関節リウマチ(RA)への対処と鍼灸治療の効果
現在80万人以上の方が患っているとされる関節リウマチ(RA)。
リウマチは免疫異常により関節内で炎症が起こることで「腫れ」や「痛み」を生じる自己免疫疾患の1つです。
進行することで関節の変形や機能障害をきたし生活に支障が生じるため、早期発見や早期治療が大切になります。
主な治療方法は薬物療法になりますが、鍼灸治療を併用することで、鎮痛や機能障害の改善、節々の痛みや冷えなど全身状態を整える効果も期待できます。
今回はそんなリウマチ(RA)について綴らせていただきました。
関節リウマチ(RA)の症状
代表的な症状が、以下の3つになります。
- 手のこわばり
- 関節の腫れ、痛み
- その他、全身症状
手のこわばり
起床30分以内が最も症状が強く、日中や夜は落ち着く特徴があります。
そのため、朝の支度中に初期症状に気づくケースが多く報告されております。
関節の腫れ、痛み
症状は肩や膝など全身の関節で生じますが、手首や指に左右対称で生じるケースが多いのが特徴です。
時間の経過に伴い関節の変形が進んでしまうと、生活に支障をきたしてしまいます。
また、股関節などの大きい関節をが変形してしまうと歩行が著しく困難になってしまいます。
その他、全身症状
リウマチは免疫異常によるため、発熱や倦怠感といった全身症状を伴うことがあります。
関節リウマチ(RA)の原因
免疫異常になる原因は現在不明とされており、遺伝的要因や喫煙などの環境要因も関与していると考えられております。
リウマチはリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体といった血液検査に加え、痛みや腫れの炎症反応、症状の持続期間などをスコア化して総合的に判断します。
そのため診断に専門的な知識が必要とされており、リウマチ専門のドクターもおります。
免疫異常がなぜ痛みに繋がるのか?
人体は細菌やウイルスなどの外敵から身体を守るために「免疫」という仕組みを備えております。
通常、免疫は自己と非自己を識別し、非自己のみを攻撃するのですが、喫煙やストレスをはじめとした様々な原因により自己の細胞に危害を加えてしまう状態を「自己免疫疾患」と呼び、リウマチも自己免疫疾患の1つに分類されます。
関節の骨や軟骨など自己の細胞を敵と誤って攻撃してしまう状態がリウマチです。
正常な骨や軟骨が攻撃されてしまうことで炎症を起こすことで痛みや腫れを生じます。
炎症が繰り返し起こり慢性化することで骨や軟骨が破壊されてしまい、関節の変形や機能障害をきたしてしまいます。
関節リウマチ(RA)の治療
リウマチの治療は
- 薬物療法
- 手術療法
- リハビリテーション(セルフケア)
が中心になります。
薬物療法
炎症反応を示す「CRP」値や関節破壊を示す「mmp-3」の値を確認しながら、
消炎鎮痛作用のあるステロイドや関節破壊を抑制するメトトキサレートで症状のコントロールをおこないます。
手術療法
関節の変形や破壊が進行した場合には、人工関節に置き換える手術をおこなわれます。
リハビリテーション(セルフケア)
炎症を繰り返している関節は脆弱化してしまう恐れがあるため、リハビリテーションをおこなうことが大切になります。
リハビリテーションでは関節の運動を改善して日常生活を過ごしやすくすることを目標に、運動療法や温熱療法を行います。
筋力向上や関節可動域を広げて血液の流れを良くすることで、痛みの緩和や筋肉のこわばりを解消する効果があります。
また、運動療法や温熱療法に鍼灸治療を加えられることをおすすめいたします。
鍼灸治療併用のおすすめ
患部の鎮痛や機能障害の改善に効果的であることに加え、リウマチは自己免疫疾患のため全身を対象とする疾患です。
そのため、患部の症状に加えて「発熱」や「全身の倦怠感」といった様々な症状を併発するケースがあります。
鍼灸治療は患部のみならず全身を調整する治療方法になりますので、そういった全身の症状にも効果を期待できます。
実際に、薬物療法で治療中の方を鍼灸治療併用郡と薬物療法のみ郡で効果を比較検討した際には、鍼灸併用群に有意な改善を認めた結果も報告されております。
併用される際の注意点
リウマチの状態によっては、免疫抑制作用の強い薬剤が投与されるケースもあります。
鍼灸では鍼を施す箇所の消毒や滅菌された鍼を使用するため感染の心配は一切ございませんが、担当のドクターによっては免疫抑制剤の使用中はお灸やマッサージだけで施術して欲しいとの要望をいただくケースもございます。
そのため、主治医にご相談のうえで鍼灸治療を併用されることをおすすめいたします。
リウマチを進行させないためにも
リウマチは自己免疫疾患のため完治は難しいかもしれませんが、早期発見と治療や日常の意識(リハビリ)で改善できる部分も多くございます。
また、鍼灸治療も効果的であるといった報告も挙げられており、副作用なども起こりづらいため病院での治療や生活改善との併用をお勧めです。
この記事の著者

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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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