シンスプリントへの対処と鍼灸治療の効果
運動時に脛(すね)の中央から下にかけて痛みを感じる。
そのような場合に「シンスプリント」の可能性が考えられます。
シンスプリントは、脛骨(すねの骨)への負荷により骨膜が炎症を起こした状態のため、安静にすることが大切です。
また、安静時に鍼灸治療をおこなうことで早期回復や再発予防にもつながります。
今回はそんな脛骨に痛みが現れるシンスプリントについて綴らせていただきました。
シンスプリントとは
シンスプリントは脛骨周囲の骨膜に炎症が生じる骨膜炎で「脛骨過労性骨膜炎」とも呼ばれています。
過度な運動や扁平足により、下肢筋肉の付着部である脛骨の骨膜に牽引ストレスが加わることで起こります。
初期段階であれば運動時にのみ痛みを感じますが、進行すると安静時にも痛みを感じるようになるため注意が必要です。
また、似たような症状として
- 安静時に持続する痛みがある
- 痛む部位が限局性(ピンポイント)で強い
といった場合には、「疲労骨折」の可能性も考えられます。
そのため、安静時にも痛む場合には整形外科の受診をご検討ください。
シンスプリントの原因
代表的な原因は下肢筋肉の「オーバーユーズ(使い過ぎ)」です。
使い過ぎてしまう要因としては、過度な運動・扁平足や回内足・硬い路面やシューズなどの様々な要因が挙げられ、痛めた状況から原因を特定することが大切になります。
脛骨には多くの筋肉が付着するため、どの筋肉に影響を受けたのかによって痛む場所が異なります。
前外側シンスプリント
脛の前面外側が痛むタイプです。
前脛骨筋や長母趾伸筋など、足関節を背屈(足首を曲げる動き)させる筋肉が脛骨に牽引ストレス加えます。
そのため、足関節が背屈で痛みが増強します。
後内側シンスプリント
脛の後面内側に痛みを感じるタイプで、多くの方がこちらのタイプです。
後脛骨筋や長趾屈筋など、足関節を底屈(足首を伸ばす動き)させる筋肉が脛骨に牽引ストレス加えます。
そのため、足関節が底屈で痛みが増強します。
後脛骨筋が原因の場合には「脛の内側下1/3周辺」に痛みが現れるケースが多いのですが、後脛骨筋自体が腱鞘炎を起こす「後脛骨筋腱炎」も内踝(くるぶし)周囲の痛みを生じ、痛む部分が近いため注意が必要です。
後脛骨筋腱炎の詳しい記事はこちら
シンスプリントのの治療・対処方法
痛みや腫れが強い場合には薬物療法が検討されますが、一般的には保存療法になります。
薬物療法
ヒアルロン酸やステロイド、抗炎症薬を使用して痛みを和らげるケースもありますが、ロキソニンやモーラステープのような鎮痛系の湿布薬が処方されるケースの方が多いようです。
保存療法
最も重要且つ代表的な治療法です。
痛みや腫れが酷い場合にはアイシングをおこない、運動を制限(休止)して患部を休ませて炎症を落ち着かせることが大切になります。
日常生活に支障をきたす程に痛む場合には、
- 地面から足へ伝わる衝撃を緩和してくれるインソールの使用
- テーピングやサポーターで足首を固定
することで、下肢筋肉への負担を軽減することが効果的です。
また、鍼灸を併用することで下肢の負担を軽減してスムーズな回復への期待を持つ事ができます。
保存療法に鍼灸の併用がおすすめ
鍼灸治療では牽引ストレスを加えている原因筋の緊張緩和や血液循環を整えることで早期回復を目指します。
骨膜に炎症反応が生じているため、牽引ストレスを加えている「筋肉の緊張を緩和すれば直ぐに痛みがなくなる」というようなケースは少なく、1回で即完治はあまり期待出来ませんが、中長期な視点で捉えると回復時間の短縮に期待を持つことが出来ます。
また、シンスプリントは筋肉による牽引ストレスによって起こりますが、筋肉自体が腱鞘炎を起こす状況にも繋がり易いため、不均一な状態の筋緊張を整えることは負担軽減や予防にもつながります。
シンスプリントが疑われる場合には
シンスプリントは下肢筋肉への負担が続き、筋肉の付着部である脛骨を牽引することで起こる骨膜炎です。
初期段階では運動の開始時に痛み、運動中は痛みが治りますが、良くなっている訳ではなく安静にすることが大切になります。
牽引ストレスを加えている原因の筋肉や状況により、痛む場所や程度は異なりますが、安静にしていても持続的に痛む場合には「疲労骨折」など他の原因も考えられますので1度整形外科の受診をご検討ください。
保存療法(安静)にしている際には、負荷を加えている筋肉の緊張緩和や血液循環を整えることで早期改善につながるため、鍼灸治療もお勧めいたします。
この記事の著者
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『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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