不定愁訴(ふていしゅうそ)への対処と鍼灸治療の考え方
不調を感じるが、検査で異常や原因を特定できない状態「不定愁訴(ふていしゅうそ)」
不定愁訴は、自律神経やホルモンバランスの乱れが関わっていることも多く、
生活習慣の見直しや鍼灸で自律神経やホルモンバランスを整えることが回復の一助になります。
今回は不定愁訴への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。
不定愁訴とは
不調はあるが診察や検査で原因を特定できない状態です。
明確な疾患名がつかない「病気手前」の状態を指して使われることが多く、海外では「MUS(Medically Unexplained Symptoms)」と呼ばれることもあります。
自律神経失調症や心身症と近い概念ですが、それぞれには診断基準やガイドラインが存在するため、同一のものとは限りません。
東洋医学ではこのような状態を「未病(みびょう)」と捉え、体内環境の乱れや血流の低下が関与していると考えます。
症状
精神的な症状と身体的な症状が混在し、複数同時に現れることが多いのが特徴です。
明確な誘因や再現性が乏しく、「いつ・どこが・どのように」と特定しづらいことも少なくありません。
一方で「常に左腰だけが痛む」「起床時のみ頭痛が出る」など症状に明確な特徴がある場合には、他の疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
精神的な症状
イライラ、不安感、気分の落ち込みなど。
身体的な症状
肩こり、頭痛、全身倦怠感、めまい、便秘や下痢、腹部不快感、冷え、痺れなど多岐にわたります。
原因
明確な単一原因は特定されていません。
生活習慣の乱れや慢性的なストレスが重なり、自律神経や内分泌(ホルモン)系の調整機能が乱れることで、体の「恒常性(こうじょうせい)」が弱まっている状態と考えられています。
恒常性(ホメオスタシス)とは
体温や血圧、血液量などを一定範囲に保つ生体の調整機能です。
90度のサウナに入っても体温が90度にならないのは、恒常性が機能しているためです。
脳(視床下部)が中心となり、自律神経とホルモンを介して調整しています。
この調整機能が乱れることで、多彩な不調が現れる可能性があります。
対処方法
まずは自己判断せず、医療機関での診察・検査をご検討ください。
明らかな異常がなく、休息しても改善が乏しい場合には、生活習慣の見直しが基本になります。
睡眠、食事、適度な運動に加え、継続しやすい方法として入浴の習慣化も有効です。
入浴の習慣化
入浴には温熱作用・水圧作用・リラクセーション作用などがあり、自律神経の調整に関与します。
緊張が強い場合にはぬるめのお湯にゆっくり、意欲低下が強い場合にはやや熱めで短時間など、状態に応じて調整すると効果的です。
『入浴効果についてはこちらの記事で詳しく解説しています』
鍼灸の効果
鍼灸には自律神経やホルモン調整機構に作用し、恒常性の回復を促す作用があります。
鍼刺激は神経伝達物質やストレス関連ホルモンの調整に関与すると報告されており、慢性的な緊張状態を緩和することで血流や睡眠状態の改善につながります。
その結果、不定愁訴のような多岐にわたる症状の軽減が期待できます。
施術を検討する目安
医療機関で重大な疾患が否定されているものの、
- 休養や生活改善を行っても症状が安定しない
- 肩こりや冷え、睡眠障害など身体症状が慢性的に続いている
- ストレスとの関連が強いと感じる
このような場合に、鍼灸を検討する目安になります。
当室の考え方
まず医療機関での評価を優先し、重大な疾患が否定されていることが前提になります。
当室では、症状の強さや経過を慎重にみながら、体の回復力を支えることを目的に鍼灸を行なっています。
この記事の著者

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鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。
当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。
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