不眠症への対処と鍼灸治療の効果

睡眠不足により日中の活動に影響が現れる「不眠症」

不眠症は高齢化やライフスタイルの多様化、さまざまな原因で起こります。

生活習慣やストレス環境の見直しが大切になり、鍼灸で自律神経を整えてストレスを緩和することも効果的です。

今回はそんな不眠症について綴らせていただきました。

不眠症とは

睡眠が不足することで日中に心身の不調が現れることをいいます。

現在、5人に1人が不眠症の国民病でもあります。

睡眠不足の理由として、入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒、熟眠障害の4つに分かれます。

入眠困難

寝つきが悪く、眠るまで30~60分以上時間を要してしまうタイプです。

不安や緊張感が強いと悪化します。

就寝と起床時間が後ろにズレる「睡眠相後退症候群」で現れやすく、無理をして早起きすると午前中だけ頭痛などの症状が現れますが、昼過ぎには症状が落ち着く傾向があります。

中途覚醒

夜中に何度も目が覚めてしまうタイプです。

睡眠前の過度な飲酒による尿意やレム睡眠の増加でも起こります。

中途覚醒が一晩に3.4回あると多くの人が苦痛を感じるようになります。

早朝覚醒

起床予定時刻の2時間以上前に目が覚めてしまい、その後は目を閉じても眠れないタイプです。

就寝と起床時間が前にズレる「睡眠相前進症候群」で現れやすく、目覚めた後はシャキッとするため、うつ病の早期覚醒とは異なります。

『うつ病に関する詳細はこちら

熟眠障害

睡眠時間は取れているのに熟睡感が得られないタイプです。

睡眠中に10秒以上呼吸が止まってしまう場合には、睡眠時無呼吸症候群の可能性が考えられます。

症状

日中の眠気や集中力の低下が主な症状です。

心身が緊張して身体の力が抜けないことで、肩凝りや背中の痛みが現れることもあります。

ムズムズ脚症候群による入眠困難、前立腺肥大や過活動膀胱による中途覚醒、睡眠時無呼吸症候群による熟眠障害など、病気の関与により症状が現れている場合には各疾患の治療が先決になります。

原因

高齢化やライフスタイルの多様化、ストレスなどの原因があります。

騒音や光などの外的要因だけでなく、不眠症は「眠れるか気になって寝付きが悪くなる人」が最も多い心理的な側面を多く含みます。

寝たいのに眠れない方には「睡眠時間が足りている場合」と「睡眠リズムが乱れている場合」の2パターンがあります。

睡眠時間が足りている場合

必要な睡眠時間は一人一人異なります。

健康に関する書物に記載されている7〜8時間が適当な方もいれば、5〜6時間で足りる方もいます。

必要以上に睡眠時間を確保しようと考えることで入眠障害を悪化させてしまうため注意が必要です。

睡眠リズムが乱れている場合

人間の体内時計な脳内(視床下部)にあり、24.5時間の周期で活動しています。

この0.5時間の時差は日光を浴びるとリセットされるため、起床時間の調整がとても大切になります。

起床後に日光を浴びて14〜16時間ほど経つと、脳(松果体)にメラトニンというホルモン分泌が促されて休息モードになるため、就寝希望時間の16時間前を目安に起床されることをおすすめします。

治療方法

睡眠薬が中心で認知行動療法や自律訓練法を行う場合もあります。

また、生活習慣の見直しやストレス緩和も大切になります。

睡眠薬

睡眠薬は20人に1人が使っている一般的な薬です。

ベンゾジアゼピン系が主流で脳の鎮静や筋肉をほぐす作用があります。

精神安定剤から派生した薬のため「安定剤型の睡眠薬」や「睡眠導入剤」と説明・処方されることもあり、慣れや副作用の少ない特徴を持ちます。

睡眠薬は服用する時間帯がとても大切で、睡眠周期を戻す意識のもと服用されることをおすすめします。

認知行動療法

眠くなるまで寝床につかない、眠くなったら寝床に入る。

不眠症でお困りの方は眠りの準備が整う前に寝床につく傾向がみられます。

就寝時刻へのこだわりから眠たくなる感覚を大切にして、起床時間を揃えることで睡眠周期を一定にすると自然と14〜16時間後に眠くなるリズムが形成されます。

自律訓練法

「手が重い、手が温かい」など各生理現象に対応した言葉を心の中で繰り返すことで自己暗示をかけ、リラックス時と同じ状態を想起してリラックスする方法です。

「トイレが近いかも」と考えると尿意を感じやすくなる状態と同じで、リラックス状態の身体をイメージすることが大切です。

生活習慣

覚醒作用のあるニコチンやカフェイン、アルコールの過剰摂取、ストレスは睡眠の質を低下させます。

覚醒作用のある物は入眠時間に影響が出ない時間の摂取や量に調整されると効果的です。

また、ストレスの緩和には鍼灸がおすすめです。

鍼灸の効果

鍼灸は自律神経を整えてストレスを緩和する効果があります。

自律神経の乱れやストレスは睡眠周期を乱すだけでなく、緊張して身体の力が抜けない、肩凝りや背中が痛むといった症状を引き起こします。

心身の緊張や痛みは入眠困難や熟眠障害につながるため、自律神経のバランスを整えてストレスを緩和することはとても大切になります。

不眠症の方へ鍼灸を実施した結果、不眠だけでなく「身体が重怠い」、「胃の不快感が消えない」などの自覚症状の改善報告や「体内時計が整う」旨も報告されています。

また、別の症状で当室にお越しの方で「睡眠の質」が改善したケースもあります。

『ご利用者様から頂いた睡眠データはこちら

「睡眠薬以外の方法をご検討中の方」や「寝ても疲れが取れない方」には鍼灸をおすすめします。

眠りが浅いと感じたら

不眠症は睡眠周期の乱れが原因となる場合が多くあります。

市販の睡眠薬を試される場合にも、睡眠周期(起床から14〜16時間後に眠くなる)を意識して服用されることをおすすめします。

また、「薬以外の方法を探している方」や「寝ても疲れが抜けない方」は鍼灸をご検討ください。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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