男性の更年期障害への対処と鍼灸治療の効果
うつ病に間違えられやすい「男性の更年期障害」
更年期障害は男女共にみられ、減少するホルモンの種類が異なります。
症状が強い場合にはホルモン補充療法が主な治療方法になりますが、その手前の状態や諸症状が多く現れている場合には鍼灸で自律神経や血流を整えることで症状の安定が期待できます。
今回はそんな男性の更年期障害について綴らせていただきました。
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男性の更年期障害
40代以降急激にテストステロン(男性ホルモン)の分泌量が減少することで、やる気の喪失や気持ちの塞ぎ込みが現れ易くなります。
周囲から気づかれにくく、本人も自覚しづらいため鬱病に間違えられることも多く、うつ病の半数は男性更年期障害といわれる程です。
男性更年期障害は減少したホルモンの補充や、血行や自律神経のバランスを整えることで改善が期待できます。
抗うつ剤を先に服用してしまうとテストステロン値が下がり症状を悪化させてしまう場合があるので、心療内科や精神科の受診をご検討中の場合には、まず泌尿器科やメンズヘルス外来を受診して更年期障害の可能性を確認されることをおすすめします。
男性ホルモン
女性にも存在しますが、分泌量が異なるため男性ホルモンと呼ばれています。
男性ホルモンはテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロステンジオンなど何種類も存在しますが、全体の9割以上を占めるのが「テストステロン」のため、男性ホルモン=テストステロンという認識が広く浸透しています。
そもそもホルモンとは
血液中に分泌される情報伝達物質です。
身体の内側と外側に変化が起こっても身体の状態を一定に保もつ働きをしています。
体内には100種類以上ものホルモンが存在し、常に身体を外部環境に適応させております。
症状
精神的な症状、身体的な症状のどちらもあり、精神的な症状が強い場合に鬱病と間違えられてしまうケースが増えます。
代表的な症状はテストステロンの減少に伴う意欲低下、血管運動神経の障害による冷えやのぼせです。
精神的な症状
- やる気が出ない
- 不安感、短気になった
- 集中力や記憶力の低下
身体的な症状
- 不眠、起きれるのが辛い
- 火照り、頭痛
- 性欲、性機能の減退
原因
テストステロンの減少が主な原因です。
テストステロンは決断力や好奇心に深く関わるため、分泌低下は決断力や好奇心の低下に繋がります。
テストステロンの分泌量は脳下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(LH)、視床下部から分泌される黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)のバランスによりコントロールされていますが、加齢や強いストレスによりホルモンバランスが乱れることでテストステロンが減少してしまいます。
治療と予防方法
男性の更年期障害は泌尿器科やメンズヘルス外来で採血することで判断ができ、更年期障害の症状によって漢方薬やホルモン補充療法がおこなわれます。
ホルモン補充療法手前の状態や諸症状が多く現れている場合には鍼灸治療の併用が効果的です。
また「ams調査票」という医療機関でも使われる男性更年期のチェック表もあり、インターネットで閲覧できますのでセルフチェックに使われることもおすすめです。
漢方薬
代表的な漢方に補中益気湯(ほちゅうえっきとう)があります。
漢方薬はお身体がどのような状態か「証」というものを立て、証に基づいて効果がありそうな漢方薬を服用する必要があるため、可能であれば漢方に詳しい先生の処方がおすすめです。
ホルモン補充療法
テストステロンを補う治療法です。
テストステロンは日内変動があるので更年期障害の有無に関わらず、何年か同じ時期に測定して平均値を知っておくと、他の病気の早期発見にもつながります。
食事や運動
カルニチンを多く含む「ラム肉」、抗酸化作用のある「玉ねぎ」や「ニンニク」が良いといわれ、運動には「ウォーキング」がおすすめです。
ウォーキングは骨芽細胞を刺激して、性腺を刺激するオステオカルシンの分泌を促進させる効果が期待できます。
そのため生活習慣改善の1つとして取り組まれることをおすすめいたします。
また、各症状の緩和やお身体の状態を整えることに鍼灸も効果的です。
鍼灸の効果
鍼灸は不眠など各症状の改善・緩和の他、自律神経や血流を整えることでホルモンバランスを安定させる効果が期待できます。
筋緊張の緩和や皮膚への刺激は視床下部(脳)に影響を与えてホルモンの分泌バランスを整えることにも関与し、血流が整うことでホルモンの巡りも改善します。
また、脳内のβエンドルフィンという神経ペプチド「脳内麻薬物質」の分泌を活性化させてリラクセーション効果を促すため、精神的な症状の緩和にも適しています。
更年期障害は症状の現れ方や強さに個人差があるため、お一人お一人に合わせた施術をおこなえる鍼灸はおすすめです。
更年期障害が疑われる場合には
更年期障害はホルモンバランスの乱れによって起こり、不安感や不眠など、さまざまな症状が現れます。
鬱症状にも似ているため心療内科や精神科を受診される方も多く、うつ病患者の1/2は男性更年期ではないかといわれる程です。
また、男性更年期障害は抗うつ剤を服用することで悪化してしまうケースもありますので、心療内科の前に泌尿器科の受診をご検討ください。
ホルモンバランスをはじめ、お身体の状態を整えて各症状の緩和や改善を図る場合には鍼灸の併用をおすすめいたします。
この記事の著者
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「白金のかかりつけ鍼灸院」を目指し、日々鍼灸施術に励んでおります。
鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。
当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。
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