橈骨神経麻痺への対処と鍼灸治療の効果

手首や指の動かしづらさが現れる「橈骨神経麻痺」

橈骨神経麻痺は障害部位や原因によって症状が異なります。

腕の筋肉を使い過ぎることでも起こり、筋肉が原因の場合には鍼灸が効果的です。

今回はそんな橈骨神経麻痺について綴らせていただきました。

橈骨神経麻痺とは

橈骨神経麻痺は、肩から指先にかけて走行する橈骨神経が障害されている状態です。

橈骨神経は二の腕（上腕）から肘を通って手の甲や指先に神経が枝分かれしていき、指先の感覚を脳に伝えたり、脳からの指示により手首や指先を動かす働きがあります。

この橈骨神経が二の腕（橈骨神経溝）や脇の下（腋窩）で障害されることを「橈骨神経高位麻痺」と呼び、肘より下の筋肉（回外筋のフローゼアーケード）で神経が絞扼されることを「橈骨神経低位麻痺（後骨間神経麻痺）」と呼びます。

橈骨神経の障害部位や程度によって、感覚障害や運動障害が現れます。

症状

手首がだらんと下がった状態になる「下垂手（かすいしゅ）」が特徴的な症状の1つです。

二の腕や脇の下で起こる神経絞扼「橈骨神経高位麻痺」の場合には、親指・人差し指・中指の爪側（背足）の感覚障害、手首や指先が伸ばせない運動障害（下垂手）が起こります。

肘より下の筋肉で起こる神経絞扼「橈骨神経低位麻痺」の場合には、感覚障害はなく、手首も伸ばせる（力が入る）が指先を伸ばす動きが障害されます。

外傷などによって神経を大きく障害した場合や、神経の修復が不完全な場合には回復が望めないケースもあります。

また、隣接して手の小指側にかけて走行する神経（尺骨神経）が障害された場合には「尺骨神経障害」と呼び、小指側の感覚異常や運動障害など症状も異なります。

『尺骨神経麻痺の詳細はこちら』

原因

橈骨神経の損傷や圧迫が主な原因です。

骨折や打撲による外傷を除くと、多くが圧迫による障害で起こります。

腕や指の使い過ぎで起こることもあり、筋肉によって神経が圧迫されることで症状が現れている場合には、腕や指先を休めたり、お風呂で温めると症状が緩和することもあります。

治療方法

安静にして患部を休ませる保存療法が中心です。

痛みや炎症が強い場合には消炎鎮痛剤（NSAIDs）を使用するケースもあります。

靭帯やガングリオンが橈骨神経を圧迫している場合には外科的療法が検討されます。

「検査結果に異常がみられない方」や「安静にしても改善しない方」には鍼灸がオススメです。

鍼灸の効果

鍼灸は筋肉の緊張を緩和して血流を改善することで神経障害を改善します。

橈骨神経の走行するエリアは腕の曲げ伸ばしやドアノブを回す動作を筋肉が密になっているため、筋肉の緊張によって神経を圧迫しやすい部位でもあります。

ガングリオンや靭帯の損傷がみられない、原因が不明といった場合には、緊張している筋肉へアプローチすることで改善が期待できます。

運動障害や回復が長引いているような場合には鍼灸をご検討ください。

手首や指先に力を加えづらい場合には

手首や指先が伸ばしづらい場合には「橈骨神経麻痺」の可能性が考えられます。

橈骨神経麻痺は橈骨神経の障害部位や程度によって、症状の強さや頻度が異なります。

そのため、外傷直後や症状が強く現れている際には整形外科の受診からご検討ください。

検査結果に異常がみられない、症状が長続きするような場合には鍼灸をオススメします。

この記事の著者

中島 裕（Nakajima Yutaka）

「白金のかかりつけ鍼灸師」を目指し、日々鍼灸に励んでおります。

鍼灸は多くの症状改善に効果が期待できる一方で、効果の期待出来ないものや病院での治療を優先する場合もあります。

当室では鍼灸適応を判別し、ご利用者様に最善の治療方法をご提案させていただきます。

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