寝違えへの対処と鍼灸治療の効果
起床時から首が痛くて回す事ができない、時間の経過と共に首が動かせなくなってしまった。
など、身近に潜む「寝違え」。
寝違えは2.3日で良くなるものから1週間以上痛みを引きずるものまで様々です。
鍼灸は寝違えで緊張してしまった筋肉を緩めたり、患部を庇い乱れてしまったお身体を整えることに最適です。
今回はそんな「寝違え」について綴らせていただきます。
寝違えとは
偏った姿勢で就寝してしまった結果、筋肉や靱帯などに負担が加わり炎症が起きることで、頸部(首)や肩甲骨周囲に痛みが生じることを一般的に「寝違え」といい、別名「急性疼痛性頚部拘縮」と呼ばれております。
寝違えの原因
病院での検査や画像所見で捉えられるような変化がみられないことが一般的なため、正確な原因はわかっておりません。
就寝中の偏った姿勢など、同じ姿勢の持続により一部の筋肉が緊張状態を長時間持続してしまった結果、筋肉への血液供給が不足(阻血)になり、凝り固まっている状態で動かすことで筋肉や靭帯を痛めてしまい炎症が生じていると考えられております。
そのため、就寝中に偏った姿勢を持続してしまったといった原因の他に、
- 前日(前夜)にパソコンや事務作業を長時間おこなった
- 腕(肩周囲)の筋肉をよく使うような動作を多くおこなった
- ストレス過多やお腹(お身体全体)の調子が悪い
など、痛めてしまう原因や筋肉は人により異なります。
寝違えの対処方法
痛み・痺れが強い場合や基礎疾患をお持ちの場合には、
- 頚椎椎間板ヘルニア
- 頚椎症性神経根症
- 脊髄腫瘍や関節リウマチ
など、他の病気の可能性も考えられますので一度整形外科を受診されることをお勧めいたします。
一般的な「寝違え」の場合には、首を無理に動かさずに安静にすることが最も大切になります。
通常、1週間程の時間をかけて徐々に痛みは和らいでいきます。
寝違えから2.3日(約48時間)の初期は患部で炎症が生じているため、消炎鎮痛作用のある湿布を貼ることもおすすめです。
痛みが緩和してきましたら、
- 温める
- 軽めのストレッチ
- マッサージ
などを血流改善をおこなっていくこともお勧めです。
また、寝違え時には鍼灸も効果的です。
鍼灸が効果的な理由
寝違えは首や肩の様々な筋肉(靭帯)で生じますが、肩甲挙筋や頸板状筋の過緊張で生じる事が多く、鍼灸ではこれらの筋肉に直接アプローチする事が可能です。
凝り固まった筋肉へ鍼を刺すことで、身体の中では異物(鍼)を排除しなければと血管を拡張する働きが起こります。
そのため、血液供給不足(阻血状態)を改善する事ができます。
また、痛みを庇うことで生じる不調や阻血状態を防ぐために全身を整えることにもとても効果的です。
寝違えの予防方法
長時間の同一姿勢を避け、血液がしっかりと筋肉へ流れる事が最も大切になります。
代表的な予防法として下記3つが挙げられます。
寝具を整える
寝相の良い方ほど寝違え易いといわれております。
寝相の良い方は就寝中に姿勢が変わっていないことが多いため、部分的な筋肉が凝り固まりやすい状態にあります。
そのため、首に負担の掛かりづらいマットレスや枕を選び自然な寝返りを促す就寝環境作りも効果的です。
寒い環境を避ける
寒い環境は血流悪化や筋肉硬直を生じ易くなります。
寝違えは季節の変わり目に生じることも多いため、冬場はもちろんですが夏場もクーラーで冷やしすぎないようご注意ください。
泥酔状態で寝ない
飲酒後は特に寝違えが起こり易いといわれております。
睡眠時には、深い睡眠状態の「ノンレム睡眠」と浅い睡眠状態の「レム睡眠」を交互に繰り返してバランスを保っています。
アルコールを飲み過ぎてしまうと入眠し易くはなりますが、浅い睡眠状態の「レム睡眠」を阻害してしまうため、寝返りの回数減少といった寝違えの原因につながるだけではなく、睡眠リズムが崩れることで睡眠の質も低下してしまいます。
寝違えを悪化させないためにも
まずは無理に動かさずに安静にしてください。
痛み・痺れが激しい場合や基礎疾患をお持ちの場合には、他の病気が原因のこともありますので一度整形外科の受診をお勧めいたします。
一般的な「寝違え」の場合には1週間程かけて徐々に良くなってきますが、患部を触った際に他と比べて熱を持っているようであれば消炎鎮痛成分を含んだ湿布を貼ることも効果的です。
また、動かなくなってしまった筋肉の緊張緩和や痛みを庇うことでバランスを崩してしまったお身体を整えることに鍼灸はとても効果的です。
安静にする以外に手が無く、モヤモヤされている場合には是非1度鍼灸をお試しください。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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