関節リウマチ(RA)への対処と鍼灸治療の効果

関節の腫れや痛みを生じる「リウマチ」

リウマチは進行すると日常生活にも支障が現れるため、早期発見と早期治療が大切になります。

主な治療方法は薬物療法になりますが、鍼灸で鎮痛や機能障害の改善を期待できるため、薬物治療への併用がおすすめです。

今回はそんなリウマチについて綴らせていただきました。

リウマチとは

リウマチ(RA)は関節内の滑膜を免疫細胞が攻撃することで慢性炎症を生じる疾患です。

30〜40代の女性に多く発症する傾向があります。

関節内では自己組織を自分の免疫細胞が攻撃することで炎症を繰り返し起こすため、リウマチが進行すると関節が破壊されて様々な機能障害を引き起こします。

そのため、初期段階での発見と適切な治療が大切になります。

リウマチの症状

関節のこわばり、腫れや痛みが代表的な症状です。

リウマチは全身に症状が現れる疾患のため、倦怠感や発熱などの症状が現れることもあります。

関節のこわばり

初期症状として両手足の指関節が対照的に腫れる特徴があります。

睡眠中は関節を動かす機会が減るため浮腫みやすく、起床30分以内が最も症状が強く現れます。

朝の支度中に初期症状に気づくケースが多く、温めたり動かして馴染んでくる日中や夜に落ち着く傾向があります。

関節内で炎症を繰り返すことで関節の破壊が進行して変形が起こり、この変形により大腿骨が変形すると歩行困難、背骨がズレると手足の麻痺や呼吸困難の危険性があり日常生活に大きく影響します。

全身症状

リウマチは全身性の慢性炎症のため、発熱、倦怠感を伴うことがあります。

また、慢性的に炎症があると炎症物質(サイトカイン)が体内で増加し、造血抑制や赤血球の寿命を短くして鉄不足になるため貧血症状を起こします。

リウマチの原因

原因は不明です。

人の身体は細菌やウイルスなどの外敵から身体を守るために「免疫」という仕組みを備えております。

免疫は自己の細胞と敵を識別して敵(非自己)のみを攻撃し、再度同じ敵が現れた際に直ぐ対応できるように抗体という敵の特徴を記憶します。

リウマチは身体の一部を敵と誤認してしまうことで、自分の細胞を敵と誤認して炎症反応を繰り返してしまうと考えられています。

細菌やウイルスの感染、過労やストレス、遺伝的要因や喫煙などの環境要因をきっかけに発症することもあります。

関節リウマチ(RA)の治療

リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体といった血液検査、炎症反応、症状の持続期間などをスコア化して現在の状態を総合的に判断されます。

診断には専門的な知識が必要とされるため、リウマチ専門のドクターもいる程です。

治療は状態によって外科的治療、薬物療法、リハビリテーションと対応が異なります

手術療法

関節の変形や破壊が進行した場合に、人工関節に置き換える手術がおこなわれます。

薬物療法

炎症反応を示す「CRP」値や関節破壊を示す「mmp-3」の値を確認しながら、消炎鎮痛作用のあるステロイドや関節破壊を抑制するメトトキサレートで症状のコントロールをおこないます。

リハビリテーション(セルフケア)

症状が安定しているタイミングに脆弱化を防ぐリハビリテーションを行うことが大切になります。

リハビリテーションは関節の動きを改善して日常生活を過ごしやすくすることを目標に、運動療法や温熱療法を実施します。

筋力向上や関節可動域の改善は血液の流れを良くなるため、痛みの緩和や筋肉のこわばりを解消する効果が期待できます。

また、運動療法や温熱療法に併せた鍼灸もおすすめです。

鍼灸の効果

リウマチは関節や指先といった末梢の循環が障害されることが痛みの原因の1つになります。

鍼灸には血行改善による保温効果、新陳代謝の促進による老廃物の除去や「自律神経(迷走神経)への鍼灸刺激により、アセチルコリンを介してマクロファージの活動を低下させる」ことで自己免疫疾患の鎮静化を図る効果が期待できます。

実際に、薬物療法で治療中の方を「鍼灸を併用した郡」と「薬物療法のみで治療した郡」で効果を比較したデータでは、鍼灸併用群に有意な改善を認めたとの結果も報告されており、症状が安定しているリハビリテーション時期の鍼灸併用はおすすめです。

併用される際の注意点

リウマチは状態によって、免疫抑制作用の強い薬剤が投与されるケースがあります。

鍼灸では「滅菌された使い捨ての鍼」を使用し、鍼を施す箇所の消毒を行うため感染の心配はありませんが、担当のドクターによっては免疫抑制剤の使用中はお灸やマッサージだけで施術して欲しいとの要望をいただくケースもあります。

そのため、主治医にご相談のうえで鍼灸を取り入れられることをおすすめします。

リウマチを進行させないためにも

リウマチは原因不明で悪化すると日常生活に支障が現れることもあるため、早期発見と早期治療がとても大切になり、症状が安定している時にこそ温熱療法や運動療法を行うタイミングです。

また、リウマチの薬物療法に鍼灸の併用も効果的であるといった報告も挙げられており、副作用なども起こりづらいため病院での治療や生活改善との併用をおすすめいたします。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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