風邪への対処と鍼灸治療の効果

年に3回は患うといわれる「風邪」

風邪の予防には、うがい手洗いでウイルスを身体に入れないことが重要ですが、鍼灸で免疫力を向上させて、ウイルスが侵入しても悪化しない状態にすることも効果的です。

今回はそんな風邪について綴らせていただきました。

風邪とは

普通感冒や風邪症候群とも呼ばれ、ウイルスによって引き起こされる上気道の感染症です。

「上気道」は鼻の穴(鼻腔)から喉仏(喉頭)までの道を指しますが、その先に存在する気管、気管支、肺を含める場合もあります。

老若男女問わず、さまざまな年齢層で発症する一般的な疾患で、免疫力が下がっていると罹患しやすい傾向がみられます。

4日〜1週間程で緩解することが多く、発熱を伴う場合にも3日以内に解熱するため、3日以上解熱しない場合には内科の受診をご検討ください。

症状

咳、鼻水・鼻詰まりが3兆候です。

しかしウイルスの種類や風邪の進行状況により、

  • くしゃみ鼻水:鼻粘膜のウイルスを除去するための反応です。
  • 咳や痰:上気道から肺側(下気道)まで炎症が進むと咳や痰が現れます。
  • 発熱や倦怠感:体温を上昇させてウイルスの活性を下げ、免疫細胞の活動しやすい状態にします。

などの症状も現れます。

原因

原因はウイルス感染です。

ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、コロナウイルスを筆頭に200種類以上存在します。

また、コクサッキーウイルスA群のような夏風邪や口内炎といった特徴的な症状をもたらすウイルスもいます。

ライノウイルス

秋から春にかけて多く発生する代表的なウイルスです。

風邪の3割以上がライノウイルスが原因になり、飛沫接触感染するため集団行動の場で拡大しやすい特徴があります。

RSウイルス

非常に感染力が強く、生後1歳までに半数が、2歳までに100%の乳幼児が感染します。

幼児や高齢者で重症化しやすいため注意の必要なウイルスです。

アデノウイルス

高熱、喉の腫れや痛み、目の充血(結膜炎)を引き起こすウイルスです。

プールで感染することが多く「プール熱」と呼ばれますが、プール以外でも感染します。

風邪症状の他に、結膜炎などの引き起こします。

コロナウイルス

昨今、騒ぎになっている呼吸器系の症状を呈するウイルスです。

重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸症候群(MERS)を引き起こすのもコロナウイルスの一種です。

治療(予防)方法

対症療法が中心になります。

風邪を完全に治す薬はありませんので、水分と休息を十分に取り、症状が辛い場合には薬を服用して、身体の免疫がウイルスを退治するのを待つ必要があります。

病院で処方される薬の他、市販薬には発熱に対する解熱鎮痛剤、鼻水・鼻詰まりに対する抗ヒスタミン剤や鼻血管収縮剤、咳や痰に対する鎮咳薬や去痰薬が販売されていますが、発熱や咳はウイルスを退治するための正常反応なため、止めてしまうことで風邪を長引かせてしまいます。

そのため、体力の消耗具合を考慮して最低限の服用をされることをおすすめします。

合併症として中耳炎や肺炎が起こった場合には抗生剤が必要になりますので、幼児や高齢者など上手く身体の状態を伝えられない方が、耳を気にしている素振り、咳が止まらない場合には注意が必要です。

予防方法は手洗い・うがいを行うことがウイルスを身体に入れないために最も大切ですが、ウイルスが身体に入っても悪化しないよう鍼灸で免疫力を上げておくことも効果的です。

鍼灸の効果

身体に鍼を刺すと体内では「異物が入ってきた」と認識し、異物(鍼)を排除するために血行が促進されて免疫を担当する細胞のバランスが整います

免疫を担当する細胞は、「顆粒球(54-60%)」「リンパ球(35-41%)」「マクロファージ(5%)」の割合で構成され、免疫活動を営んでいます。

これら免疫細胞は身体の状態に合わせて活動することが理想的なのですが、自律神経が乱れてストレス(交感神経優位)状態が長く続くと顆粒球の比率が増加して60%を超えて「癌」や「潰瘍」などが現れやすくなり、安静(副交感神経優位)状態が長く続きすぎるとリンパ球の比率が増加して41%を超えて「喘息」や「鬱病」などが現れやすくなります。

そのため、過度なストレスも長期間の休息もどちらも自律神経を乱し、免疫細胞のバランスを崩してしまうので注意が必要です。

『自律神経に関する詳細はこちら

鍼灸は身体の状態に適した免疫細胞の活性化を手伝ってくれるため、風邪の引き始めや予防にとても効果的です。

実際に、風邪症状の1つ扁桃炎が習慣的に炎症の起こる「習慣性慢性扁桃炎」で、年4回以上の発熱をする方を対象に鍼灸をおこなったところ、年間での発熱がなくなった方や発熱回数は1/2になった方が多くみられ、平均で発熱回数が年11.4回→3.4回へ減少したとの報告もされております。

3日以上の発熱や激しい咳が続く場合には内科の受診を

一般的な風邪は4日〜1週間で自然と寛解し、発熱がみられる場合にも3日程で解熱します。

そのため、3日以上発熱が続く場合や咳が続く場合には、重症化や合併症の可能性がありますので内科の受診をご検討ださい。

また、ウイルスを身体に寄せ付けないために手洗い・うがいが大切ですが、身体に入ったウイルスを早急に退治するために、鍼灸で免疫力を高めておくことも効果的ですので、日頃のケアに取り入れられることをおすすめします。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
「白金のかかりつけ鍼灸院」を目指し、日々鍼灸施術に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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