脳卒中後遺症への対処と鍼灸治療の考え方

寝たきりの原因になることも多い「脳卒中」

脳卒中は脳血管の詰まりや出血によって脳の機能が障害され、後遺症が残る可能性のある疾患です。

後遺症として、関節の拘縮や、筋肉が過剰に緊張する筋痙縮がみられることがあります。

鍼灸は、リハビリ期における運動機能の回復やしびれ軽減を補助する手段として検討されます

今回は、脳卒中とその後遺症への対処、鍼灸治療の考え方についてまとめました。

脳卒中とは

脳の血管が詰まる、または破れることで、脳に十分な酸素や栄養が行き届かなくなり、脳の機能が障害される病気です

脳血管障害とも呼ばれ、運動機能や感覚、言語、認知機能などに影響を及ぼします。

脳卒中は、血管の障害の種類によって以下の3つに分類されます。

脳梗塞

動脈硬化などにより生じた血栓によって血管が詰まるタイプです。

脳卒中全体の約8割を占めます。

脳出血

高血圧などが原因で脳内の血管が破れて出血するタイプです。

脳組織が直接損傷を受けます。

くも膜下出血

脳を包む「くも膜」の下で出血が起こるタイプです。

脳動脈瘤や動静脈奇形の破裂が原因になります。

症状

激しい頭痛、ろれつが回らない、ふらつき、視界が二重に見えるなどの症状が現れます

症状は障害された部位によって異なり、特にくも膜下出血では、経験したことのないほどの激しい頭痛を訴えることがあります。

突然の激しい頭痛や意識障害がみられる場合には、速やかに救急医療機関を受診してください。

原因(危険因子)

高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈などが脳卒中の主な危険因子とされています

これらは生活習慣との関連が深く、医療機関での管理や生活習慣の見直しが重要です。

高血圧

血管への負担が増し、脳梗塞・脳出血のリスクが高まります。

糖尿病

高血糖状態が続くことで血管が傷つきやすくなります。

脂質異常症

血栓ができやすくなり、脳梗塞のリスクが上がります。

不整脈

特に心房細動では、心臓内に血栓が形成され、脳梗塞の原因となることがあります。

治療方法

脳卒中の治療は、薬物療法や外科的治療が中心となります

  • 脳梗塞:血栓溶解療法、カテーテル治療
  • 脳出血:血圧管理、止血手術
  • くも膜下出血:クリッピング術、コイル塞栓術

状態が安定した後は、後遺症の軽減を目的としたリハビリテーションが行われます。

脳卒中の後遺症

運動障害、感覚障害、言語障害、認知機能障害などがみられます

片麻痺や筋力低下が残る場合もあり、廃用症候群を防ぐためにも早期からのリハビリが重要です。

鍼灸師のコメント

廃用症候群とは、

長期の安静や活動量低下により、筋力低下、関節拘縮、骨量低下などが進行する状態を指します。

状態に応じたリハビリを継続することが、後遺症の悪化予防につながります。

鍼灸の効果

鍼灸は、筋痙縮や関節拘縮の緩和、血流改善を通じて運動機能の回復を補助する働きがあります

筋肉の過剰な緊張が続くと関節の動きが制限されやすくなりますが、鍼灸による刺激で筋緊張が和らぐことで、日常動作が行いやすくなるケースがあります。

また、鍼通電刺激により末梢神経の機能回復を補助する可能性が示唆されており、しびれの軽減を目的に併用されることもあります。

いずれも医療機関でのリハビリテーションを前提とした補助的手段として位置づけられます。

施術を検討する目安

脳卒中後の状態が安定し、医師よりリハビリ継続の許可がでた後に、

  • 筋肉のこわばりや関節の動かしづらさが続いている
  • しびれや浮腫みが気になる

というような場合に鍼灸を検討する目安になります。

当室の考え方

急性期や全身状態が不安定な場合は、鍼灸の適応外となります。

当室では、脳卒中そのものを治すことを目的とした施術は行っておりません。

医師の管理下で回復期・維持期に入った方に対し、リハビリテーションを補助する立場として、筋緊張の緩和や日常生活動作の維持を目的に鍼灸を行なっています。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。

当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。

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