うつ病への対処と鍼灸治療の考え方
気分の落ち込みが長期間続く「うつ病」
ストレスや脳内の神経伝達物質の変化など、さまざまな要因が重なって起こる病気です。
休養・薬物療法を中心に、心身の緊張が強い際には、鍼灸でバランスを整えることも有用です。
今回はうつ病への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。
うつ病とは
気分の落ち込みや意欲低下が、一定期間以上持続し、日常生活に支障をきたす状態をうつ病といいます。
気分障害には、抑うつ状態が続く「うつ病」、気分の高揚(躁状態)を伴う「双極性障害」などがあります。
抑うつ気分とは、憂うつで気分が沈んだ状態が持続していることを指し、それが強く、診断基準(DSM-5)を満たした場合にうつ病と診断されます。
生涯有病率は約6%前後とされ、決して珍しい疾患ではありません。
症状
精神症状と身体症状の両方が現れることが特徴です。
DSM-5では、以下9項目のうち5つ以上が2週間以上ほぼ毎日みられる場合に、大うつ病エピソードと診断されます。
- 抑うつ気分
- 興味や喜びの消失
- 食欲の減退または増加
- 不眠または過眠
- 精神運動の焦燥または制止
- 疲労感・倦怠感
- 無価値感や過度な罪責感
- 思考力や集中力の低下
- 死についての反復思考
特に「死についての反復思考」がみられる場合は、速やかに精神科・心療内科を受診することが重要です。
原因
遺伝的要因、性格傾向、社会環境、強いストレスなどが複合的に関与すると考えられています。
脳内ではセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の働きが変化している可能性が指摘されています。
慢性的なストレスは、ストレスホルモン(コルチゾル)の過剰分泌を招き、神経細胞の機能低下や意欲の低下に関与すると考えられています。
また、薬剤の副作用や他疾患に伴って抑うつ症状が出ることもあるため、自己判断せず医療機関での評価が必要です。
治療方法
休養と薬物療法が治療の基本です。
抗うつ薬や抗不安薬が用いられ、必要に応じて認知行動療法などの心理療法が併用されます。
回復には時間がかかることが多く、症状が安定しても一定期間の服薬継続が推奨されています。
まずは医療機関での適切な診断と治療を最優先にすることが重要です。
鍼灸の効果
鍼灸には過緊張状態にある自律神経の働きを緩和し、心身のバランスを整える作用があります。
不眠、倦怠感、冷えなどの身体症状が強い場合には、身体的な緊張を和らげることで全体の負担を軽減できる可能性があります。
脳血流や神経活動に変化がみられたという研究報告もありますが、鍼灸単独でうつ病を治療するものではありません。
医療を基盤としながら、身体面のサポートとして位置づけることが適切です。
施術を検討する目安
精神科や心療内科での診断・治療を前提に、
- 倦怠感や不眠、身体のこわばりが強い
- ストレスによる自律神経症状(冷え、動悸、頭痛など)が目立つ
このような場合に、鍼灸を検討する目安になります。
当室の考え方
うつ病は医療機関での治療が最優先です。
当室では、うつ病そのものを治すという立場ではなく、身体的緊張や自律神経の過負荷を整えて不調の波を小さくする、回復を支えることを目的に鍼灸を行なっております。
この記事の著者

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鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。
当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。
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