花粉症への対処と鍼灸治療の考え方

スギやブタクサなどの花粉によって引き起こされる「花粉症」

花粉症は、体調や自律神経の乱れることで、症状が強く出るケースも少なくありません。

そのような場合には、鍼灸で自律神経の働きを整えることが回復の一助になります

今回は花粉症への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。

花粉症とは

花粉症は、スギやブタクサなどの花粉に対して、免疫が過剰に反応するアレルギー疾患です

本来、免疫は体を守るための仕組みですが、無害な花粉に対しても強く反応してしまうことで、鼻水やくしゃみ、目のかゆみといった症状が現れます。

日本では、戦後に植林されたスギが成木となり花粉を多量に飛散するようになった1980年頃から、花粉症が社会的に問題となりました。

現在では約60種類以上の植物が花粉症の原因になるとされており、なかでもスギ花粉による症状が多く、国民の4人に1人が悩まされているともいわれています。

症状

代表的な症状は、くしゃみ・水のような鼻水・目のかゆみです

そのほか、鼻詰まりによる集中力の低下、倦怠感や眠気など、日常生活に支障をきたす症状がみられることもあります。

症状の現れ方や強さには個人差があり、体調や生活環境によって変動しやすい点も特徴です。

アレルギー反応とは

アレルギー反応とは、体を守る免疫システムが過剰に働いてしまう状態を指します。

免疫細胞は複数の種類がバランスを取りながら働いていますが、このバランスが乱れることで、本来は害のない物質にも強い炎症反応が起こります。

花粉症のほか、ハウスダストや動物の毛などによるアレルギーを併発している方が多いのも、免疫バランスの影響によるものと考えられています。

原因

花粉症は、空気中に浮遊する花粉が鼻や目の粘膜に付着することで起こります

花粉が粘膜に付着すると、免疫細胞は異物と認識してヒスタミンなどの炎症物質を放出させます。

その結果、血管が拡張して鼻水や涙が過剰に分泌され、くしゃみやかゆみといった症状が現れます。

この炎症反応が繰り返されることで、症状の長期化や、毎年強く出やすくなったりする傾向があります。

治療方法

花粉症の治療は、症状を抑える対処療法が中心となります

炎症物質の放出を防ぐ「抗アレルギー薬」、ヒスタミンと受容体の結合を防ぐ「抗ヒスタミン薬」などの点鼻薬や点眼薬が用いられます。

また、アレルゲンを少量ずつ体内に取り入れて慣らしていく「舌下減感作療法」もありますが、効果が安定するまでに数年単位の継続が必要となります。

複数のアレルゲンが関与している場合には、さらに時間を要する点にも注意が必要です。

そのため、薬物療法と併せて体調管理を行い、免疫が過剰に反応しにくい状態を整えることが重要になります。

鍼灸の効果

鍼灸は、自律神経を整えることで、免疫反応が過剰になりにくい状態に保つ働きがあります

免疫を担当する細胞には、

  • 顆粒球(54-60%)
  • リンパ球(35-41%)
  • マクロファージ(5%)

など、種類や割合が適切に構成されることで、体の状態に合わせた免疫活動を可能にしています。

体調や自律神経の乱れは、顆粒球の割合を減少させたり、リンパ球の割合を増加させることでアレルギー反応が起こりやすくなります。

そのため、鍼灸で自律神経を整えておくことは、免疫の過剰反応を予防する働きが期待できます。

花粉症に対する鍼灸については、症状の軽減や安定がみられたという報告もあり、薬以外の方法として検討されるケースもあります。

施術を検討する目安

花粉症の症状が強い場合や、日常生活に大きな支障が出ている場合には、薬物療法が優先されます。

そのうえで、

  • 薬を使用しても症状のつらさが残る
  • 疲労やストレスが重なると症状が悪化しやすい
  • 毎年同じ時期に強い不調を繰り返している

といった場合には、体調を整える方法の一つとして鍼灸を検討する目安となります。

当室の考え方

花粉症は免疫が過剰に反応している状態であり、基本となる治療は医療機関での対処療法です。

一方で、体調や自律神経の乱れが続くことで、症状が強く出やすくなるケースも少なくありません。

当室では、花粉症そのものを治すことを目的とするのではなく、自律神経の働きや体全体のバランスを整え、アレルギー反応が起こりにくい状態を目指した鍼灸治療を行っています。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。

当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。

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