膝蓋腱炎(ジャンパー膝)への対処と鍼灸治療の考え方

膝の前面に痛みが生じる「膝蓋腱炎(ジャンパー膝)」

ジャンプやダッシュ動作の繰り返しにより膝蓋腱へ負荷が蓄積して起こるスポーツ障害の1つです。

安静と炎症コントロールが大切で、鍼灸で体のバランスを整えることも回復の一助になります

今回は膝蓋腱炎への対処方法と鍼灸の考え方についてご紹介いたします。

膝蓋腱炎とは

膝前面にある膝蓋腱に炎症や微細損傷が生じる状態をいいます

膝蓋腱は太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)と膝蓋骨を介して脛骨をつなぐ腱で、ジャンプや着地の際に強い牽引力が加わります。

ジャンプ動作を繰り返す競技(バレーボール、バスケットボールなど)に多くみられるため「ジャンパー膝」とも呼ばれます。

成人にも起こりますが、成長期(15〜17歳前後)では骨の成長に対して筋・腱の柔軟性が追いつかず、付着部への負担が増えることで発症しやすくなります。

症状

主な症状は膝前面、とくに膝蓋骨下端周囲の痛みです

多くは徐々に痛みが出現し、ジャンプやダッシュ、階段昇降で増悪します。

症状の程度はさまざまで、競技後のみ痛む段階から、競技中も支障が出る段階、さらには腱断裂に至る重症例まであります。

ロエルズ分類

疼痛と機能障害に基づく分類です。

  • 1:スポーツ活動後の疼痛
  • 2:開始時に疼痛があるがウォームアップで軽減し、活動後に再出現
  • 3:活動中・活動後ともに疼痛があり競技に支障がある
  • 4:腱断裂

原因

主な原因はジャンプや膝の屈伸動作の反復によるオーバーユースです

大腿四頭筋とハムストリングスの筋力バランス不良や柔軟性低下、股関節や足関節の可動域制限などが重なることで、膝蓋腱への負担が増加します。

単純な「使いすぎ」だけでなく、全体の動きのアンバランスが背景にあることも少なくありません。

治療方法

まずは安静と負荷の調整が基本です

炎症が強い時期にはアイシングや消炎鎮痛薬が検討されます。

重症例や断裂が疑われる場合には整形外科での評価が必要です。

炎症が落ち着いた後は、大腿四頭筋やハムストリングスの柔軟性改善、筋力バランスの是正を目的としたリハビリテーションが重要になります。

鍼灸の効果

鍼灸には筋緊張の緩和や血流改善の働きがあります

大腿四頭筋やハムストリングスの緊張を整えることは、膝蓋腱への牽引ストレスを軽減につながります。

また、股関節や臀部を含めた全体の筋バランスを調整することで、再発予防にもなります。

施術を検討する目安

急性期の強い炎症に対して、鍼灸のみで改善を図るものではありません。

整形外科での診断を受けたうえで、

  • 安静やセルフケアを続けても違和感が長引く
  • 炎症は落ち着いたが動作時痛が残っている
  • 膝だけでなく太ももや臀部の強い張りを感じる

このような場合に、鍼灸を検討する目安になります。

当室の考え方

膝蓋腱炎は炎症性の疾患であるため、まずは炎症の段階を見極めることが重要です。

当室では「炎症期」「回復期」「再発予防期」を区別し、周囲筋の緊張を整えて、負担を減らすことで回復を支える鍼灸を行なっています。

この記事の著者

中島 裕(Nakajima Yutaka)
中島 裕(Nakajima Yutaka)
鍼灸は体の調整機能に働きかける療法ですが、
すべての症状に適しているわけではありません。

当室では、症状の背景や経過を確認したうえで鍼灸の適応を判断し、
その方にとって無理のない選択をご提案いたします。

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