膝関節痛への対処と鍼灸治療の考え方

歩行や階段の昇り降り、正座などの動作で痛みが現れる「膝関節痛」。

膝の痛みは、加齢による関節の変化や外傷、筋肉の硬さなど、さまざまな要因によって起こります。

筋肉の緊張が関与している場合には、鍼灸で体の状態を整えることが回復の一助になります。

今回は、膝関節痛の原因や注意点、鍼灸治療についてご紹介します。

膝関節とは

膝関節は、体重を支えながら動作を行う下半身の中でも特に負担の大きい関節です

太ももの骨(大腿骨)、すねの骨(脛骨)、膝のお皿(膝蓋骨)によって構成され、それぞれの骨は軟骨で覆われ、間には半月板が存在しています。

これらの構造は関節包という袋に包まれ、さらに周囲の筋肉が働くことで、曲げ伸ばしといった動作が可能になります。

そのため、膝の痛みは骨・軟骨・半月板・筋肉など、原因によって痛む部位や症状の出方が異なります。

症状

主な症状は、膝の痛みや腫れ、動かしづらさです

外傷や炎症が起こると、熱感や腫脹を伴うこともあります。

痛みには、動作時に生じる「運動時痛」と、安静にしていても続く「安静時痛」があり、安静時にも痛みが強い場合には、急性炎症だけでなく疾患の関与が疑われます。

一方で、検査では明らかな異常がみられず、筋肉の動きに伴って痛みが現れる場合には、筋肉の緊張やバランスが関与している可能性が考えられます。

原因

膝関節痛の原因は、大きく分けて以下の4つが考えられます

外傷

交通事故や転倒、スポーツによる靱帯損傷や半月板損傷などが代表的です。

膝関節は曲げ伸ばしの動作に特化しているため、ねじれや横方向からの力に弱い特徴があります。

加齢

加齢に伴い、軟骨や半月板がすり減ることで骨同士が干渉しやすくなります。

その結果として生じる代表的な疾患が「変形性膝関節症」です。

病気

痛風や関節リウマチ、腫瘍などが原因となる場合もあります。

病気が関与している場合には、膝への施術よりも医療機関での治療が優先されます。

筋肉の問題

膝関節には太ももの筋肉(大腿四頭筋)や膝裏の筋肉(膝窩筋)など、多くの筋肉が関与しています。

筋肉の柔軟性低下や過緊張、神経の過敏が生じることで、痛みや運動制限として現れることがあります。

ジャンパー膝鵞足炎なども、筋肉の柔軟性低下が関与する代表的な例です』

治療・予防方法

膝関節痛では、まずは整形外科の受診して原因を明らかにすることが重要です。

骨折の確認にはレントゲン、半月板損傷などが疑われる場合にはMRI検査が行われます。

検査後は、安静や薬物療法を中心とした保存療法が行われ、症状や損傷の程度によっては外科的治療が検討されます

明確な損傷や疾患がみられない場合には、生活習慣の見直しや体重管理、筋力強化などにより、膝への負担軽減を図ります。

体重減少

歩行時には体重の約3倍、階段昇降時には約5倍の負荷が膝にかかるといわれています。

そのため、体重管理は膝関節への負担軽減に直結します。

筋力強化

太ももや臀部の筋力低下は、膝関節の不安定性や軟骨への負担増加につながります。

筋力トレーニングに加えて、筋肉の柔軟性を保つことも重要です。

鍼灸の効果

鍼灸には、筋肉の緊張を和らげ、過敏になった神経の働きを整える作用があります

筋力強化を行っていても、筋肉のバランスが崩れた状態では、かえって痛みが強くなることがあります。

関節運動では、力を生み出す筋肉(主動筋)と、それを調整する筋肉(拮抗筋)が協調して働くことが重要です。

鍼灸では、これらの筋肉のバランスを整えることで、関節への負担軽減を図ります。

安静や湿布を続けても変化がみられない場合や、運動療法と併用して体の状態を整えたい場合に、鍼灸は適しています。

当室の考え方

膝関節痛は、関節そのものの問題だけでなく、周囲の筋肉や動作の癖など、複数の要因が重なって起こることがあります。

当室では、痛みのある部位のみを見るのではなく、動作や経過を確認したうえで、鍼灸治療が適しているかを判断しています。

また、炎症や疾患が疑われる場合には、医療機関での検査や治療が優先されます。

これまでの治療やセルフケアで改善しきらない膝の痛みがある場合には、一度ご相談いただければと思います。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。

鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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