ED(陰萎)への対処と鍼灸治療の考え方

勃起状態の持続が困難になる「ED(陰萎)」

EDはさまざまな要因により、陰茎に十分な血液が送られなくなることで起こります。

治療の中心はED治療薬ですが、初期段階では鍼灸も回復の一助になります

今回はEDへの対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。

EDとは

勃起障害とは性交時に十分な勃起が得られない、または勃起を維持できない状態を指します

1999年に日本でバイアグラが販売されて以降、EDの認知が広がりましたが、国内には1,000万人以上のED患者がいると推定されており、そのうち医療機関を受診している方は2割未満とされています。

EDは加齢とともに発症リスクが高まりますが、年齢に関係なく誰にでも起こり得る症状です。

EDの種類

EDは原因により以下の3つに分類されます。

  • 器質性ED:血管障害や神経障害など身体的要因によるもの
  • 機能性(心因性)ED:心理的要因が主となるもの
  • 混合型ED:器質性と機能性が複合しているもの

実際には複数の要因が重なっているケースが多く、明確に区別できないことも少なくありません。

EDの確認指標

簡易的な評価指標として「EHS(勃起硬度スケール)」があります。

  • グレード0:陰茎は大きくならない
  • グレード1:陰茎は大きくなるが、硬くはない。
  • グレード2:陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。
  • グレード3:陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。
  • グレード4:陰茎は完全に硬く、硬直している。

グレード2以下の場合には、泌尿器科での相談をご検討ください。

より詳しい評価には「男性用性健康調査票(SHIM)」が用いられます。

症状

代表的な症状は、いわゆる「中折れ」です

勃起は、性的刺激により脳が興奮し、その信号が神経を介して陰茎に伝わり、陰茎海綿体の血管が拡張することで起こります。

この充血状態を維持できなくなることで、中折れが生じます。

EDは多くの場合、中折れ → 勃起の維持困難 → 勃起自体が起こりにくくなるという経過をたどります。

勃起の仕組み

  • 1:性的興奮により、脳から陰茎に信号が送られる
  • 2:NOとcGMPが産生され、陰茎の平滑筋が緩み、血管が拡張する
  • 3:陰茎海綿体に血液が充満し勃起が起こる
  • 4:血液の流出が抑えられ勃起が維持される
  • 5:性的興奮が収まり、cGMPを分解するPDE5の働きによって勃起が終了する

ED治療薬(PDE5阻害薬)は、cGMPの分解を抑制することで勃起を維持しやすくする薬です。

性的興奮を高める薬ではない点も重要です。

原因

主な原因として加齢、糖尿病、心血管疾患、腎臓疾患、神経疾患、ホルモン数値、外傷、睡眠障害、肥満、喫煙、ストレス、薬剤性が挙げられます。

加齢

加齢によるテストステロンの低下や陰茎海綿体の内皮細胞障害によって起こります。

70代の約7割が中等度または重度のEDといわれています。

糖尿病

高血糖は、不要物質の蓄積や栄養血管を傷つけます。

血糖値をコントロール(hba1cを7以下)することが重要です。

心血管疾患

高血圧や血管障害により、血圧の維持や生理活性物質のバランスが乱れます。

腎臓疾患

血液の濾過機能が低下することで血管内壁が傷きやすくなり、動脈硬化につながります。

また腎臓疾患は、テストステロン値の低下や高プロラクチン血漿に関連して性欲減退を起こします。

神経疾患

中枢神経や末梢神経障害の疾患は、脳に興奮を伝える働きが低下させます。

ホルモンバランスの乱れ

ホルモンには、性欲を亢進するテストステロンの他に、性欲を抑制する黄体形成ホルモンもあり、偏った状態は性欲減退につながります。

外傷

交通事故による脊髄の損傷や、骨盤内臓器の手術による血管(神経)障害によるものが代表的です。

睡眠障害

睡眠不足による血流悪化、特に睡眠時無呼吸症候群は、口呼吸によって酸素の取り入れが悪くなり「夜間酸素飽和度低下」による海綿体障害を引き起こすため注意が必要です。

肥満

肥満は精巣温度を上昇させて、精子の発育(造精や運動能)に悪影響を及ぼします。

喫煙

二コチンによる血管収縮作用があるだけでなく、造精機能や精子運動率も低下するため、喫煙者は非喫煙者に比べて精子の量が15%も少ないといわれています。

ストレス

子作りのプレッシャー、鬱や心的外傷後ストレス(PTSD)がED発症率を高めます。

薬剤

前立腺癌の治療薬(リュープリン)など、男性ホルモンの合成を抑制する薬があります。

多くの場合、薬の変更や服用中止で改善しますが、減薬や断薬は必ず主治医の指示で行ってください。

治療方法

ED治療の中心は薬物療法です

日本ではバイアグラ・シアリス・レビドラの3種が承認されてます。

  • バイアグラ:作用時間約4時間、しっかりと効く
  • レビトラ:作用時間約8時間、短時間で効果が現れる
  • シアリス:作用時間約36時間、マイルドに効く

治療薬が使用できない場合には、陰圧式勃起補助具や外科的治療が選択されることもあります。

バイアグラ服用時の注意点

バイアグラはインターネットで気軽に購入可能ですが、品質問題や死亡事例もあり危険です。

また、バイアグラに含まれるニトログリセリンには血圧を下げる作用があり、降圧剤を服用中の方は使用禁止などの注意点もあります。

そのため、必ず病院で処方されたものを服用してください。

鍼灸の効果

鍼灸には血流改善や自律神経調整、ストレス緩和の作用があります

内臓の調子が整うことで栄養素の吸収率も向上するため、更なる血流改善へと好循環にもつながります。

実際に、骨盤周囲のツボに鍼刺激をおこなった結果、神経反射を介した血流改善も報告もされており、ED治療薬(PDE5阻害剤)が無効な糖尿病性EDにおいても一定の効果が期待されています。

特に、ストレスや自律神経の影響が強い「初期段階のED」や「薬物療法が十分に効果を示さない場合」などで併用されることがあります。

施術を検討する目安

勃起がまったく得られない状態が続く場合や、糖尿病・心血管疾患などの持病をお持ちの場合には、まず医療機関の受診が優先されます。

一方で、検査では大きな異常がみられないものの、疲労の蓄積やストレス、血流低下などが影響していると考えられる場合には、体調を整える方法の一つとして鍼灸を検討する目安となります。

当室の考え方

EDは身体的要因だけでなく、生活環境や心理的な影響が複雑に関与する症状です。

当室では、症状の改善を目的に鍼灸を行う際も、単独での対応を前提とせず、医療機関での診断や治療状況を踏まえたうえで関わることを大切にしています。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。

当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。

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鍼灸:8,000円〜(税込)
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