眼瞼痙攣(がんけんけいれん)への対処と鍼灸治療の効果

目がショボショボしたり、瞼(まぶた)を開けていることが辛い「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」。

眼瞼痙攣は疲れやストレスで悪化するため、鍼灸でストレスの緩和や自律神経を整えることが効果的です。

また、眼瞼痙攣と間違えやすい病気「片側顔面痙攣」に伴う、目のピクピク感の解消にも鍼灸は効果を期待できます。

今回はそんな眼瞼痙攣について綴らせていただきました。

眼瞼痙攣(がんけんけいれん)とは

瞼(まぶた)が上手く開閉出来ない病気です。

痙攣(けいれん)と名前がついていますが、目を開けていられない、瞼が下がる、眩しいといった症状が中心で、瞼(まぶた)がピクピク痙攣するようなケースは多くありません。

また、瞼の開閉が円滑にいかないため視野が狭くなり、歩行中に電柱や物にぶつかってしまう方も少なくありません。

寝不足で瞼がピクピクする場合とは別の病気で、ドライアイや眼精疲労と診断されることも多いため、目薬で改善がみられない場合もあります。

眼瞼痙攣に似た別の病気

紛らわしい病気として、「眼瞼ミオキニア」と「片側顔面痙攣」があります。

これらは、眼瞼痙攣と同じような症状のため誤った自己判断のもとになるため注意が必要です。

症状が軽い場合にも疑わしき時には、眼科の受診をご検討ください。

眼瞼ミオキニア

左右どちらか一側の上または下瞼ピクピク動く病気です。

過労や睡眠不足がきっかけで起こり、数日から数ヶ月で自然に症状が消失する特徴があります。

片側顔面痙攣

顔面神経麻痺の回復後に現れやすい病気です。

(顔面神経麻痺に関する詳細はこちら

眼瞼痙攣は両側の瞼で起こりますが、片側顔面痙攣は片側に起こります。

鍼灸師のコメント

片側顔面痙攣も鍼灸適応です。

「片側の目元がピクピクする」ことから「眼瞼痙攣」と思われて鍼灸院にお越しいただき、施術する機会が多い病気です。

顔面をコントロールする「顔面神経」が血管に圧迫されることで、血管の拍動と同調してピクピクするため、顔面神経の圧迫箇所をリリースすることで改善します。

原因

眼瞼痙攣には本能性、症候性、薬剤性がありますが、本能性眼瞼痙攣の原因は不明です。

本能性眼瞼痙攣

眼瞼痙攣の多くは原因不明の「本能性眼瞼痙攣」に該当し、ストレスが悪化要因になります。

瞼はミュラー筋という筋肉が保持をしており、ミュラー筋は自律神経(交感神経)がコントロールしているため、自律神経が乱れている方(ストレスフル)ほど症状が強い傾向がみられます。

症候性眼瞼痙攣

パーキンソン病や脳梗塞、進行性核上麻痺(原因不明で下を見ることが困難になる病気)が原因で起こります。

薬剤性眼瞼痙攣

ベンゾジアゼピン系抗不安薬の服用で現れるケースが多いようです。

治療方法

症状の強さや状態により、ボトックス注射、外科的療法、薬物療法が行われます。

ボトックス注射

ボトックスを目の周りの筋肉に注射することで、目を閉じる筋肉の緊張をやわらげ、スムーズに開閉できるようにする方法です。

1回の注射で3〜4ヶ月程持続し、1回で改善される方や年に1度のペースで症状をコントロールできる方と個人差があります。

ボトックスとは

ボツリヌス菌の作り出す毒素が神経に作用することで、緊張しすぎている筋肉を緩める働きがあります。

日本では眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸が保険適応です。

外科的療法

症状が中等度以上の方を対象にミュラー筋タッキング術が行われます。

瞼を持続的に開く筋肉(ミュラー筋)を手術で短くすることで、開き易くする方法です

薬物療法

向精神薬、抗不安薬が中心に処方されますが、有効性は定かではないようです。

また、服用している薬が引き金になっている場合やストレスが誘因になる場合もあるのでストレス緩和が大切になります。

ストレスの緩和やミュラー筋が円滑に動くように自律神経を整えることを目的に鍼灸の併用もおすすめです。

鍼灸の効果

鍼灸ではストレス緩和や自律神経を整えることで症状の改善を図ります。

瞼は上眼瞼挙筋(動眼神経)が上瞼を持ち上げ、ミュラー筋がその状態を保持をしています。

ミュラー筋は自律神経(交感神経)がコントロールしているため、眠い(副交感神経が優位)時にはミュラー筋の緊張が緩んで瞼が落ち、驚いたりする(交感神経が優位)と目が開きます。
これらの神経や筋肉が正常に働かないと、瞬き(まばたき)に異常が生じるため、ミュラー筋が正常に働くためにも自律神経を整え、悪化誘因であるストレスを緩和することはとても大切になります。

目薬で症状に変化がみられない場合には鍼灸のご検討を

瞼が重い、目がピクピクするといった場合、まずは眼科の受診をご検討ください。

診察の結果「眼瞼痙攣」や「片側顔面痙攣」の場合には、鍼灸でお身体のバランスを整えることで改善の期待がもてます

目薬で変化が現れづらい方や疲れに比例して症状が強く出る方はぜひ一度鍼灸の併用をご検討ください。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
『白金のかかりつけ鍼灸院』を目指し、日々鍼灸臨床に励んでおります。

鍼灸は様々な症状の改善へ効果が期待できる一方、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先した方が良いケースもございます。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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