不眠症への対処と鍼灸治療の効果
日本の5人に1人が悩みを抱えているともいわれる「不眠症」
不眠症は生活習慣やストレスをはじめ、糖尿病や高血圧など様々な原因で起こります。
鍼灸では凝り固まった筋肉の緊張緩和や自律神経を整えることに優れているため、
生活習慣やストレスが原因で生じている不眠症の改善にとても効果的です。
今回はそんな不眠症について綴らせていただきました。
そもそも不眠症とは
しっかり眠れないことによる日中の眠気や注意力散漫などの状態に加え、
頭重・めまい・食欲不振など身体の不調が長期間に渡っている際に「不眠症」と診断されます。
不眠症の種類
不眠症は大きく4つに分けられます。
入眠困難
寝つきが悪く、眠るまで30分~1時間以上時間を要してしまう。
中途覚醒
眠っている最中に目覚めてしまう、夜中に何度も目が覚める。
早朝覚醒
朝早く目が覚めてしまう、起床時刻の2時間以上前に目が覚めてしまい、その後眠れない。
熟眠障害
十分眠った感じがしない、睡眠時間は取れているのに熟睡した感じが得られない。
不眠症の原因
不眠症は生活環境・生活習慣・身体的な原因の3つが考えられます。
睡眠環境
室温・騒音・照明の明るさ。
他にも、時差があるような遠出、枕やマットレスの変化も睡眠環境に関与します。
生活習慣
運動不足、アルコール・ニコチン・カフェインの過剰摂取。
アルコールやニコチンには覚醒作用物質が含まれているため、就寝前や過剰摂取には注意が必要です。
身体的な原因
精神的なストレスや肩凝りなど節々の痛みの他、
高血圧や糖尿病といった疾患も不眠の原因になります。
高血圧
血圧を上昇させるために、身体は交感神経を優位にしてカテコラミンの分泌を多くします。
カテコラミンには膀胱容量を低下させる作用や排尿反射を促進する作用があるため頻尿に繋がり、中途覚醒や早朝覚醒の原因になります。
糖尿病
高血糖による多飲や頻尿、糖尿病の合併症である神経障害による痺れや痛みが不眠症に繋がります。
また、肥満(メタボリックシンドローム)も交感神経優位による不眠症の他、睡眠時無呼吸症候群原因になります。
このような場合には病院の受診を
高血圧や糖尿病の他に、うつ病や睡眠時無呼吸症候群は個々の治療法があり、そちらの治療を優先しておこなうことが不眠症の早期改善にも繋がります。
うつ病
うつ症状の1つに不眠が挙げられます。
うつ病と不眠は関係が深く、うつ病の悪化が不眠の悪化に繋がります。
うつ病は早い段階での対処が有効なため、不眠症状の他に気分が優れないなどメンタル的な不調を感じた場合には心療内科の受診をご検討ください。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に10秒以上呼吸が止まってしまう病気です。
- 肥満などの原因により、喉が塞がってしまう(閉塞型OSAS)
- 脳または神経の異常により、呼吸筋へ指令が行き届かなくなる(中枢型CSAS)
- 閉塞型と中枢型が混ざっている混合型
3つのタイプがあり、治療方法も生活習慣の改善やマウスピースの装着といった軽度な方法から、鼻マスクを装着して空気を送り込むcpapという方法まで状態により対応が異なります。
睡眠中の呼吸が不十分になり中途覚醒や熟眠障害へつながるため、睡眠中に呼吸が止まっている場合には呼吸器内科の受診をご検討ください。
レストレスレッグス症候群
別名:むずむず脚症候群脚は、脚に虫が這うような不快感を生じる疾患で、
といった不眠症に繋がります。
原因の分からない1次性(特発性)と薬の副作用や妊娠を期に起こる二次性(続発性)があり、生活習慣の改善・鉄分の補給・薬の服用など症状と身体の状態により対応が異なります。
レストレスレッグス症候群の詳しい記事はこちら
不眠症への対処法
まずは原因を把握し、その原因に適した対処法の実践が大切です。
うつ病など疾患治療以外の対処法には下記のような方法が挙げられます。
睡眠環境の改善
室温や湿度の調整、枕やベットなど寝具をご自身に合った物を使用することも快眠へと繋がります。
厚生省の提起では許容室温範囲が13°〜29°(冬は低め・夏は高め)、
身体近傍温度が33°前後になっていると睡眠の質が低下し辛いとの報告があります。
起床時間を一定にする
睡眠と覚醒は体内時計で調節されています。
1日24hに対して体内時計は25hを刻むようになっており、この時差を無くしてくれる物質が「日光を浴びた時に多くでるメラトニン」です。
そのため、起床時間を揃え、起床時に日光を浴びることが体内リズムの正常化に繋がります。
ストレスの解消
不眠症の原因1位がストレスです。
音楽・旅行・運動など、ライフスタイルに合う方法で気分転換をする時間を設けることが大切です。
適度な運動は良質な睡眠に繋がりますが、厳しい運動は逆に寝付きを悪くするのでご注意ください。
また、サウナや鍼灸もおすすめです。
どちらも自律神経を整え、ストレスを軽減する効果が期待できます。
自律神経についての詳しい記事はこちら
このような場合には鍼灸がおすすめ
先程、自律神経を整える方法としてサウナと鍼灸をおすすめいたしましたが、不整脈や腎臓に疾患をお持ちの方、怪我や病気により炎症を生じている際にはサウナに入ることができません。
このような、不眠症以外に持病や怪我をされている場合にも、鍼灸は施術可能です。
鍼灸は筋肉の凝り、自律神経の乱れ、冷えの改善など様々な症状の改善に効果を期待することができます。
不眠症の方に鍼灸を施した結果として、
- 眠れない
- 身体が重怠い
- 胃の不快感が消えない
などの「自覚症状改善が有効にみられた」といった結果や「体内時計が整う可能性」の結果も報告されております。
また、当室ご利用者様にも睡眠の質が回復され、お喜びいただいたケースもあります。
不眠症かご心配になられたら
不眠症は生活環境やストレス、糖尿病などの疾患、様々な原因で起こります。
まずは不眠の種類と原因を考え、持病や病気の可能性が考えられる場合には病院を受診し、
このような場合には、1度鍼灸治療をご検討ください。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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運動器系 | 肩凝り・四十肩・腰痛・股関節痛・膝痛・腓骨筋腱炎・足底腱膜炎・ドケルバン症候群・ゴルフ肘・上腕二頭筋長頭腱炎・骨折、打撲、捻挫・脳卒中後遺症・寝違え・テニス肘・後脛骨筋腱炎・シンスプリント |
消化器系 | 下痢・便秘・胃の痛み(胃炎)・胃・十二指腸潰瘍・痔疾(ぢ) |
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その他 | 全身倦怠感・更年期障害・脱毛症 |
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