糖尿病への対処と鍼灸治療の効果

インスリン分泌に異常が生じ、血糖値が高くなる「糖尿病」

糖尿病はインスリン補充や生活習慣の見直しでコントロール可能な病気です。

また、通常の治療に鍼灸を併用することで末梢循環やHbA1c(血液検査数値)改善が期待できるためおすすめです。

今回はそんな糖尿病について綴らせていただきました。

糖尿病とは

膵臓で作られるインスリン(血糖調節ホルモン)に問題が起こり血糖値が高くなる病気です。

インスリンは食後に血糖値が上昇することで膵臓から分泌されて血糖値を調節するホルモンです。

細胞内へ糖を取り込む手助けをしてエネルギーに変える働きをしており、余った糖をグリコーゲンや中性脂肪に合成して蓄えています。

そのため、インスリンに問題が起こると血糖値が高い状態のままになってしまい、エネルギーを上手く作り出せない状態になります。

診断基準

  • 血糖値(随時)200mg/dL以上
  • HbA1cの値が6.5%以上
  • 早朝空腹時の血糖値126mg/dL以上
  • 経口ブドウ糖負荷試験(75グラムのブドウ糖水を飲んだ2時間後に血糖値を測定)の血糖値が200mg/dL以上

検査を2回実施して、いずれかの所見が2回とも確認されると糖尿病となります。

症状

高血糖に伴う倦怠感や口渇、神経障害が主な症状です。

徐々に進行していくケースが多く、自覚症状に乏しいため健康診断など定期的な検診が大切になります。

また、糖尿病の放置は網膜症、腎症、神経障害(三大合併症)へ進行する恐れがあり注意が必要です。

倦怠感

インスリンの分泌低下により細胞への糖(エネルギー)供給が低下して、エネルギー不足になるため倦怠感や無気力感が現れます。

口渇

血糖値が高くなり浸透圧が上昇するため、口が渇きやすく、多飲することで頻用や尿量増加につながり脱水状態になる危険性があります。

神経障害

血糖値の上昇により神経細胞内に「ソルビトール」という物質が蓄積することで神経障害を起こして足の痺れや浮腫みが生じます。

糖尿病の三大合併症

  • 網膜症:網膜(眼の奥)の血管が破れることで、視力低下や失明を引き起こします。
  • 腎症:腎臓の血管が破れることで、腎不全を引き起こします。
  • 神経障害:手足の感覚低下やチクチクした痛みを感じるようになります。

原因

糖尿病は1型と2型に分かれ原因が異なります

1型糖尿病

インスリン依存型とも呼ばれインスリンを作る過程に問題があるタイプです。

自己免疫疾患やウイルス感染により膵臓内のインスリンを作るβ細胞が壊されてしまうケースや特発性(原因不明)のものがあり、完全な予防方法がまだ確立されていません。

遺伝的要因や環境要因が関与していると考えられています。

1型糖尿病の場合には不足したインスリンを自己注射で補う必要があります。

2型糖尿病

インスリン非依存型とも呼ばれ生活習慣病の1つにも挙げられます。

日本の糖尿病患者9割以上の方が2型糖尿病ともいわれております。

インスリンの分泌が不十分であったり、細胞がインスリンに対する抵抗性を持つことで発症します。

遺伝的な要因や、暴飲暴食や運動不足といった生活習慣によりインスリンの分泌不全や阻害物質が体内に溜まることが原因となります。

2型糖尿病の場合にはインスリンの自己注射が十分に作用しない傾向があり、生活習慣を意識して日常生活を送ることで悪化を防ぐことが重要です。

治療方法

血糖値のコントロールが中心になります。

インスリン注射による補充やグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の分泌を抑制する「血糖降下剤」などの併用や切り替えをおこない、血糖値をコントロールしていきます。

2型糖尿病の場合には生活習慣の改善にも取り組みます。

生活習慣の改善には適度な運動と高脂質や高コレステロールを避けたバランスの良い食事が大切になります。

また、栄養素の吸収率向上や全身の血流改善を期待できる鍼灸の併用もおすすです。

鍼灸師のコメント

シナモンは糖尿病に効果的!?

血管は血管内皮細胞と壁細胞(中膜と外膜の二重構造)2つの結びつきが悪くなると剥がれやすく、脆くなる性質があります。

毛細血管が健康であれば「Tie2」という受容体が活性化することで血管内皮細胞と壁細胞の結びつきが強くなるのですが、この受容体の働きを強めるのがシナモンです。

血管が修復されると先へ伸びようとする血管新生が働くため、血管修復の好循環に繋がります。

鍼灸の効果

全身の血流を良くすることで足の腫れや指先の痛み・痺れを改善します

糖尿病は血管や神経をボロボロにしてしまう病気のため、足先など末端から循環不良になり腫れや痛みを生じます。

循環不良は神経細胞内に「ソルビトール」という物質が蓄積して更なる循環不良へと陥ってしまうため、適度な運動をはじめ循環改善が大切になります。

また、全身の循環を良くすることで内臓の機能が整い、栄養素の吸収率向上にもつながります。

実際に糖尿病患者へ鍼灸を施した結果、HbA1c(血糖査数値)の改善がみられたとの報告もあげられており、鍼灸は糖尿病に伴う諸症状改善の一助になります。

鍼灸併用時の注意点

糖尿病は神経や血管が損傷しやすく、感染性を招く可能性のある病気のため、主治医の意向によっては鍼ではなく「火傷跡にならない灸」や「マッサージ」での施術指示をいただく場合があります。

患部を消毒して滅菌された使い捨ての鍼を使用するのは当然ですが、「血管や神経を損傷しやすい状態」や「免疫抑制剤の服用」をされている場合には、その点にも留意して施術を行う必要があります。

そのため鍼灸の併用をご検討中の場合には、まず主治医にご相談してください。

糖尿病の発見には定期的な検診を

糖尿病は適切な治療と生活習慣の改善により管理可能な病気です。

早期の診断と適切な対処が重要なため、定期的な検診をおすすめします

生活習慣の改善に鍼灸を併用されることで血糖値や循環不良を改善してお身体を良い状態にできるため、主治医にご相談のうえ是非ご検討ください。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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