上腕二頭筋長頭腱炎への対処と鍼灸治療の考え方
肘を曲げる動作で、肩の前側に痛みが生じる「上腕二頭筋長頭腱炎」
上腕二頭筋長頭腱炎は腕の筋肉の腱鞘炎で、まずは安静が基本となります。
鍼灸で筋緊張を緩和し、肩関節周囲の血流環境を整えることも回復を支える一助になります。
今回は上腕二頭筋長頭腱炎への対処方法と鍼灸の考え方をご紹介いたします。
上腕二頭筋長頭腱炎とは
力こぶをつくる上腕二頭筋の腱に炎症が生じた状態です。
上腕二頭筋は肩から肘関節をまたいで走行し、肘を曲げる・前腕を回すといった動作に関与しています。
この筋肉の腱(長頭腱)は、肩の前方で上腕骨と横上腕靱帯によって形成される溝を通過します。
腕の使い過ぎなどで負荷が続くと、腱と周囲組織との摩擦が増え、炎症が起こると考えられています。
炎症を繰り返すことで、慢性化や腱断裂につながるケースもあるため、早めの対応が重要です。
症状
主な症状は、肩前面の局所的な痛みです。
特に、肘を曲げる・物を持ち上げる動作で肩の前側に痛みを感じやすくなります。
上腕二頭筋に負荷をかけることで痛みが再現される場合があり、評価の目安として「スピードテスト」が用いられることもあります。
原因
上腕二頭筋への反復的な負荷が主な原因と考えられています。
野球やバレーボールなどのオーバーヘッド動作を伴うスポーツ、重量物を持ち上げる作業などで発症しやすくなります。
一方で、明確な使い過ぎの自覚がない場合や、安静時にも肩全体の痛みが強い場合には、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)など、他の疾患が関与している可能性もあるため注意が必要です。
『五十肩についてはこちらで詳しく解説しています』
治療方法
基本は保存療法が選択され、安静や消炎鎮痛薬などによる経過観察が行われます。
症状が長期化する場合には、注射や手術が検討されるケースもあります。
ストレッチや運動療法が行われることもありますが、患部に熱感や強い痛みがある時期は、無理に動かさず安静を優先することが大切です。
鍼灸の効果
鍼灸には筋肉の緊張を緩め、局所の血流環境を整える作用があります。
肩周囲の筋緊張が緩和されることで、上腕二頭筋長頭腱への機械的な負担が軽減されます。
また局所の血流環境が整うことで、発痛物質などの循環が進み、痛みの緩和や回復を支える一助となります。
施術の目安
- 患部に触れても熱感はないが、違和感が強い
- 安静時は痛くないが、動作時には痛みが現れる
このような場合には、鍼灸を受ける目安となります。
当室の考え方
炎症が強い急性期や、腱断裂が疑われる場合には、医療機関での評価が優先されます。
当室では、鍼灸の適応状態かどうかを確認したうえで、無理のない範囲で施術をご提案しています。
この記事の著者

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鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。
当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。
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スピードテスト
肘を伸ばし、手のひらを上に向けた状態で肘を曲げる動作に抵抗を加えます。
この際、肩の前側に痛みが誘発される場合、上腕二頭筋長頭腱への負荷が関与している可能性が考えられます。