自律神経の働きと鍼灸治療の考え方

呼吸や血圧、体温などを無意識に調整している「自律神経」

自律神経は生活習慣やストレスの影響を受けやすい特徴があります。

過労やストレスによって、自律神経が乱れた際には鍼灸が有用です

今回は自律神経の働きと鍼灸の考え方についてご紹介いたします。

自律神経とは

内臓や血管の働きを自動的に調節する神経系です

交感神経と副交感神経がバランスを取り合うことで、血圧、呼吸、体温などを一定に保っています。

環境変化に適応できるのは、自律神経が働いているためです。

交感神経

活動時に優位になる神経です。

心拍数や血圧を上げ、身体を活動モードにします。

過度なストレスや興奮状態が続くことで、休息しても身体が休まらなくなり、不眠症や胃腸障害といった症状につながります。

副交感神経

休息時に優位になる神経です。

消化や回復を促し、身体をリラックス状態に導きます。

極端な偏りが続くと、活力が湧かず、倦怠感や意欲低下につながります。

自律神経の乱れと影響

ストレスや生活習慣の乱れが関与し、動悸や倦怠感など、さまざまな不調が現れます

しかし、自律神経の極端な偏りによって現れる症状の中には、隠れた疾患が原因の場合もあるため、まずは医療機関での確認が重要になります。

自律神経は調べられるのか

自律神経そのものを直接測定することは困難ですが、心拍変動解析や血圧変化などから間接的に評価することが可能です。

原因や異常がみられない場合には「自律神経失調症」や「機能性症状」と説明されることもあります。

対処方法

生活習慣の見直しが基本です

胃腸症状が気になる際には食事内容や食事の時間帯、不眠症の場合には起床時間の統一など、症状に合わせて生活習慣を見直していくことが大切です。

どこから手を付けるか検討中の方には「入浴の習慣化」がおすすめです。

  • ストレス過多の方(交感神経が優位)は、ぬるめの湯にゆっくり浸かる
  • 活力が湧いてこない方(副交感神経が優位)は、熱めのお湯に短い時間浸かる

といった浴槽の入り方が推奨されます。

入浴ついては、『入浴は取り入れやすいセルフケア』でも解説しています。

鍼灸の効果

鍼灸には自律神経を整える作用があります

交感神経が優位の場合には副交感神経側へ、副交感神経が優位の場合には交感神経側へ、それぞれ体調に合わせてバランスのいい状態にリセットする働きがあります。

そのため、緊張の緩和や睡眠障害など、さまざまな自律神経症状の回復に効果を期待できます。

施術を検討する目安

医療機関での検査で原因が見当たらず、

  • 生活習慣改善を行っているが不調が続く
  • 慢性的な緊張や不眠が強い

このような場合に、鍼灸を検討する目安になります。

鍼灸を受ける際の注意点

鍼灸は比較的安全性の高い施術とされていますが、お身体に鍼を用いる以上、内出血やだるさなどの反応がみられることがあります。

副反応については『鍼灸の副反応(内出血やだるさ)について』もあわせてご確認ください。

こうした特徴を踏まえたうえで、症状や体調に応じて施術を検討していくことが大切になります。

当室の考え方

自律神経の不調は、幅広い症状を含む概念であり、まずは医療機関での評価が優先されます。

当室では、重大な疾患の可能性が除外されたうえで、身体の緊張緩和や生活リズムの安定を目的に鍼灸を行っています。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
鍼灸は身体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。

当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。

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