顔面神経麻痺への対処と鍼灸治療の効果
突然お顔の一部(半分)が思うように動かせなくなってしまった・・・
そのような場合に「顔面神経麻痺」が考えられ、早期治療がとても重要になります。
今回はそんな顔面神経麻痺について綴らせていただきます。
顔面神経麻痺とは
顔面神経麻痺は、お顔の筋肉を動かす神経に麻痺が生じたものです。
顔面神経は脳→側頭部→耳の下と通過してお顔の筋肉に分布します。
この神経の通り道の何処かに異常が生じることで、お顔の筋肉(表情筋)を動かす信号が届かなくなり、表情筋が動かなくなってしまいます。
顔面神経麻痺の症状
お顔の筋肉(表情筋)は20個以上あり、顔面神経麻痺の程度により症状が異なります。
代表的な症状として、
- 眼が閉じ辛い
- 食事(水)が口から漏れてしまう
- 額にシワを寄せる運動が出来ない
と言った症状が挙げられます。
また顔面神経は表情筋の他に、
- 味覚を伝える神経
- 唾液や涙の分泌をする神経
なども含まれているため、味覚障害や唾液(涙)の分泌量低下といった症状が現れるケースもあります。
顔面神経麻痺の原因
原因として、
- 脳梗塞(脳出血)や腫瘍が原因となる場合
- 手術による神経損傷
- 胎児期(小児期)の発達過程で障害が生じたケース
- ウイルスによるもの
など様々な原因が挙げられますが、ヘルペスウイルスが原因となるケースが最も多いとされています。
ヘルペスウイルスはお身体の抵抗力が低下したときに活動し、顔面神経に感染して麻痺を生じさせます。
顔面神経麻痺は原因を特定し、早急な治療を行っていくことが重要となります。
そのため、耳鼻咽喉科への早急な受診が最も重要になります。
顔面神経麻痺の治療
ウイルスが原因で生じた急性の顔面神経麻痺の場合には、主にステロイド薬や抗ウイルス薬での治療が中心となり、重症の場合には入院や手術となるケースがあります。
また、薬物療法に加えて表情筋のリハビリテーションを行うことで後遺症の軽減を図るケースも増えてきております。
回復の程度は症状の状態により異なり、軽症の場合では2週間から1ヶ月程で回復するといわれておりますが、重症の場合には回復に時間を要してしまう傾向があります。
治療することで80%近くの方が回復される一方で、表情筋の動きが不十分であったり、眼と口が一緒に閉じてしまう(動いてしまう)といったような異常共同運動という後遺症が残ってしまうケースもあります。
そのため、麻痺が生じた際には主治医(耳鼻咽喉科)の早期受診と薬物療法に併用したリハビリテーション(マッサージ)や鍼灸治療が大切になります。
鍼灸マッサージが効果的な理由
鍼灸を行うことで表情筋や顔面神経(顔面神経管)や周辺組織の血流が改善することで麻痺の回復を促す期待を持つことができます。
また、お顔の動きが戻り始めたタイミングでお顔のマッサージやリハビリ運動を行うことで表情筋が硬くなってしまうことを防ぐ他、筋肉に刺激を与えて萎縮を防ぐ効果を期待できます。
運動していないと筋肉量が落ちてしまうのと同様で、顔面神経麻痺の状態(表情筋を動かさない)で何も刺激を行わないとお顔の筋肉は痩せてしまいます(筋萎縮)。
半年以上お顔の筋萎縮が進んでしまうと、かなりの表情筋が痩せてしまい、神経が回復しても動きが回復しないといった状態になりかねません。
そのため、主治医(耳鼻科医)の治療方針に併せてリハビリテーションや鍼灸マッサージを併用されることをお勧め致します。
鍼灸マッサージを併用される際の注意点
鍼灸院やマッサージ店により施術内容や治療方針が異なります。
麻痺(症状)の状態により、特に重度の場合には神経が誤った再生をすることで生じてしまう後遺症(異常共同運動)を防ぐためにも、「お顔面全体を動かす刺激療法は行わない」などの、お身体(症状)に合った施術を行っている治療院で施術を受けられることをお勧め致します。
最後に
「眼が閉じ辛い」・「食事(水)が口から漏れてしまう」・「額にシワを寄せる運動が出来ない」などの症状を伴う顔面神経麻痺は主治医(耳鼻咽喉科)の早期受診が最も重要になります。
また、投薬治療に併せてリハビリテーション(マッサージ)や鍼灸を行うでよりスムーズな回復を期待することが出来ます。
そのため、主治医(耳鼻咽喉科)と治療方針を確認し併用する際には治療方針に則した施術を提供してくれる治療院で施術を受けられることをお勧め致します。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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