後脛骨筋腱炎(こうけいこつきん)への対処と鍼灸治療の効果
歩行時やつま先立ちをすると内側の踝(くるぶし)周囲が痛む「後脛骨筋腱炎(こうけいこつきんけんえん)」
後脛骨筋腱炎は、後脛骨筋(脚の筋肉)への負荷が加わり過ぎた結果、筋肉の付け根である骨との間で炎症が生じた「足の腱鞘炎」です。
鍼灸は凝り固まった後脛骨筋を直接緩めることができ、早期回復と再発予防に効果的です。
今回はそんな後脛骨筋腱炎について綴らせていただきました。
後脛骨筋腱炎とは
後脛骨筋腱炎は足の腱鞘炎です。
後脛骨筋は「ふくらはぎ→内踝(くるぶし)の後ろ→土踏まず」の順で走行する足の筋肉で、外踝を走行する腓骨筋と共に足裏のアーチ(土地踏まず付近)を作っています。
足裏のアーチは身体の安定やジャンプ着地時の緩衝する働きを担っており、このアーチを沈ませる動作を繰り返すことで、骨に付着する部分の腱に負担がかかり炎症を引き起こします。
症状
内踝(くるぶし)周囲の腫れや痛みが代表的な症状です。
足の甲や下肢内側の痛み、場合によっては膝や腰も痛むといったケースもみられます。
痛む箇所によって、
- 外踝(くるぶし)付近:腓骨筋腱炎
- 足の甲(親指付近):長趾伸筋腱炎や前脛骨筋腱炎
- 下肢内側(下1/3):シンスプリント
など、後脛骨筋以外を痛めているケースもあります。
なかでも腓骨筋腱炎は後脛骨筋腱炎に並び、痛める方も多いため、腫れや痛む場所を正確に捉えることが重要になります。
『腓骨筋腱炎に関する詳細はこちら』
原因
遠心性負荷の過剰(後脛骨筋の使い過ぎ)が主な原因です。
踵(かかと)外側が着地した瞬間、内側アーチへ急激な重心移動をすることで高負荷になるため、
- ランニングやジャンプ動作
- 長時間の立ち仕事
- 扁平足や下肢の筋力不足
などの足裏アーチが沈み易い状況は、後脛骨筋の微細な傷や骨に付着する部分での炎症原因になります。
軽度であれば炎症で済みますが、重度のものは断裂する例もため注意が必要です。
また、稀なケースですが「関節リウマチ」や「痛風」が原因で内踝周囲が痛むケースもあるため、持病をお持ちの方で足を酷使した記憶がない方はリウマチや痛風の可能性も一度お考えください。
治療・対処方法
痛みや腫れが強い場合には薬物療法が検討されますが、保存療法が中心になります。
薬物療法
ヒアルロン酸やステロイド、抗炎症薬を使用して痛みを和らげるケースもありますが、ロキソニンやモーラステープのような鎮痛系の湿布薬が処方されるケースの方が多いようです。
保存療法
最も重要且つ代表的な治療法です。
痛みや腫れが酷い場合にはアイシングをおこない、運動を制限(休止)して患部を休ませて炎症を落ち着かせることが大切になります。
日常生活に支障をきたす程に痛む場合には、インソールやサポーターを使用して後脛骨筋への負担軽減が効果的です。
また、鍼灸を併用することで足の負担を軽減しスムーズな回復への期待を持つ事ができます。
鍼灸の効果
鍼灸は凝り固まった後脛骨筋を直接緩めることができるため、回復時間を短縮できます。
鍼灸を行うことで、血流が改善して筋肉の硬さが取れ、過敏になっている神経を鎮静化することで痛みを緩和することができます。
内踝(くるぶし)付近には後脛骨筋の他、長趾屈筋や長母趾屈筋という筋肉も隣接して走行しており同じような動作を行います。
場合によっては下肢の上下関節である股関節や腰臀部に筋緊張や痛みが現れることもあるので、不均一な状態の筋緊張を整えることは負担軽減や早期回復につながります。
そのため、「局所麻酔のような1回で痛みが無くなった」というようなことはあまり期待出来ませんが、中長期な視点で捉えると身体に無理な負担を掛けずに回復時間を短縮することが出来ます。
後脛骨筋腱炎が疑われる場合には
後脛骨筋腱炎は足への負担が続くことで、内踝周囲に痛みや腫れが生じます。
痛む際には安静が第一で、サポーターやインソールを使用して後脛骨筋の負担を軽減されることも効果的です。
また、お身体全体を整えることは「炎症の鎮静化」や「無理な力が加わった筋肉の緊張を整える」ことで早期改善につながるため、保存療法に併せた鍼灸もおすすめです。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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