骨折や打撲、捻挫への対処と鍼灸治療の効果

コンタクトスポーツや交通事故で起こる「骨折」や「打撲」。

患部では炎症や腫脹が生じているため安静や冷却が大切になり、早期回復のためにも十分な睡眠が必要になります。

鍼灸は患部の鎮痛や消炎、腫脹の軽減、乱れた自律神経を整えることで早期回復のお手伝いができるため、炎症が落ち着いた時期の併用がおすすめです。

今回はそんな身近な打撲や捻挫について綴らせていただきました。

骨折や打撲、捻挫の違いとは

損傷箇所や程度によって骨折、脱臼、打撲、捻挫と定義が異なります

骨折

骨が連続性を失った状態です。

骨折は骨が2つにポキッと折れた状態を想像される方も多いと思いますが、ヒビの入った状態も骨折になります。

そのため、コンタクトスポーツや交通事故の他にも、骨粗鬆症や同じ部位へ幾度となく外力が加わることで発生する疲労骨折(ヒビ)も骨折に含まれます。

骨折時に折れた骨が周囲の血管や神経を傷つけてしまう恐れがあり、アザや痺れのある場合や出血が多い時には意識障害となってしまう場合もあるため、出血時は特に注意が必要です。

脱臼

関節が外れた状態です。

骨と骨の関節面が完全に外れているのが「完全脱臼」、少し外れた(外れかけ)状態を「亜脱臼」といいます。

脱臼は外傷時に発生するケースが多く、関節が「カクッ」と外れる音や感覚と同時に、痛みと腫れを伴うことで関節の動きが制限されてしまいます。

ラグビーをはじめとしたコンタクトスポーツにより肩関節を脱臼する割合が高い傾向がありますが、肘や顎をはじめ身体の関節であればどこでも生じる可能性があります。

骨折か脱臼かを自己判断することは難しく、脱臼は癖にもなりやすいため、疑わしき時には整形外科の受診をご検討ください。

打撲

転倒などにより身体の一部が損傷した状態で「打ち身」と呼称されることもあります。

皮膚や筋肉や血管が損傷を受けるため、痛み、腫れ、出血(内出血)が起こり、打撲した場所によっては関節が動かしづらくなります。

打撲も全身で起こる可能性がありますが、特に「頭」や「眼」は重症な症状になる可能性もあるため注意が必要です。

打撲による内出血は2週間程で青紫色から徐々に黄緑色へと変化して目立たなくなります。

頭の打撲

頭痛や眩暈の他、頭蓋内出血の場合には意識障害などの致命的な事態に繋がってしまうため注意が必要です。

眼の打撲

眼は細い血管が密なため内出血が起こりやすく、視力低下にも繋がるため痛みが続く場合には注意が必要です。

捻挫

関節を支える「靱帯」や関節を包んでいる「関節包」が損傷した状態です。

靭帯が少しだけ切れた「部分断裂」から「完全断裂」までを全て捻挫と呼びます。

足首の関節で起こりやすい傾向がありますが、全身のあらゆる関節で起こり得ます。

なかでも膝関節の捻挫は痛みを自覚しづらいため注意が必要です。

靭帯が完全に修復するまでの間は、きちんと固定して修復させる必要があり、怠ってしまうと関節のグラつきや不安定感に繋がってしまいます。

外傷時の対応

怪我をしてしまった直後はRICE(ライス)処置が原則になります。

RICE(ライス)処置とは安静、冷却、圧迫、挙上の頭文字を取った処置方法です。

Rest(安静)

まずは安静にすることが最重要です。

無理に動かすと怪我をした周囲の血管や神経を傷つける恐れもあります。

患部が安定しない場合にはタオルや添え木などで固定することも効果的です。

Icing(冷却)

患部を氷や水で冷やし、腫れや内出血を抑えます。

しっかりと冷やして皮膚の感覚が乏しくなったら少し冷やすのを中断する、といった行為を何度か繰り返しおこないます。

Compression(圧迫)

テーピングなどで圧迫しすることで腫れや内出血を抑えます。

過剰な圧迫は血流障害や神経障害に繋がってしまうので、痺れや皮膚が変色した場合には少し緩めてください。

Elevation(挙上)

患部を心臓より高い位置に保持することで腫れを防ぎます。

鍼灸師のコメント

ぶつけた箇所が触って熱い場合には、まだ炎症が続いています。

他の箇所と温度差が無くなるまではRICE(ライス)処置を継続してください。

炎症が落ち着いた際には継続した安静に併せて鍼灸もおすすめです。

鍼灸の効果

鍼灸は痛めてしまった軟部組織の鎮痛や消炎、腫脹の軽減、乱れた自律神経を整える効果があり、痛みの緩和や早期回復に期待できます。

特に骨折の回復には自律神経を整え、しっかりと睡眠を取ることが重要なため、自律神経を整えることに優れた鍼灸はおすすめです。

自律神経と骨折の関係

骨は24時間、常に破壊と生成を繰り返しています。

骨の破壊をする「破骨細胞」と生成をする「骨芽細胞」が同じリズムで働くことで、骨は一定状態で作り替えられます。

この「破骨細胞」と「骨芽細胞」のバランスを調整しているのが「自律神経」になり、自律神経の乱れは骨を作り替えるバランスに影響するため、骨を脆くすることにも繋がってしまいます。

『自律神経に関する詳細はこちら

外傷後の身体は交感神経が活発化して副交感神経の機能低下が起きている状態です。

交感神経の過剰な状態は「ノルアドレナリン」という神経伝達物質が骨(β受容体)に作用し過ぎることで破骨細胞の勢いが促進されて骨量の減少に繋がってしまいます。

一方で副交感神経が活性化すると「アセチルコリン」という神経伝達物質が骨芽細胞を活性化するため、リラックス効果だけでなく、骨量の維持や増加に好ましい状態になります

そのため、骨の健康には副交感神経をしっかりと機能させて十分な睡眠をとることが大切になります。

外傷時には

身体を強くぶつけてしまった場合にはRICE処置をおこない、整形外科の受診をご検討ください。

脱臼と骨折の違いを個人で判断することは難しく、実は折れていたといったケースも少なくありません。

患部に熱感がなくなった際には「睡眠の質」や「骨量の維持・増加」のためにも鍼灸の併用をおすすめいたします。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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