低血圧への対処と鍼灸治療の効果
血圧が低い状態「低血圧」
低血圧は原則として治療の必要はありませんが、眩暈や頭痛などの症状が現れている場合には、生活習慣の見直しや昇圧剤の服用により血圧の安定や改善を図る必要があります。
また、鍼灸も低血圧や自律神経の乱れで生じる症状の改善が期待できるためおすすめです。
今回はそんな低血圧について綴らせていただきました。
低血圧とは
血圧が正常範囲よりも低い状態です。
低血圧は原則として治療の必要はないとされますが、低血圧により各臓器へ送られる血液量が減少することで眩暈や倦怠感、胸部圧迫感や失神発作などの自覚症状や臓器の機能障害が発現した場合には血圧を安定させる必要があります。
低血圧は慢性的に血圧の低い「本態性低血圧症」、病気や怪我・日常動作などの原因に伴い現れる「症候性低血圧症」があり、原因に合わせた対処が大切です。
そもそも血圧とは
血圧とは血管(動脈)の中を流れる血液が血管壁を押す力のことです。
血圧測定では、心臓が収縮した時の「最高血圧(収縮期血圧)」と心臓が拡張した時の「最低血圧(拡張期血圧)」を測定します。
現在、WHOでは世界共通の基準として「収縮期血圧100(mmHg)以下」、「拡張期血圧60(mmHg)以下」を低血圧としています。
症状
眩暈や立ちくらみが最も多い症状です。
身体で最も高い位置にあり重力に逆らいながら血液を供給する必要があるため、脳の症状が最初に現れる傾向があります。
眩暈や立ちくらみにより転倒して重篤な外傷を生じることもあるため、貧血症状が現れたら直ぐに座り込むことも大切です。
眩暈や立ちくらみの他には、頭痛や倦怠感、肩凝りなど血液の循環が悪化することで現れる症状全般が起こります。
原因
外傷による出血、心臓病や癌疾患、手足末端の血管収縮力が弱いなど、さまざまな原因により血液循環が低下します。
また、塩分の摂り過ぎや長時間座っていることで生じる浮腫みも血圧低下につながり「起立性低血圧」や「食後低血圧」を起こしやすくなるので注意が必要です。
起立性低血圧
急に立ち上がったり、身体を動かすことでに血圧が下がります。
長時間座った状態は上半身の血液もふくらはぎに集まっている状態になり、上半身に血液があまりない状態で立ち上がることで脳への血液が不足して眩暈や立ちくらみが起こります。
高血圧の方でも起こる可能性があるため注意が必要です。
立ち上がる前にふくらはぎを数回揉む、初動をゆっくり行うことが予防になります。
食後低血圧
寝起き(朝の起床後)に起こりやすい傾向があります。
起床して直ぐに食事をすると胃に血液が大量に送られるため、他の臓器(部位)への血液供給量が低下する事で起こります。
高齢者や寝たきりの方に多くみられ、食後すぐにボーッとしてしまう場合には食後低血圧の可能性が考えられます。
食前に白湯をコップ1杯飲むことで食事の際に胃への血液供給を緩和にする、1回の食事量を少なくして回数を増やすといった調整が効果的です。
治療方法
生活習慣の見直しが中心になります。
日常生活に影響する症状が現れている場合には、昇圧剤などの薬物療法が行われます。
食事の取り方や初動などの工夫も大切になりますが、低血圧の方は手足や末端(末梢血管)の働きがスムーズにおこなられていない場合があります。
末端の血管は自律神経によってコントロールされているため、低血圧の改善だけでなく自律神経を整えることも大切になります。
血圧の安定や自律神経を整えるには鍼灸もおすすめです。
鍼灸の効果
鍼灸には血圧や自律神経を整える効果があります。
頭痛や腹痛、倦怠感などの自律神経症状が現れている場合にはそちらの治療も大切になります。
実際に低血圧の方に鍼灸を行った結果、血圧が上昇した、血圧の正常化がみられた、自律神経症状に改善がみられたなどの結果報告も得られております。
そのため低血圧の他に、頭痛や吐き気、便秘や不眠といった「自律神経症状が現れている方」は鍼灸をご検討ください。
何度計測しても血圧が低い場合には
低血圧は原則として治療の必要はありませんが「血圧が100(mmHg)/60(mmHg)」を常に下回り、何か症状が現れている場合には循環器内科の受診をご検討ください。
検査の結果異常がなく、「生活習慣の見直しで改善が見られない方」や「自律神経の乱れによる症状が強い方」は鍼灸がおすすめです。
この記事の著者

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「白金のかかりつけ鍼灸院」を目指し、日々鍼灸施術に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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