気管支喘息への対処と鍼灸治療の効果
ヒューヒュー・ぜーぜーという喘鳴(ぜんめい)や激しい咳を伴う「喘息」。
喘息の治療は、最小限の薬で良好な状態にコントロールすることで、日常生活を快適に過ごすことが目標になります。
薬物療法に鍼灸治療を併用した結果、発作回数や治療薬量の漸減がみられたとの報告されており、手軽で副作用のない鍼灸もおすすめです。
今回はそんな「喘息」について綴らせていただきました。
喘息(ぜんそく)とは
子供〜大人まで日本の約5%の方が患っているといわれる「喘息」。
呼吸時に気道(空気の通り道)が狭くなることで、ヒューヒュー・ぜーぜーといった喘鳴や激しい咳を繰り返します。
気道は、アレルギーや気温差といった様々な刺激により、気管(気管支)に炎症が生じることで狭くなり呼吸困難の症状が誘発されます。
喘息時の気管(気管支)は過敏な状態が続いており、少しの刺激で炎症が生じるため、炎症の原因となっている物質の特定と対策が大切になります。
症状
ヒューヒュー・ぜーぜーいった喘鳴や激しい咳(痰)に伴う呼吸困難です。
激しい咳や呼吸困難により、胸痛、息切れ、肩や背中の張りといった症状が付随することもあります。
喘息は放置することで炎症頻度が高くなり悪化する恐れもあるため、症状が続く場合には呼吸器内科の受診をご検討ください。
原因
アレルゲンによるものとアレルゲン以外に大きく分かれます。
アレルゲンによるもの
- 花粉
- ハウスダスト
- 食べ物
といったアレルギー物質(アレルゲン)が原因で炎症反応が起こります。
鼻炎や皮膚炎を併発しやすい特徴があり、アレルゲンの特定と除去が効果的です。
アレルゲン以外
- タバコ
- 過労やストレス
- 気候や環境
などが主な原因物質になります。
季節の変わり目や強いストレス時に起こり易いといった傾向もあり、風邪などの感染症から起こる場合もあります。
感染症
百日咳菌やマイコプラズマへの感染症で咳が続くケースもあります。
このような感染症の場合には、感染症の治療が先決になります。
対処法
まずは呼吸器内科を受診して、原因を特定することが最も大切になります。
原因の特定
病院では感染症の診察やアレルギー検査の他、呼吸機能の状態を検査することが出来ます。
※全ての検査を全員におこなうものではありません。
スパイロメトリー検査
大きく息を吸って吐くことで、肺活量や換気量を調べる検査です。
気道過敏性検査
発作時にどの程度の呼吸機能低下がみられるかを調べる検査です。
NO検査
息に含まれるNO(一酸化炭素)の量を測り、炎症の度合いを調べる検査です。
原因特定後の対策
気管支喘息の原因物質はお一人お一人異なります。
アレルゲンが原因の場合
ダニやカビが原因の場合には、定期的な掃除機掛けや換気、空気清浄機や加湿・除湿機の使用、食事や花粉などの場合には悪化因子への接触機会を減らすといったことが症状の緩和(安定)に繋がります。
アレルゲン以外が原因の場合
気候やストレス過多の場合には、免疫力が低下した際に起こる傾向があります。
そのため、生活習慣を正して免疫機能を正常に保つことが大切になります。
生活習慣改善に併せた鍼灸も喘息予防におすすめです。
鍼灸がおすすめな理由
WHO(世界保険機関)の鍼灸適応疾患に「喘息」が認められております。
喘息発作の現れていない(安定している)時期に免疫力や体調を整えて予防することが大切になります。
また、喘息により呼吸が浅くなることを補うために肩で息をする状態を続けてしまい、首肩や背中の凝り感が強くなり更に呼吸が浅くなる悪循環になってしまいます。
鍼灸は自律神経や血流を整える作用やリラクゼーション効果が期待でき、免疫の過剰反応の抑制や筋緊張を緩和して深い呼吸が出来る状態へとお身体を整えられます。
実際に喘息の方が鍼灸治療を取り入れた結果、
- 気道過敏性亢進の改善が示された
- NO(一酸化炭素)濃度の改善による気道炎症の改善が示された
- 血清ECP値の低下による改善が示唆された
など、喘息予防に効果を期待できる報告が挙げられております。
喘息は炎症の原因を特定して対策することが最も重要
炎症の原因にはアレルギーや感染症によるものなど様々です。
そのため、まずは呼吸器内科の受診して原因特定と対策を立てられることが大切になります。
喘息予防には生活習慣改善の他、鍼灸も効果的なため定期的なケアや予防に鍼灸治療の併用もおすすめです。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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