男性の更年期障害(LOH症候群)への対処と鍼灸治療の考え方
気分の落ち込みや意欲低下が続く「男性の更年期障害(LOH症候群)」
男性更年期障害は、加齢やストレスに伴うホルモン変化が関与すると考えられています。
自律神経症状が主体の場合には、鍼灸の併用も回復の一助になります。
今回は男性更年期障害への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。
男性の更年期障害とは
加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下に関連して、心身にさまざまな不調が現れる状態を指します。
「加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群」とも呼ばれ、明確な異常所見が出にくく、不定愁訴として扱われやすいため、うつ状態と混同されることも少なくありません。
症状
意欲の低下、疲労感、冷えやのぼせなどの自律神経症状が代表的です。
精神症状と身体症状の両方がみられ、症状の現れ方や強さには個人差があり、日によって波があるのも特徴の一つです。
精神的な症状
やる気が出ない、気分の落ち込み、集中力や記憶力の低下などが挙げられます。
身体的な症状
不眠、倦怠感、発汗、ほてり、頭痛、性機能の低下などがみられることがあります。
原因
テストステロンの分泌低下が主な要因と考えられています。
テストステロンは決断力や好奇心との関わりが深く、分泌低下は意欲減退につながります。
テストステロンは視床下部―下垂体―精巣のホルモン系で調整されており、加齢や慢性的なストレス、睡眠不足などの影響を受けます。
ホルモン分泌の変化に自律神経の乱れが重なることで、心身の不調が表面化しやすくなります。
治療方法
ホルモン補充療法や漢方薬が検討されます。
ホルモン補充療法
不足しているテストステロンを補う治療です。
症状や血中濃度を確認しながら慎重に行われます。
漢方薬
体質や症状の出方に応じて処方されます。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などが有名ですが、漢方薬はお身体の状態を診て「証」という見立てに合わせて処方されます。
そのため自己判断ではなく、医師の管理下での使用が望まれます。
鍼灸の効果
鍼灸には自律神経のバランスや血流を整える作用があります。
男性の更年期障害では慢性的な緊張状態が続くことで、自律神経が乱れて症状をさらに悪化させている場合があります。
そのようなケースでは、心身の緊張を和らげることが体調全体の底上げにつながります。
施術を検討する目安
医療機関で重大な疾患が否定されていることを前提に、
- ホルモン補充療法を行う数値ではないが、体調不良が続いている
- 睡眠の質が低下している
- ストレスの影響を強く受けている自覚がある
このような場合に、鍼灸を検討する目安になります。
鍼灸を受ける際の注意点
鍼灸は比較的安全性の高い施術とされていますが、お身体に鍼を用いる以上、内出血やだるさなどの反応がみられることがあります。
副反応については『鍼灸の副反応(内出血やだるさ)について』もあわせてご確認ください。
こうした特徴を踏まえたうえで、症状や体調に応じて施術を検討していくことが大切になります。
当室の考え方
鍼灸はテストステロンそのものを直接増やす治療方法ではありません。
当室では、自律神経の乱れや睡眠障害、慢性的な緊張といったが間接的な要因を整えることを目的に鍼灸を行なっています。
この記事の著者

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鍼灸は身体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。
当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。
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不定愁訴とは
不調はあるが診察や検査で原因を特定できない状態をいいます。
明確な疾患名がつかない「病気手前」の状態を指して使われることが多く、海外では「MUS(Medically Unexplained Symptoms)」と呼ばれることもあります。