて、体重コントロールや筋トレを行い、股関節への負担軽減に取り組みます。
その他、大腿骨の病気
原因不明の指定難病「特発性大腿骨頭壊死」でも股関節に痛みが現れます。
特発性大腿骨頭壊死は、脚の骨の付け根(大腿骨頭)の血流が悪化して大腿骨頭が壊死する病気です。
一度壊死してしまった骨は元に戻り辛く、壊死で痛みが現れるわけではなく、骨折や骨頭が潰れることに痛みが現れます。
筋肉が原因
股関節周囲や臀部の筋肉が凝り固まっても痛みが現れます。
股関節は前後左右に動く作りをしているため、他の関節に比べて多くの筋肉に支えられています。
筋肉のバランスが崩れたり、凝りが神経を圧迫(絞扼)することで痛むので、原因箇所をリリースすることが大切になります。
また、鼠径部に圧痛がみられる場合には「グロインペイン症候群」とも呼ばれます。
鍼灸の効果
鍼灸は股関節周囲の硬くなった筋肉を緩め、過敏になった神経を鎮静させる働きがあります。
腰の深い筋肉(腸腰筋)や神経の圧迫(大腿神経絞扼)によって痛みが現れている際には、鍼灸で直接アプローチすることが効果的です。
動かすと痛む、お風呂で温めると痛みが和らぐといった場合には筋肉が原因の可能性が考えられます。
「レントゲンなどの検査で異常がみられなかった方」や「安静にしていても一向に回復しない方」は鍼灸をご検討ください。
股関節に痛みを感じたら
「股関節自体の問題」や「筋肉の凝り」で股関節の痛みは現れます。
原因に適したアプローチが大切なため、まずは整形外科の受診をご検討ください。
股関節自体に問題がなく、筋肉が痛みの原因だと考えられる場合には、鍼灸をお試しされることをおすすめします。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。
鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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鍼灸師のコメント
グロインペイン症候群とは
ランニングやキック動作で現れ、サッカー選手に多くみられます。
内ももの筋肉(内転筋)の凝りや神経(大腿神経)の絞扼が主な原因になり、短縮した筋肉のストレッチや神経絞扼部位への鍼灸で改善が期待できます。