自律神経の働きと鍼灸治療の効果

内臓の働きを調節する「自律神経」。

自律神経は交換神経と副交感神経の2種類の神経で構成されており、どちらかに大きく偏ってしまうと病気になってしまいます。

活動と休息のバランスを心がけ、乱れてしまった際には鍼灸で自律神経のバランスを整えることが大切です。

今回はそんな自律神経について綴らせていただきました。

自律神経とは

内臓や血管の働きを自動で調節する神経です。

24時間常に血圧や呼吸数、代謝や体温調節などを監視・調整しています。

サウナに入っても体温が90度にならないのは自律神経が汗腺に働きかけ、発汗することで体温を調節しているためです。

自律神経には、車のアクセルとブレーキのように「交感神経」と「副交感神経」という逆の働きをする2つの種類の神経が存在し、バランスを取りながら身体の調整をおこなっているため、自律神経の乱れは交感神経と副交感神経の電気活動が乱れ、臓器が正常に作用しないことにつながります。

交感神経

日中や活動時に活発になる「アクセル」のような役割を担います。

ストレスや緊急事態に対応できるように身体を整える役割を持ち、交感神経が優位(活発)になることで、「血圧上昇」や「アドレナリン分泌促進」といった身体は活動状態になります。

副交感神経

夜間や休息時に優位になり「ブレーキ」のような役割を担います。

身体回復やエネルギーの温存時に副交感神経が優位になることで、「血圧の低下」や「食べ物の消化・排泄を促す」といったリラックス(回復)状態になります。

自律神経が乱れる原因

自律神経が乱れる=交感神経と副交感神経のバランスが大きく偏ることを指し、過緊張や長期間のリラックスなど極端に偏った生活が乱れる原因になります。

自律神経のバランスが偏ると自律神経の情報を伝達する「神経伝達物質」の過剰分泌や不足状態が起こり、活動時しっかりと身体に力が入らない、リラックス時に休めない、といった心身の症状が現れます。

特に現代は精神的・肉体的ストレスや生活習慣の悪化が原因となるケースが目立ちます。

精神的ストレス

仕事のプレッシャーや人間関係などの悩み、不安による精神的なストレス。

肉体的ストレス

過労や事故による身体的なストレス。

季節の変わり目による気温や気圧の変化も身体へのストレスになります。

生活習慣によるもの

不規則な食生活によるビタミン、ミネラルの不足や腸内環境の悪化。

睡眠サイクルの乱れによる成長ホルモンやインスリンなどのホルモンバランスの乱れ。

自律神経が乱れることによる影響

自律神経の乱れは浮腫みや免疫力の低下など、全身に影響して病気の原因になります

浮腫み

身体が怠い時に起こりやすい浮腫みは体内の水分代謝がうまくいっておらず、細胞と細胞の間の液体(間質液)が増えている状態です。

通常、水分は胃腸から吸収されて心臓や血管で運ばれ、腎臓で濾過して排出されます。

この一連の流れは「自律神経」や「ホルモン」によりコントロールされるため、自律神経の機能に支障が生じると身体に浮腫みが生じます。

そして血流悪化やホルモンバランスの乱れを引き起こすため、体調悪化に拍車がかかります。

免疫力の低下

免疫を担当する細胞は、「顆粒球(54-60%)」「リンパ球(35-41%)」「マクロファージ(5%)」の割合で構成され、免疫活動を営んでいます。

これら免疫細胞は身体の状態に合わせて活動することが理想的なのですが、ストレス(交感神経優位)状態が長く続くと顆粒球の比率が増加して60%を超えて「癌」や「潰瘍」などが現れやすくなり、安静(副交感神経優位)状態が長く続きすぎるとリンパ球の比率が増加して41%を超えて「喘息」や「鬱病」などが現れやすくなります。

そのため、過度なストレスも長期間の休息もどちらもバランスを崩してしまうので注意が必要です。

自律神経の乱れは調べられるのか?

病院では臓器に異常がなく、自律神経に問題があると疑われる時には機能検査を行い、臓器の働き具合から間接的に自律神経の働きを推測します

身体の位置や向きを変える動き(体位変換)に伴う血圧測定、心拍と心電図の解析、発汗試験、サーモグラフィー、など検査方法は病院によりさまざまです。

基本的には不調な身体の箇所(部位)や症状に沿った検査を行い、検査結果に異常がみられない場合には自律神経の乱れが原因の『不定愁訴』や『自律神経失調症』などといわれる傾向があります。

※各症状の詳細は症状名をクリック

自律神経を整える方法

生活リズムの見直しや鍼灸が効果的です。

生活リズムを見直される際には食生活や適度な運動も大切ですが、「起床時間を揃える」、「入浴の習慣化」この2つが効果的です。

起床時間を揃える

人間の体内時計は24時間より少し長い周期で設定されており、脳(視交叉上核)で朝日を浴びることで交感神経が刺激されることで、覚醒して誤差がリセットされます。

体内時計は胃腸や肝臓など、身体の各所にそれぞれ存在しますが、脳(視交叉上核)が覚醒リズムを作るリーダー的存在のため、起床時間を整えることは食事やその他の生活時間も整うことに繋がります。

入浴の習慣化

手軽に毎日できる入浴には、温熱作用、衛生作用、水圧作用、ストレス軽減作用の4つがあります。

入浴することでストレスホルモン(コルチゾル)を軽減し、幸福ホルモン(オキシトシン)の分泌を促す効果や、自律神経や血流改善効果が期待できるため、ストレスで自律神経が乱れやすい方におすすめです。

入浴時間は、精神的緊張状態が続いている時には「ぬるま湯にゆっくり」、やる気が出ないような時には「熱めのお湯に短時間」浸かることが効果的です。

まずは1週間の入浴習慣をご検討ください。

鍼灸がおすすめな理由

鍼灸には自律神経の機能を回復する効果が期待できます。

長期間のストレス状況は、自立神経の信号「神経伝達物質」に過剰や不足の状態を生じさせることで自律神経が乱れます。

また、自律神経の乱れは関与する臓器や血管に影響することで血流悪化につながり、ストレスホルモン「副腎皮質刺激ホルモン」の分泌過剰により一層悪化させてしまいます。

鍼灸刺激はこれら「神経伝達物質」や「ホルモン」の信号を適切な状態に調節する効果があるため、生活習慣の見直しに併せて取り入ることで、自律神経が整い、血流やホルモンバランスを安定させることができます。

活動と休息のバランスが大切です

自律神経は多忙過ぎても休息時間が長過ぎてもバランスを崩してしまいます。

疲労感や不眠症状など、自律神経の乱れには生活習慣の見直しや鍼灸がおすすめです

しかし、症状が長引く(1カ月以上続く)場合には他疾患の可能性も考えられるため、病院の受診をご検討ください。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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