機能性ディスペプシア(FD)への対処と鍼灸治療の考え方

胃の不快感や痛みはあるのに、明確な異常が見当たらない「機能性ディスペプシア(FD)」

命に関わる疾患ではありませんが、慢性的な胃の不快感は生活の質を大きく下げます。

体調管理の一環として、生活習慣の見直しや鍼灸で自律神経が整えることも有用です

今回は機能性ディスペプシアへの対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。

機能性ディスペプシアとは

FDは上部消化管内視鏡検査などで潰瘍や腫瘍といった器質的病変が認められないにもかかわらず、上腹部症状が持続する状態を指します

器質的疾患とは、組織そのものに明らかな異常がある状態です。

そのような異常が確認されないため、「どこが悪いのか分かりにくい」という特徴があります。

診断には内視鏡検査が必要であり、ピロリ菌感染の有無も確認されます。

そのため、まずは消化器内科での評価が重要になります。

症状

主な症状は心窩部の痛みや灼熱感、食後の胃もたれ、早期満腹感です

このうち1つ以上の症状が、

  • 6ヶ月以上前から現れている
  • 週に数回程度・直近3ヶ月間続いている
  • 症状が強く、生活に支障がある

といった場合に機能性ディスペプシアが疑われます。

症状は日常的によくある不調と似ているため、受診せずに我慢している方も少なくありません。

原因

明確な単一原因は特定されていません

消化管の運動機能異常、内臓知覚過敏、心理的ストレスなどが関与していると考えられています。

緊張状態が続くことで自律神経のバランスが乱れ、胃の動きや胃酸分泌の調整がうまくいかなくなる可能性があります。

なお、ピロリ菌除菌で症状が改善する場合は、FDとは区別されます。

治療方法

治療は薬物療法と生活習慣の見直しが中心です

胃の運動機能改善薬や胃酸分泌抑制薬が用いられることがあります。

加えて、食事内容の調整や過食の回避、睡眠の質の改善なども重要です。

まずは医療機関での診断と治療を受けることが前提となります。

鍼灸の効果

鍼灸には、自律神経を整える作用があります

胃の運動や分泌機能は自律神経の影響を受けています。

過度な緊張状態が続くことで症状が増悪している場合、リラックスしやすい状態をつくることが症状緩和の一助となる可能性があります。

慢性的な胃の不快感を繰り返している方が、体調管理の一環として取り入れるケースがあります。

施術を検討する目安

消化器内科で内視鏡検査を受けて、器質的疾患が否定されている状態で、

  • ストレスや緊張との関連を自覚している
  • 慢性的に症状を繰り返している
  • 薬物療法と併行して体調管理を考えている

このような場合には、鍼灸を検討する目安になります。

当室の考え方

機能性ディスペプシアは、症状の背景に重大な疾患が隠れていないことを確認することが優先です。

当室では、自律神経の乱れや過緊張が関与していると考えられる場合に、身体全体のバランスを整えることを目的に鍼灸を行っています。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。

当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。

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