鍼灸はダイエットに効果が期待できるのか?
結論からお伝えしますと、効果を期待する事ができます。
しかし、このツボに鍼をする事で劇的に!といったことはあまり期待できません。
鍼灸をおこなうことで、迷走神経やホルモンバランスが整い、代謝や満腹感の改善に繋がります。
そのため、食生活の見直しに併せて、鍼灸を取り入れる事で徐々に痩せていく(健康な状態に向かう)とお考えください。
今回はそんなダイエットと鍼灸について綴らせていただきます。
なぜ食欲が湧いて来るのか
私たちの食欲は、「レプチン」と「グレリン」というホルモンが大きく関与し、この2種類のホルモンにより満腹感と空腹感の食事リズムが形成されます。
レプチンとグレリンは血流と迷走神経によりコントロールされているため、このバランスを整えることが、食事リズムの正常化へ繋がります。
レプチン
食欲抑制ホルモンで、食後に多く分泌されます。
レプチンは脂肪細胞から分泌されて、血液を介して脳(視床下部)の満腹中枢を刺激することで満腹感が生じます。
脂肪細胞の豊富な方ほど多く分泌される傾向があり、適正体重にするような調整が日々おこなわれております。
グレリン
食欲増進ホルモンで、空腹時に多く分泌されます。
グレリンは胃から分泌されて迷走神経を介して脳(視床下部)の摂食中枢が刺激することで空腹感が生じます。
胃が膨らむとグレリンの分泌が下がるため、空腹時に低カロリーな物を食して数分間待ち、グレリンの分泌を抑えると効率的に食欲を抑えることができます。
睡眠不足は要注意
空腹時にグレリンが分泌され、ある程度の栄養を摂取してレプチンの分泌が増す、このバランスがとても大切になります。
しかし、睡眠不足や運動不足によりグレリンの分泌が増えてしまったり、運動に対する意欲低下を生じて運動不足になるといった負の連鎖を起こし易くなります。
主なダイエットの方法
「摂取カロリー<消費カロリー」がダイエットの主な考え方になります。
しかし、ジョギングや水泳など運動で消費カロリーを向上させると食欲も増加してしまうため現実的ではありません。
そのため、食事内容や食習慣の改善が重要になります。
摂取カロリーを抑える
カロリーを抑えた結果、エネルギーが不足することで体内に蓄えていた脂肪が分解されます。
摂取カロリーを抑えるための代表的な方法が下記3つです。
3例との組み合わせに鍼灸を併用すると健康的なダイエットへ繋がると考えられます。
炭水化物の量を調整する
最もシンプルかつ有名な方法です。
プロボクサーなどアスリートの方が体重を調整する際にもおこなっております。
最近はレコーディングダイエットのような食事で摂取するカロリーを可視化し、計画的に徐々に落としていく方法を取る方が多くなっています。
しかし、断食のような炭水化物カットはお身体への負担が大きくなります。
また、長期間の低炭水化物ダイエットは身体に良くないといった報告もあげられておりますので注意が必要です。
食品を換える
- 1食分をダイエットドリンクに変更する
- パスタの代わりに春雨にする
といった方法です。
栄養をしっかりと確保したうえでカロリーをコントロールされる事が最も理想的です。
サプリメント
必要な栄養分を補充する方法です。
しかし、サプリメントは不足分を補う為の物になりますので必要栄養分を全てサプリメントで補う方法はあまりお勧めできません。
鍼灸で食事リズムを整える
鍼灸では劇的な体重減少などは期待できませんが、迷走神経やホルモンバランスの調子を整えることで、空腹感や満腹感の適切な食事リズム形成に繋がります。
また、内臓の調子が整うことで老廃物の排泄も改善することから「ぽっこりお腹」や浮腫み改善なども効果に期待が持てます。
そのため、食生活の改善や運動に併用して取り入れていただく事をお勧めいたします。
ダイエットをしても変化が無い場合
変化が現れないだけでなく「強い倦怠感」や「無気力感」をよく感じるといった場合には、「下垂体機能低下症」や「甲状腺機能低下症」といったホルモン分泌を司る器官の疾患も考えられます。
この疾患の主な治療法は、不足しているホルモンを合成ホルモンで補充する方法のため、1度病院やクリニックを受診し検査されることをお勧めいたします。
下垂体機能低下症
脳(下垂体)の腫瘍や外傷がきっかけで起こる病気です。
下垂体はホルモンの分泌量を調整しているため、ホルモンの量を減少させたりする原因となります。
甲状腺機能低下症
甲状腺もまた、ホルモンの合成と分泌をおこなっております。
ホルモンの合成・分泌が上手くいかない場合や実際に分泌されたホルモンが受けて側(標的組織)の作用に異常があってホルモン作用が発揮されない場合があります。
ダイエットをされるうえで
食生活の見直しに鍼灸を併用する事で、お身体への負担を少なく健康的にダイエットを進める事が出来ます。
また、胃が膨らむと空腹感をお知らせする「グレリン」の分泌が下がるため、空腹時に低カロリーな物を食して数分間待ち、グレリンの分泌を抑えると効率的に食欲を抑えることができます。
しかし、徹底的にダイエットをおこなっているのにも関わらず、
- 強い倦怠感
- 無気力感
を感じる場合には、「下垂体機能低下症」や「甲状腺機能低下症」の可能性も考えられますので、1度病院やクリニックの受診をお勧めします。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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