後脛骨筋腱炎への対処と鍼灸治療の効果

歩行時やつま先立ちをすると内側の踝(くるぶし)周囲が痛む・・・

そのような場合に「後脛骨筋腱炎」の可能性が考えられます。
後脛骨筋腱炎は、後脛骨筋の周囲を保護する被膜(腱鞘)が摩耗して炎症を起こしている状況です。

そのため、実際に痛めてしまった場合には保存療法が主な治療法になりますが、鍼灸治療を併用することでよりスムーズな回復を期待することができます。

今回はそんな足の内踝(くるぶし)周辺に痛みが現れ易い「後脛骨筋腱炎」について綴らせていただきます。

後脛骨筋腱炎とは

後脛骨筋という足の筋肉が炎症(腱鞘炎)を起こしている状態です。
後脛骨筋は「ふくらはぎ→内踝後ろ→土踏まず」の順で走行する足の筋肉です。
外踝を走行する腓骨筋と共に足(土地踏まず付近)のアーチを作っています。
足のアーチにより、身体の安定やランニングやジャンプの着地を緩衝する働きを担っております。

後脛骨筋腱炎の原因

下記3つのような足への過負担が原因になります。

  • 過度なランニングやジャンプ動作
  • 長時間の立ち仕事
  • 扁平足や下肢の筋力不足

など足裏のアーチが沈むことで後脛骨筋が伸ばされ、筋肉の微細な傷や骨に付着する部分で炎症が起こることで痛みを生じます。
そのほかにも、関節リウマチや痛風で生じるケースもあります。
軽度であれば炎症で済みますが、重度のものは断裂する例もあり注意が必要です。

後脛骨筋腱炎の症状

主な症状は下記3つです。

  • 内踝(くるぶし)後方に痛みや腫れを感じる
  • 歩行やジャンプで痛みを感じる
  • つま先立ちで痛みが増す

断裂してしまった場合には足のアーチが崩れることで足裏にも痛みを生じ、つま先立ちができなくなります。

後脛骨筋腱炎の治療・対処方法・回復後のトレーニング

主な治療方法は保存療法になります。
炎症が強い場合には非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を用いたり、腱断裂がみられる場合には手術も適応になります。

保存療法

痛みや腫れが酷い場合にはアイシングをおこないます。
運動を制限(休止)して患部を休ませ、炎症を落ち着かせることが大切になります。
日常生活を送るうえで安静にすることが難しい場合には、

  • 地面から足へ伝わる衝撃を緩和してくれるインソールの使用
  • テーピングやサポーターの使用

を用いて足(後脛骨筋)への負担を軽減してあげることもスムーズな回復へと繋がります。
また、鍼灸を併用することで足の負担を軽減しスムーズな回復への期待を持つ事ができます。

保存療法に鍼灸の併用がおすすめ

鍼灸治療では後脛骨筋腱炎の回復時間短縮を治療目標として取り組みます。
そのため、局所麻酔のような1回で痛みが無くなった!というような事はあまり期待を持つことが出来ませんが中長期な視点で捉えると回復時間の短縮に期待を持つことが出来ます。
内踝付近には後脛骨筋の他にも長趾屈筋や長母趾屈筋という筋肉も隣接して走行しており、同じような動作で活躍しています。
そのため、後脛骨筋だけでなく同様の働きがある筋肉の不均一な緊張を整えることは、足への負担軽減につながります。

回復後の効率的なトレーニング

重心を足の外側で保っている方(靴底が外側だけ減り易い方)には下肢のトレーニングが効果的です。
普段、体重を足の筋肉で支え続けておりますが足の筋肉が疲れてくると「骨性支持」といい、下肢外側の骨で体を支えることで筋肉を少しでも休ませようとします。
そのため、自然と足の外側に重心が載る状態になります。
均一に重心を地面に伝えるためにも、下半身の筋力トレーニングをおこない重心を整える事が大切になります。

内踝周囲が痛む場合に

後脛骨筋腱炎は足への負担が続くことで痛みや腫れが生じます。
内踝の周囲が痛む場合には安静にして足への負担を軽減することを優先してください。
安静が難しい場合にはサポーターやインソールを用いることで負担を軽減できますのでお勧めです。
また、炎症の早期改善や痛みを庇って無理な力が加わってしまった筋肉の緊張を整えられるので、保存療法に併せた鍼灸治療もお勧めいたします。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸治療は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当治療室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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